第四章:幸せの理由は選ぶ枝の先に

 ウィザル帝国の斥候の男を『具現化』リアライゼーションの力によってリィリアが殺めてしまってからしばらくが経った。絵の獅子を『具現化』リアライゼーションしたときの詳細な話をルーヴァが執拗に聞きたがっていたが、シェスカが睨みを効かせることで彼をリィリアに近づかせないようにしていた。

 斥候が入り込んだ件の唯一の当事者であるリィリアに、オーウェルやディエスも話を聞きたがっていた。リィリアが女性兵士用のテントの中に引きこもっている間に、リィリアこそがウィザル兵を手引きした内通者なのではないかと彼女の存在を疑問視する声も一部では上がり始めていた。そういった心無い疑惑を払拭し、身の潔白を証明するためにも自らあのときのことを証言するべきだったが、リィリアはどうしてもそれができずにいた。

 ほんの少しずつ、あの夜の衝撃が薄れ始め、どうにかテントの外に出られるようになったリィリアは、朝の配給の時間の後、ぼんやりとしながら食器を洗っていた。ちょっと来て、とシェスカは心ここにあらずといったふうのリィリアを半ば強引に連れ出すと、普段寝起きしているテントの中へと引っ張っていった。

「リィリア。このままじゃよくないよ。あのとき、何があったのか、ちょっとでも話せないかな?」

 リィリアに何かあったらしいというのは、補給部隊の面々も、一緒のテントで起居する衛生部隊の女性陣も知ってはいた。しかし誰一人として詳しいことを知らない以上、リィリアは腫れ物に触れるかのように遠巻きに接されていた。

「言いたくないけれど、リィリアがウィザルの内通者だったんじゃないかって声も出てきているし、あたしだってあの日、リィリアが何であんな場所にいたのかわからない以上、今のままじゃ庇ってあげるのだって限界がある。

 リィリアは一応、あたしの部下だからね。上官としてはできるだけ守ってあげたい。だから……話してくれないかな? あの日の夜、何があったのか」

 シェスカはリィリアをまっすぐに見据えた。明るい萌黄の双眸からは、可能な限りリィリアの事情を汲もうとする慈悲が感じられた。

「あの……わたし、上手く言えるかわからないんですけど……思い出すのも怖くて、言葉にしようとするとこんがらがってしまって」

「大丈夫。それでもいいよ。ルーヴァは……どうでもいいとしても、オーウェル様もディエスもリィリアが話してくれるのを待ってる」

「オーウェル様が……?」

 リィリアが聞き返すと、そうだよとシェスカは頷いた。

「御自ら、リィリアを救護所まで運ばれたこともあって、リィリアのことをひどく心配していてね。あたしと顔を合わせる度に、リィリアの調子はどうか、リィリアはどうしてるかって聞いてくる始末だよ」

「そうなんですか……」

 オーウェルにそんなにも心配をかけているのかと思うと、何だか申し訳ないとリィリアは思った。

 あのときのことを思い出すと今でも恐ろしい。それでも、自分が話すことでオーウェルに心配をかけ続けている現状を変えることができるのなら話そうと思った。これ以上、彼に心配も迷惑も掛け続けたくはない。

「わたし……話します。皆さんの前で」

 そう口にした自分の言葉尻が震えるのをリィリアは感じた。わかった、とシェスカは頷くと、

「朝の軍議の後に、この前の関係者だけが内々に集まる場を設けるね。知った顔だけのほうがリィリアも少しは話しやすいでしょ?」

「はい……ありがとうございます」

「それじゃあ、頑張ろうね。あたしも応援しているから」

 シェスカはリィリアの軍服の肩をぽんと叩くと、それじゃあ行ってくるね、とテントを出ていった。その背を見送るリィリアの紫の瞳には、怯えの色の中にわずかに意志の光が宿り始めていた。


 参謀総本部のテントの前、リィリアは所在なげに立ちながらそのときが訪れるのを待っていた。秋の気配を帯び始めた空には太陽が高く昇り、昼が近づいてきている。

 この基地にいる将軍たちがぞろぞろと朝の軍議のためにテントの中に入っていってから一時間近くが経っていた。テントの中の話し声が止んだと思うと、リィリアと接点の薄い部隊の将たちが、朝議の資料を手にテントから姿を現した。

 彼らが去っていくのをリィリアが軽い会釈とともに見送っていると、シェスカがテントの中から顔を出し、彼女の名を呼んだ。

「リィリア。出番だよ。心の準備はいい?」

 ええ、とリィリアは少し強張った面持ちで頷くと、シェスカに促されるままにテントの中へと足を踏み入れた。

 テントの中には、オーウェルとディエス、ルーヴァがいた。あの日以来、まともに顔を合わせるのが初めてということもあって、オーウェルはひどく安堵した表情を浮かべていた。

「ユーティス二等兵。ウィザルの斥候がこの基地に入り込んだあの夜の件について話があると、アルフュール大尉から聞いている」

 ディエスはいつも通りの無愛想な表情を崩すことなく、冷厳な口調でそう言った。

 話せ、とディエスに促され、リィリアはあの夜の出来事についてつっかえながらも話し始めた。

「わたし、あの夜、河原に行ったんです。オーウェル様……殿下にお会いできないかと思って」

「殿下に?」

 ディエスとシェスカは怪訝そうに顔を見合わせた。彼らにとって、リィリアの口からオーウェルの名前が出てくるのは意外なことだったのだろう。なぜ、とディエスが理由を深掘りしようとしたが、シェスカが萌黄の双眸で彼を睨みつけて黙らせる。仕方なしにディエスが口を噤むと、それで、とシェスカは話の続きを促した。

「わたし、殿下に差し上げたくて、絵を描いたんです。国章の獅子の絵を。

 殿下が夜に河原によくいらっしゃるのを知ってたので、それであの日の夜も河原に行ったんですけど……」

 リィリアは一度言葉を切った。ここから先を口にするのは今でも心底恐ろしかった。間近に感じた冷たい死の気配を、自分が作り出してしまった血溜まりの匂いを嫌でも思い出してしまう。

「あの日はいつもより時間が早かったからか、殿下はいらっしゃっていませんでした。だから、殿下がいらっしゃらないか、しばらく河原で待とうと思ったんです。そうしたら、背後からあのウィザル帝国の斥候の人が現れて……」

 甦ってきた恐怖で言葉が詰まった。リィリアの目に涙が滲む。シェスカは席を立つと、リィリアを安心させるように彼女の背中を撫でた。リィリアは喉の奥からこみ上げる嗚咽を無理やり飲み込むと、半ば叫ぶようにして言葉を続けた。

「わたし……っ、あの人に、武器を向けられて、怖くてっ……! シェスカさんにもらったスティレット、抜こうとしたんですけどっ……手が、手が動かなくって……! そしたら、斥候の人が襲いかかってきて、どうにかして避けようとしたら、顔を切られて、わたしの手から持ってた絵が落ちて……。顔の傷が痛くて座り込んだら、また斥候の人が襲ってきて……! わたしっ……、あのひとを、殺したかったんじゃ、ないんですっ……、ただ、逃げる隙が作れれば、って……それだけ、だったのに……! なのにっ……、怖くて絵に手を伸ばしたら、絵の獅子が『具現化』リアライゼーションされて……っ、それで……っ」

『具現化』リアライゼーションされた獅子がウィザルの斥候を襲って殺した、そういうことでいいのね?」

 涙の中に消えていったリィリアの拙い説明の言葉尻を冷静な口調で継いだ。こくこく、とリィリアはシェスカの言葉を首肯した。

 あの晩のことについて話し終えたリィリアの顔は真っ青になっていた。色を失った頬は涙で痛々しく濡れていた。

 どう思う、とディエスはルーヴァへと水を向ける。ルーヴァは手元の報告書へと視線を落としながら、

「おかしな点はないだろう。先日、ドルーグ少尉がまとめたというこの報告書の内容とも矛盾はない。

 それに、入り込んだウィザル兵の遺体に、獣の咬み傷や爪で引き裂かれたような傷があったことはワタシも確認している。彼女の『具現化』リアライゼーションしたものは、本物と同様の殺傷能力を持つが、知能ある生き物に関しては意志のないでたらめな動きをする点を鑑みれば、『具現化』リアライゼーションされた獅子が彼女の意志に反して、あのウィザル兵を殺めてしまう可能性は充分にある」

「そう考えれば、あの遺体の不審な点といい、現場に凶器とは思えない白い紙が残されていた点といい腑に落ちはするか……そうすれば、負傷したユーティス二等兵があの場にいたことについても納得はできる。そう考えれば、すべての点が線で繋がる」

 そうなると問題はなぜ斥候が入り込んだかだな、とディエスは次なる問題を俎上に載せる。

「此度の一件、殿下を狙ってのことである可能性が高いと俺は思う。ユーティス二等兵の言葉が事実なら、殿下が夜、河原によく現れることをあの斥候は知っていたと見て間違いないだろう。

 そうなると、この場所は危険だ。この基地を放棄し、他所へ移ったほうが賢明だろう」

 ディエスは会議の参加者たちへと順に視線を向けていく。そうね、とシェスカも彼の言葉に同意を示すと、

「あたしも同意見よ。このままではいつまたウィザルの襲撃を受けるかわからない。この前の一件があくまで偵察だったというのなら、次は奇襲を受け、甚大な被害をこうむる可能性を考えたほうがいい。基地を移すのは早ければ早いほどいいけれど、そうなると考えなければならないことも多いわ。今後のリィリアの処遇も含めて、ね」

 シェスカはリィリアへとまっすぐに萌黄の視線を向ける。

「リィリア。あなたはこれからどうしたい? 手厳しいようだけれど、こういった経験は、軍にいれば誰しもがいずれするものだよ。これを乗り越えることができなければ、軍人を続けていくことなんて到底できやしない。こういったことはこの先、何度だってあるからね。

 リィリアが特殊な立場でこの師団にいることは、この場にいる全員承知してる。けれど、まだ、リィリアはこの戦争に関わり続ける覚悟はある? ここに居続けるっていうことは、その力でまた人を殺さなければならないかもしれないってことだよ。だけど、リィリアがそれに耐えられないっていうのなら、元の暮らしに戻るって選択肢だってあるとあたしは思ってる」

 この先の身の振り方と覚悟を問われて、リィリアは口ごもった。まだ自分にできることがあるならここにいたいという思いと、もうあんな力の使い方はしたくないという思いが心の中でせめぎ合っていた。ここを去ることを考えると、どうしてもオーウェルの存在がちらついた。

(戦を嫌うオーウェル様はそれでもこの軍をまとめる将として戦場に立ち続けているというのに……それなのに、わたしは逃げ出すの……?)

 ここにいたいけれど、ここにいたくない。リィリアには自分がどうしたいのかわからない。突きつけられた現実が、ただただ痛くて、前を向き始めた心が再び冷たくなっていくのを感じる。

「……わかりません……、わたし、わからない、んです……」

「そう。さっきの話にもあったように、近いうちにこの基地は放棄することになると思う。帰りたいなら、基地の放棄のタイミングで王都へ帰してあげることができると思う。

 だから、それまでに自分がどうしたいのか答えを出しなさい」

 はい、と返事をしたリィリアの声は今にも消え入りそうなほどに暗いものだった。

「ユーティス二等兵。お前はもう下がれ。俺たちはもう少しこの先のことを詰める」

 ディエスの声がリィリアへと退出を促した。リィリアは失礼します、と弱々しい声で言うと、テントの入口へと向かって踵を返す。

「リィリア、話してくれてありがとう」

 そう言ったオーウェルの声には沈んだ響きがあった。ちらり、とリィリアがオーウェルに目を向けると、彼は己を責めているかのような顔をしていた。自分の軽率な行動のせいで、オーウェルにこんな顔をさせているのだと思うと心が痛かった。すべて自分の分不相応な感情が引き起こしたことなのだと思うと、悔やんでも悔みきれなかった。

「リィリア。あなたは戻ってしばらく休んでいなさい。昼の配給の手伝いはしなくていいから」

 テントを出ようとしたリィリアの背を気遣うようなシェスカの声が追いかけてきた。

 自分はどうしたいのだろう。どうしたらいいのだろう。リィリアは『具現化』リアライゼーションの異能が宿る左手を見つめる。人を殺めうるこの力を、今後、誰かを幸せにすること以外のことに行使することが自分にできるだろうか。

 ここにいるだけの覚悟が自分に足りていないことだけは疑いない。この基地にいる他のみんなは、一体どういう気持ちで、事情で人の命を奪い得るこの仕事に従事しているのか知りたいとリィリアは思った。それを知ることが、今の中途半端な自分をどうにかするための糸口になるかもしれない。

 自分と皆の覚悟の差を隔てるかのように、入り口の布がやたらと分厚く感じられる。テントの外から聞こえてくる兵たちの声や足音がひどく遠かった。


   ◆◆◆


 昼食が済んだ後、基地の中を歩き回っていたリィリアは、練兵場の前で足を止めた。

 キン、キンと金属と金属がぶつかり合う音がひっきりなしに響いている。怪我をしないように刃引きの剣を使っているようだが、兵士たちの様子は真剣そのものだった。打ち合わせる剣技の一合一合に込められた気迫には息を呑むものがある。

 カーン、と高い音を立てて一人の兵士の得物が弾き飛ばされた。以前にルーヴァとの『具現化』リアライゼーションの実験の過程でリィリアが描いた剣によく似た模造刀がからんからんと音を立てて、彼女の足元近くまで転がってくる。

 やっべ、とひとりごちながら、オレンジ色の髪の青年がリィリアのほうへと近づいてくる。青年はリィリアの姿を認めると、茶褐色の双眸に意外とでも言いたげな色を浮かべた。

「リィリアさん、こんなところに珍しいですね」

 リィリアは記憶を探って、青年の名前を引っ張り出す。彼は確か、オーウェルとディエスに連れられて先日のあの場に駆けつけた一人であったはずだ。

「えっと……スティルズ准尉、ですよね? 先日の件のときに、救護所まで送っていただいた……」

 アドリックでいいですよ、と青年は笑った。

「アドリックさんたちは、いつもこんなに激しい訓練をしているんですか? 刃引きはされているみたいとはいえ、こんな実戦みたいな……」

 これですか、とアドリックは片眉を上げると、

「死にたくなければ訓練から死ぬ気でやれ、っていうのがモーフェルト大佐の方針なもので。軍人なんていつ死ぬかわからない職業とはいえ、俺たちだってなるべくなら死にたくないじゃないですか。だから、少しでも生き延びる確率を上げるためにも、こうやって日々、本気の訓練を積んでるってわけです」

「辛く、ないんですか……?」

 リィリアの口からそんな言葉が転がり出た。本気で己の職務に向き合っている人に対して失言だったと気づき、リィリアは両手で口を押さえる。

 いいですよ、とアドリックはリィリアの言葉に気を害したふうもなく言うと、ある提案をした。

「よかったらこの後、少し話しませんか。そろそろ今日の訓練終わるので。もしよければ、ティストルも一緒に。汗臭い上にむさ苦しくてあれなんですけど」

 ティストルってわかる、とアドリックは少し前まで剣を打ち交わしていた茶髪の青年を指で差し示した。彼もまたあの場にかけつけた一人で、リィリアのためにシェスカを呼びにいってくれた人のはずだった。ええ、とリィリアは躊躇いがちに頷くと、

「その……いいんですか? わたしなんかのために時間を割いてもらってしまって。ご迷惑じゃあ……」

「大丈夫、迷惑じゃないですよ」

「それじゃあ……すみません、お言葉に甘えさせてください」

 リィリアはアドリックへと頭を下げる。それじゃあまた後で、と軽く手を振ると、アドリックは模造刀を拾い上げて去っていった。


 アドリックたちの訓練が終わると、武器庫がわりのテントの脇でリィリアは彼らと落ち合った。

 補給物資の入っていた空き箱を勧められ、いいのかなと思いながらもリィリアはそこに腰を下ろす。アドリックたちも近くの地面に足を崩して座り込んだ。

 テントの脇を吹き抜けていく初風は、からりとして涼しい。ついこの前までもくもくとした巨大な雲が浮かんでいた蒼穹には、いつの間にか白い小さな魚の群れが泳ぐようになっていた。

「よかった、テントから出てこられるようになったんですね」

 リィリアの顔を見ると、ティストルは開口一番にそう言った。

 彼の言う通り、あの件があってからしばらく、リィリアは食事もろくに取らずに塞ぎ込み、女性兵士用のテントの中に引きこもっていた。同じテントで寝起きしているシェスカたちが話しかけても、ろくに返事もしなかったくらいだ。

 幾日かが過ぎ、あの生々しさが少しずつ薄れ始め、どうにか普通の生活が送れるようになってきているのが今のリィリアだった。しかし、他部隊の彼らにまで自分の様子が知れてしまっているのは少し意外だった。どうしてそんなことを知っているのかとリィリアが問うと、

「リィリアさんはこの師団の有名人なんで。それに僕とアドリックの同期がそっちの補給部隊にいるから、その伝手でいろいろと」

 ティストルの言葉にアドリックはうんうんと頷くと、

「俺たちも殿下や大佐たちとあの場に立ち会った身として、リィリアさんがどうしてるかは気になってましたしね。あんな光景、普通の女の子には刺激が強過ぎますから」

 それで、とアドリックは本題を切り出した。

「リィリアさん、何だか悩んでいるように見えますけど、やっぱりあの日のこと関連なんですか?」

 そう聞かれて、はい、とリィリアは頷いた。

「わたし……あの日、自分の能力で人を殺しちゃったんです。ウィザル帝国の斥候の人を。殺されそうになったことも怖かったけれど、そのことがとても恐ろしくて。

 お二人は普段、戦場に立って、ウィザルの兵士と戦ってると思いますけど、怖くないんですか? 殺されることも、殺すことも。辛いって、苦しいって思ったりしないんですか? 逃げ出したくなったり、しないんですか?」

 怖いですよ、とティストルは言った。

「僕は戦場に立つようになって、二年が経ちますけど、それでも怖いです。初めて人を殺したとき、僕は吐きましたし、アドリックだって同じようなもんでしたよ」

 バラすなよ、とアドリックはティストルを軽くこづくと、

「それでも俺たちが逃げないのは守りたいものがあるからです。俺もティストルもこの国が好きです。この国に住む人たちが安心して暮らすために、ましてやリィリアさんのような普通の女の子が殺されたり戦場に立たなくていいように、俺たちは戦っているんです。

 死にたくないと思うのも、人を殺したくないと思うのも、人間として当然の感情です。だけど、俺たちには誇りがあるから、戦場からも日々の厳しい訓練からも逃げずにいられるんです」

「誇り……」

 そうです、とティストルは頷くと、

「どうしても譲れないもの、とでも言い換えましょうか。きっと、リィリアさんにもあるんじゃないんですか。少なくとも、普通の暮らしを捨てて、この基地に来ようと思った理由が」

 理由。最初は、他の人が五年前の自分と同じような思いをしなくて済むようになるのなら、と思って自分は従軍を決意したのではなかったか。しかし、ここに来て、自分の力が人を傷つけうるものであることを知ってからも、自分はまだ戦場に立つということの真の意味を理解していなかった。

 現実を突きつけられてしまった今、自分がここに居続けるための理由はまだ見えない。しかし、二人と話したことで、忘れていた大切なことを思い出せたような気がした。

「わたし、お二人のおかげで大事なことを思い出せた気がします。まだ、これから自分がどうするかは決められそうにないですけど……もう少し考えてみようと思います」

「そっか。僕たちの話が少しでも参考になったならよかった」

 それじゃあ僕たちはそろそろ行くね、とティストルとアドリックは立ち上がる。

「お話、聞かせてくれてありがとうございました」

 リィリアは二人へと礼を述べた。大したことじゃないですよ、と二人は笑うとその場を後にした。

 他の人にももう少し話を聞いてみよう。そう決めると、リィリアは木箱の上から降りて歩き出す。

 秋旻を泳ぐ雲の魚たちは大きさを増し、羊の群れへと姿を変えていた。


 次にリィリアが訪れたのは衛生部隊が立ち働く救護所のテントだった。「あら」リィリアの姿を認めると、金茶の軍服の上から白衣を羽織った、淡いラベンダーグレージュの髪の女性は微笑む。

 フレーネはたらいの水で手を洗うと、リィリアへと近づいてきた。

「今朝よりはいい顔になったわね。頬のガーゼ変えるなら、そこに座ってくれるかしら?」

 フレーネに丸椅子を勧められ、リィリアはそこに腰を下ろした。フレーネは慣れた手つきで、リィリアの頬のガーゼを剥がすと、脱脂綿に染み込ませた消毒液をピンセットでとんとんと頬の傷に軽く叩き込む。彼女は傷口に軟膏を塗り込みながら、

「この分なら跡が残ったりはしなさそうね。可愛い女の子の顔に傷が残ったりしなくてよかったわ」

 そんなことを言いながら、フレーネはリィリアの頬に真新しいガーゼを貼り付けていく。終わったわよ、とフレーネは手を叩くと、何気ない口調でこう言った。

「物理的な傷はもうそんなに心配しなくてよさそうね。それよりも心配なのは心の傷のほうかしら。回復にはまだ時間がかかりそうに見えるもの」

「なんで……」

 フレーネの言葉にリィリアはたじろいだ。ふふ、とフレーネは蜂蜜色の双眸に慈愛に満ちた色を宿すと、

「そのくらい見ればわかるわよ。ここには体に傷を負った人も、心に傷を負った人もいくらだって来るもの。

 しばらくはメリーゼたちにここは任せておいても問題なさそうだし、少し話をしましょうか」

 いいんですか、とリィリアが躊躇いがちに聞くと、もちろんとフレーネは頷いた。

「フレーネさんはこうやって軍の後方で働く人ですけど……それでも、やっぱり人を殺したことってあるんですか?」

 あるわよ、とフレーネはあっさりと言った。

「私に限らず、あの双子にだって人を殺した経験はあるわ。私たち衛生兵は普段はこうして後方で怪我人や病人の治療に当たっているけれど、時として一番危険な役目を負わなければならないこともある」

「一番危険な役目、ですか……?」

 ええ、とフレーネは相槌を打つと、言葉を続ける。

「私たち衛生兵には、戦いの最中に飛び込んで、負傷兵を救助するという役割があるわ。動けない兵を庇いながら動く私たちは敵からしたら格好の的よ。殺されかけたことだって数えきれないくらいある。

 それでも、私たちは自軍の負傷者を基地まで連れ帰って治療することを何よりも優先しないとならない。その目的を遂行するためならば、敵の命を奪うことだってするわ」

 フレーネの言葉から、以前に見たちぎれた兵士の遺体を背負った血まみれのイリーゼの姿を思い出した。あのとき、双子はそこまで教えてくれはしなかったが、あのときのイリーゼは、彼を救うために戦場に飛び込もうとして、それすらままならなかった帰りだったのではないだろうか。

「彼らを救えるのは私たちしかいないっていう自負はあるわ。それにそういった役割を総司令官たる殿下が望むから、私はそれに従うしかない。そして、私自身もそれをメリーゼやイリーゼたちをはじめとする部下たちに強いることしかできない。

 軍っていうのは上官の指示には了解はいと言うしかできない。それがどれだけきつくて残酷なことだとしても、ここでやっていきたければ従うしかないのよ」

 それが死ねという命令であったとしてもね、とフレーネは自嘲気味に呟いた。フレーネ自身、過去に自分の部下に死を命じたことがあるかのようにリィリアの目には映った。

「軍人になるための教育を受けてきたわけではないあなたにとっては、酷な話かもしれないわね。だけど、もし、リィリアがここに居続けることを選ぶのであれば、割り切ることを覚えないといけないわ。上官に命令されたからやった。自分の身を守るためには仕方がなかった。そうやって物事に理由をつけて正当化できるようにならないと、あなた自身の心が壊れてしまうから」

 人を殺したことを割り切る。自分の身を守るためだったと正当化する。今のリィリアにはとても難しいことであるように思えた。

 リィリアの眉間に皺が寄ったのを見て、ごめんなさいね、とフレーネが謝罪の言葉を口にする。

「リィリアが少しでも立ち直るための手助けになればと思ったのだけれど、少し薬が強過ぎたかもしれないわね。だけど、私が今言ったこと、どこか心の片隅でも構わないから覚えておいてくれると嬉しいわ」

 そのとき、テントの奥からフレーネを呼ぶ声がした。

「ルミエリア少佐ー、ちょっといいですかー?」

「イリーゼ、今行くわ」

 悪いけど私はもう行くわね、とフレーネは腰掛けていた丸椅子から立ち上がった。簡易ベッドの間を縫って、彼女は部下である赤毛を三つ編みにした少女のほうへと向かっていった。

 フレーネの言葉は、心の傷口にずきずきと沁みていた。しかし、彼女の言い分は今の自分が受け入れられるかはともかくとして、もっともなものではあると思えた。

 戦場に生きる彼らは、己の職務に確かな信念を抱いていて、強い。自分はそうなれるだろうか。何のためであれば、自分はそうなることができるだろうか。

 もう少しその答えを探してみようと思いながら、リィリアは椅子から立ち上がる。

 救護所のテントを出ると、雲間から降り注ぐ秋めいた日差しがほのかに夕暮れの色を浴び始めていた。そろそろ夜の配給の支度を手伝いに行かないと、と思いながらリィリアはその場を後にした。


   ◆◆◆


 夕飯の後、女性兵士用のテントに戻ろうとしていたとき、リィリアは男の声に呼び止められた。振り返ると茶褐色の髪の見知った青年が立っており、リィリアは彼の名を呼んだ。

「ディエスさん」

「ユーティス二等兵。お前に伝えなければならないことがある」

 その声音はどこか険しく、リィリアは思わず居住いをた正した。なんでしょう、と言った声が緊張で固くなる。

「明日、この基地を放棄し、東のラグジェ丘陵へと移ることになった。それに伴い、お前をこの北東方面軍から除籍とし、王都へと送還することが午後の会議で決定した」

「除籍……? 送還……?」

 リィリアは呆然として単語を一つ一つゆっくりと咀嚼する。それはつまりここを離れ、王都ゼランで元の暮らしに戻るということだった。

(……嫌だ)

 なぜかリィリアはそう思った。あんなにも恐ろしい体験をした後だというのに、それは嫌だと思った。

「殿下たっての強い希望だ。本来ならばただの一般人に過ぎないお前をこれ以上、危険な目に遭わせたくないと仰せだ」

「……」

 リィリアは唇を噛んで俯いた。先ほどフレーネが言っていた通り、ここが軍である以上、総司令官であるオーウェルの決定にリィリアが異を唱えることなど許されなかった。

「明日ここを発てるよう、今夜のうちに荷を纏めておくといい」

 わかりました、とリィリアは小さな声で返事をした。リィリアはそっと視線を上げ、いつも通り無愛想なディエスの顔を見つめる。うん、とディエスは怪訝そうな顔をすると、

「どうかしたか?」

「いえ……あの」

 リィリアは一瞬躊躇った。しかし、ディエスとまともに話すのもこれが最後になるかもしれないと思い直し、リィリアは口を開いた。

「ディエスさんに最後に聞きたいことがあります。ディエスさんはなぜ、戦場に立つんですか? 殺されるかもしれないのに、誰かを殺すかもしれないのに。そして、誰かに誰かを殺させなければならないかもしれないのに」

 リィリアのライラックの視線がディエスの灰色のそれと交錯した。ふっ、とディエスは口元を緩めると、過ぎし日を懐かしむように宵闇の彼方へと目を向ける。

「俺は殿下と共にこの戦いの向こう側にある景色を見たい。この国の明日を、世界の未来を……あの方が思い描いた理想を創り上げる手助けがしたい。だから、俺はこれまでも、これからも戦場に立つ。俺が戦う理由は、学生時代に殿下と出会ったあのころから微塵も変わっていない」

 ディエスを突き動かしているのは、オーウェルの描いた理想への憧憬だ。彼はその理想を現実にしたいという崇高な理念のもと、オーウェルの側で戦うことを選んだのだろう。

 羨ましいとリィリアは思った。茨の道と知りながらも、揺らぐことなく歩き続けられるディエスのような心の強さは自分にはない。

 どうしたら、自分はディエスのようにオーウェルのそばにいられたのだろうか。どうしていれば、オーウェルのそばで彼を支えることができたのだろうか。

(わたしは……)

 自然と頭の中で導き出された答えに、リィリアは拳を強く握り込んだ。今まで気づくことのできなかった自分を愚かだと思った。今更気づいたってもう遅い。

(わたしはただ、オーウェル様のそばにいたかった……! オーウェル様のそばにいられるなら、誰かを殺すことになったとしても、わたしはきっとまたこの力を使う……!)

 握りしめた拳が震えた。リィリアはぎゅっと目を閉じた。そうしていないと、涙が溢れてきてしまいそうだった。

「……ユーティス二等兵?」

 リィリアの様子を不審に思ったらしいディエスが彼女の名を呼んだ。リィリアは何でもありません、とかぶりを振った。

「そうか。では、私はそろそろ失礼する。明日のためにまだやらねばならないことが山ほどあるのでな」

 そう言うと、ディエスはリィリアの横を大股で歩き去っていった。

 ディエスがいなくなると、リィリアはその場に座り込んだ。ぽつぽつと雫が滴り落ち、地面を濡らしていく。眼窩を溢れ出す涙をそのままに、リィリアはその場で声を押し殺して泣いた。

 分厚い雲の隙間から降り注ぐ金波が嗚咽を繰り返すリィリアの背を照らしている。彼女を見下ろす秋夜の空もまた、今にも泣き出しそうな色をしていた。


   ◆◆◆


 テントの外で、しとしとと雨が降る音が響いていた。すうすうとシェスカたち同室の女性兵たちが穏やかな寝息を立てているのを聞きながら、リィリアは何度目ともわからない寝返りを打つ。

 この夜が明ければ、リィリアはここを離れる。リィリアがここに着任した時と同じように、王都へ物資の調達に戻る輸送部隊の荷車に同乗させてもらえる手筈になっているとシェスカからは説明を受けている。

(オーウェル様……)

 ここを去ってしまえば、もう二度と彼に会うことはないだろう。今までのように、気安く言葉を交わし合うことだってもう叶わなくなる。芽生えてしまった彼への恋情が思い出になって風化するのを待ちながら、以前のような生活を送っていくしかないのだ。

(会いたい……オーウェル様、最後に一度だけでも……)

 しかし、それもきっと不可能だ。先日の一件を受けて、オーウェルの身辺にはディエスたちをはじめとする部下たちが目を光らせているはずだ。会いたいというただそれだけの理由で会わせてもらえるはずもなかった。

 オーウェルに対する未練がちくちくとリィリアの胸を苛んでいた。無視しようとすればするほど、本当にそれでいいのかと己に問う心の声は大きくなっていく。

(……駄目だ。寝られそうにない……)

 気分を落ち着けるために何か飲み物でももらってこようと、リィリアは身を起こす。オーウェルと川原で言葉を交わし合った最初の夜のように、リィリアは寝巻きの上から金茶の軍服のジャケットを羽織る。寝床から抜け出すと、ジャケットと同色の軍靴へと素足を滑り込ませ、リィリアはテントの外へ出た。

「え……?」

 テントの外には一人の青年が立っていた。傘も差さず、濡れそぼった亜麻色の髪を横顔に張り付かせたその青年は、リィリアが会いたいと願ってやまない人物だった。

「オーウェル様……どうして、ここに……」

 オーウェルは仕方なさそうな表情を濡れた頬に浮かべると、何でだろうね、と自嘲気味に笑った。

「最後に、私がどうしてもリィリアに会いたかったんだ。こうして私が会いにくることで、またリィリアに危険が及ぶかもしれないと頭ではわかっているのに、会いたいという気持ちをどうしても抑えられなかった」

 もう、とリィリアの表情が崩れる。雨に濡れるその顔は笑っているのか泣いているのかわからなかった。

「こんなところに来ていて、大丈夫なんですか。ディエスさんたちに……怒られないんですか」

 怒られるだろうね、とオーウェルは苦笑すると、急に真顔になってリィリアの顔を覗き込んだ。透き通ったアイスブルーの双眸からはいつもの柔らかさが消え、男の獰猛さが見え隠れしている。見たことのないオーウェルの表情に、リィリアは体を硬くする。少し怖いとすら思うのに、いつもとは違う雄の魅力を感じさせる彼の顔からリィリアは視線を逸らすことができなかった。

「リィリア。今は違う男の話題はやめてくれないかな。駄目だとわかっていても、無理やり攫って私のテントに閉じ込めておきたくなってしまうから」

「オーウェル、様……?」

 性急さを感じさせる言葉に動揺したリィリアの語尾が震えた。切実なのにどこか凶暴なその物言いはオーウェルであってオーウェルではないようだった。

「……ごめんね」

 リィリアから怯えの色を感じ取ったオーウェルは溜息混じりに謝罪の言葉を口にした。

「妙なことを言って済まなかったね。リィリアを除籍することは私が決めたことだ。やっぱり、リィリアのような普通の女の子はこんなところにいるべきじゃない。リィリアのその手は何かを描くための手――誰かを幸せにするためのものだ。だから、その手を汚すようなことがあってはいけなかったんだ。せめて、これからはリィリアには、普通の女の子として幸せに生きて欲しいと私は思っている。……私たちの都合で、リィリアの生活を引っ掻き回すような真似をして、本当に申し訳なかった」

「……わたしにとっての幸せを勝手に決めつけないでください」

 ふいにリィリアの声が低くなった。声の震えは怯えではなく、怒りによるものだった。リィリアの瞳がきっとオーウェルをめ上げる。意志の光を湛えた強い目だった。

「わたしにとって何が幸せかはわたしが決めることです! ただ普通に生きることが幸せだなんて、誰が言ったんですか!」

「だとしても、私は、この戦場にいることがリィリアにとって幸せだとは思えない」

「どうして……どうして、わからないんですか!」

 リィリアの頬を伝ったのは涙だった。リィリアの幸せはここにはないと断じられてしまうことが悔しくてたまらなかった。あんなふうな顔をして見せたと思えば、そばにいることを拒むオーウェルにリィリアは腹を立てていた。

「わたしは、オーウェル様のためであれば、あのときのようにまた人を殺すことになったとしても構いません! わたしはあなたのそばで力になりたい! あなたのそばにいることが、わたしにとっての幸せなんです!」

 覚悟を決めたリィリアの濡れた紫の瞳の奥には炎が燃えていた。その決意が本物であることを感じ取ったオーウェルはそれ以上異を唱えることなどできなかった。

「だから、お願いです! わたしをこのまま、ここにいさせてください……! オーウェル様のおそばにいたいんです! わたしは……わたしは、オーウェル様のことが好きなんです……!」

「リィリア……」

 泣きながらも強い目でオーウェルを見上げるリィリアの髪を彼はそっと撫でる。長い黒髪は雨に濡れて冷たい。

「リィリアのことを想って決めたはずのことが、リィリアを傷つけてしまっていたんだね。すまなかった」

 それと私からも言わせてくれ、とオーウェルはリィリアの髪を掬うと耳へとかける。露わになった彼女の耳元へとオーウェルは唇を寄せる。

「リィリアのことが好きだ。愛している」

 そう囁くと、オーウェルはリィリアの体を抱きしめた。

「オーウェル様……」

 リィリアはされるがままにオーウェルの胸へと体を預けた。そして、躊躇いがちにリィリアもオーウェルの胴へと腕を回した。

 オーウェルはリィリアの顎に手をやると、顔を近づけた。リィリアはその後に続くであろう行為を受け入れて、目を閉じる。

 オーウェルは更に距離を詰めると、リィリアの唇に自分のそれを重ねた。

「ん……」

 リィリアの口から微かに声が漏れる。重なり合った唇は温かくて柔らかく、甘じょっぱい味がした。

 抱き合った身体から伝わる体温は雨に打たれて生ぬるい。濡れそぼった互いの軍服からは湿った布の香りがしていた。

 オーウェルは唇を離すと、リィリアを見つめた。名残惜しそうにオーウェルは指先でリィリアの唇を撫でる。その感触がくすぐったくて、もう、とリィリアは小さく笑った。

「オーウェル様。どうか、この戦争を終わらせるために、オーウェルが思い描く平和な国を作るためにわたしの力を役立ててください。オーウェル様が望むのであれば、わたしはどんなことにだって『具現化』リアライゼーションの力を使う覚悟でいます」

 わかった、とオーウェルは頷いた。いつの間にか雨は小降りになり、ぽつ、ぽつ、と時折思い出したように天から雫を滴らせるのみになっている。

「この先、リィリアの力をどう使っていくかは一緒に考えていこう。事と次第によっては、また軍議に呼び出すこともあるかもしれないし、その手を血で汚すこともあるかもしれない。それでも……リィリアは私と共に歩んでくれる?」

 はい、とリィリアは首を縦に振った。ありがとう、とオーウェルはリィリアの体を抱く腕に力を込めた。

 ライラックとアイスブルーの視線が絡み合った。それぞれの双眸には互いの顔が映っている。

 リィリアとオーウェルはどちらからともなく再び唇を重ねた。

 二人を見守る夜の空からはわずかに雲が薄れ、白みがかった月虹が七色の幻想的な光を放っている。雨上がりの基地の中を秋湿りの風が吹き抜けていった。

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