閑話二:ちひろの思い


(……みお、寝ちゃった。本当に大変だったんだね。もう大丈夫だから、一緒に解決していこ)

 

 素人目にみても、みおはボロボロだった。

 よっぽど精神的に疲弊していたのだろう。

 私に会ってからもみおはたくさん泣いていた。


 今はその限界がきたのだと思う。

 みおは「おやすみ」と呟くと、すぐに寝入ってしまった。

 

(少しは助けになれたかな)

 

 私はみおが好き。

 だから、みおを傷つけることの全てが嫌い。

 

 穏やかな寝息を立てるみおにそっと近づく。

 本当にこのところ寝られていなかったらしく、目元には深いクマが浮き上がっているし、泣き腫らした目元も腫れている。

 普段のみおとは、かけ離れた顔をしていた。

 

 久しぶりに安心したのか、今は静かな寝息を立てている。

 このまま、みおに触れたいと思う気持ちは間違いだろうか。

 頬に触れたいと願った右手を触れるか触れるギリギリのところで止めて、触れずに頬を撫でる。


 みおの体温を指で感じ、私はみおの顔を見つめる。

 

「おやすみ、みお。大好きだよ。私はみおが幸せになることを祈ってるからね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る