第49話 レッドドラゴンとの激闘!
パァン!
「ぐわっ!」
三人目も倒した。
「右手の人差し指だけでこうも簡単にやられるだなんて」
「ま、魔法か!?」
ライトニングバレットはこういう時に役に立つ。威力もさることながら、超高速で発射される弾丸は弓矢より強烈よ。
「四人目……」
「ま、待ってくれ!」
パァン
これで残りはあと二人。ホークも徐々に焦って来た。
「わかった! 降参する!」
ホークと部下は潔く両腕を上げた。私も魔法の発動を止めた。
「さっさとマチルダを出しなさい!」
「あぁ、わかった。外に出すから、待ってくれ」
部下の一人が荷台の後ろへ回り込んだ。そこから荷台の後ろのドアを開ける。
すんなりと私の命令通りに動いている。ライトニングバレットがかなり有効だったみたいね。
これで解決できる。そう思った矢先だった。
「……振動!?」
新しく履き替えたブーツで、地中の振動が敏感に察知できる。巨大な何かが、地中深くから近づいていた。
はっきりと地面が揺れ始める。ホーク達も気づいた。そして笑い出した。
「ふふ……やっと助けに来たか」
「なんですって!?」
ドォオオオオオン!!
地面が大きく割れ、そこから出てきたのは巨大な赤い色のドラゴンだ。
「しまった! こいつがいた!」
「レッドドラゴン、この女を焼き尽くせ!」
「ぐるぁあああああああああ!!」
こいつがいたことをすっかり忘れていた。なんでこんなタイミングで出るのよ。
いや、それもそうか。このドラゴン、ホーク達が従えているんだ。何でホークがこんなヤバい奴を従えられるのか納得いかないけど。
とにかくこいつを倒さないと。
「邪魔しないで、フレアボール!」
一発火の玉を浴びせてやった。でも効いていない。
「ぐるぁあああああああ!!」
「火炎系は駄目か」
直後、ドラゴンの口から大量の炎が吐き出され私に襲い掛かる。
炎攻撃は難なく回避できる。でもやっぱりこのドラゴンは見た目通り炎の使い手ね、火炎系攻撃だと歯が立たない。
さすがにジョージが苦戦しただけのことはある。かといって、今持っている銅製の剣でも心もとない。ならば別属性の魔法で太刀打ちするしかない。
「来るなら来い!」
直後、ドラゴンは翼を広げ飛び立った。空高くまで飛んで、私に向かって降下してくる。
まさかあの巨体で体当たりするつもりなの。マチルダがいるっていうのに、あの巨体が地面に激突したらとんでもない被害になるわ。
「させないわ。ライトニングバレットで……」
片手じゃ駄目だ。両手を組んで、右手と左手の人差し指を降下してくるドラゴンに向けた。
そのまま人差し指の先端に、全魔力を集中させる。見る見るうちに雷の弾丸が大きくなってきた。
そしてドラゴンが炎を口を開け炎を吐いた。今がチャンスだ。
「はぁあ!」
魔力を高めたライトニングバレットを発射させた。今までにないくらいの巨大な雷の弾丸が、一瞬でドラゴンの顔まで届いた。
ドラゴンが吐いた炎も一瞬でかき消され、上空で閃光が走る。そしてドーンという爆発音が響き渡った。
「くぅう……これでやったわよね」
そして私の予想通り、前方の地面にドラゴンは落下した。力尽きて落下したみたいだから、そこまでの衝撃にはならずに済んだわね。
これで一件落着、あとはマチルダを探さないとね。
私はホーク達がいた場所へ向かうため、ドラゴンの横を通り過ぎた。
その時、突然背後から何かが迫ってくるのを感じた。
「え?」
振り向いたけど遅かった。なんと私は吹き飛ばされ、そのまま岩壁に叩きつけられた。
ドラゴンは生きていた。長い尻尾で私を叩きつけたのね、完全に油断してた。防御魔法もろくに展開できなかったわ。
「ぐふぅ……やるわね、あんた」
体中に激痛が走る。こんな痛い攻撃を喰らったのは久しぶりよ。
でも私にこれだけダメージを与えたんじゃ、絶対にただでは帰すわけにはいかないわ。
「とことんまで付き合ってやろうじゃないの」
「ぐるぁあああああああ!!」
ドラゴンはよろめきながらも、再び起き上がった。そして私の方に体の正面を向けた。
大きな口を広げた。また炎を吐くのかと思いきや、そうではなさそう。
なんと口の中に大量の魔力が送り込まれていた。あのドラゴン、魔法まで放つのか。魔力の量的に、ヤバいのが来るのは嫌でもわかった。
「次の一撃で決めるつもりね。ならば……私も」
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