第21話 離れ屋の掃除

 王子たちが出発してから一日後、いつものように使用人の仕事を行っていた。

 しかし、今回は宮殿内でも庭園の方の仕事でもない。

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 衛兵たちの離れ屋。

 ストンヒュー宮殿の敷地内には衛兵たちが住まう離れ屋がある。

 宮殿ほど豪勢ではないが、同じ造りをした清潔で綺麗な施設だ。

 辺りには似たような施設がいくつかあり、どれも同じような見た目のわりに内装は住む人や動物によって違っている。

 

 今回の仕事は複数の使用人たちとこの衛兵たちの離れ屋を掃除することだった。

 現在多くの衛兵が宮殿を留守にしているので、この機会に全面的に掃除をすることになった。

 彼らも竜を退治しに行っているので、帰って来たときのために綺麗な離れ屋にしておいて迎えてあげようという配慮を考えてのことだ。

 けれど、昨日の内に人と馬とイヌの離れ屋の掃除をここにいる使用人たちとこなした。

 つまり留守にしている衛兵たちの離れの掃除はほとんど終わっているのだ。

 やることもあまりないので、ついでに別の離れ屋も掃除しようという話になった。

 なので、この日はサイの離れ屋を掃除することになった。

 

「よし、なんとか昼食までに間に合った」

 

 サイの離れ屋はほとんど小屋のような場所だ。シーツや水飲み場があるくらい。

 

「皆お疲れ様……終わりましょう」

 

 

「お疲れさまでした」「お疲れさまでした」

「それじゃ、用具を片付けませんと……」「そうですね」

 

 後片付けは使用人の彼女たちに任せて、ロードはサイ用に作られた出入口の押し扉の方へ向かう。

 

「あ~~暇だド~~」「今頃は王子たち竜を倒した頃だドー」

「オイラも馬に生まれたかったド~~」「そうすれば行けたのにド~~」

 

 という、サイたちののんきな声が扉の向こうから聞こえてきた。

 ギィ―とり両手で扉を押して開き外へ出て、掃除が終わるのを待っていたサイたちに呼びかける。

 

「みんなー待たせたな。掃除は終わった。もう中に入っていいぞー」

 

「おう、終わったドー」「掃除ありがとドー」「ふあ~~夜の見張りのために寝ておくドー」「食べてから寝るドー」

 

 ドッドッドッドッとサイたちはさっそく離れ屋の中に入っていく。

 それとすれ違うように掃除用具を持った使用人たちも外へ出てきた。

 

 その時、足元から何かが登ってくるがこの感覚は知っているので見なくてもわかる。

 

「終わったチュウ?」「お腹すいたチー」「早く食堂に行くチャア」

 

 頭や肩の方まで登って言った。

 

「……わかったよ」

 

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