第9話 始まりの追憶 5
最近、ちょっとだけ街が騒がしくなった気がする。
魔法で治せるとは言え、お父さんもケガをして帰ってくる事が増えた。
街の近くで魔物がどんどん増えてる――いや集まってるような感じらしい。
手強いのも居て、ハンターも犠牲者が出てしまっていると街の人が言ってるのを聞いた。
嫌だな……必要な仕事とはいえ、お父さんが心配だ。
戦うという事がどういうものなのかを知らないし、この異常事態らしき状況もどれほどの事なのか分からない。
近くの大山脈からの魔物だろうか。それとも南の大陸から強い魔物が来たのか。
それならここに来るまでの街だって大変だろうけど、分からないから余計に不安だ。
そんななんとも言えない不安の日々を過ごしていたある日。
その日は昼から両親と出かけていた。
ケガをしたり忙しなく何日も戦い続けていたお父さんの休養だったのだけど、どうせなら家族で美味しいものを食べようって事らしい。
でも歩いているうちに、やけに街が騒がしくなっていった。
ここ最近の様子とは明らかに違う。
どことなく不穏な空気を感じて周りを見ると……傷を負っただろうハンター達が疲れた顔で通って行った。
魔物が近くまできているなんて聞こえてくる。
ここは街の中心に近いのに騒ぎが広まってくるなんて……外周の方はどうなっているんだろう。
両親も異常を察して、家へ引き返す事になった。
不安になって、私の手を引いて急ぐように歩く両親を見上げた。
見上げた先にそれが見えた。
空。遠い空に黒いナニカが。
鳥のような影が飛んでくる……けどなにか距離と大きさがおかしい。
そして、けたたましい警報の、鐘の音が響いた。
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