四国地方の神様について

@tokumeimmm

四国地方の神様について

一昨年の秋頃、

私は四国のとある県へ、単身、転勤で越してきました。


私は元々ホラーやオカルトの類が大好物で、

初めて行く地域では必ずと言って良いほど、

その地域で有名な心霊スポットに訪れる習慣がありました。


いつものように、2ちゃん●るのオカルト板や

心霊情報サイトなどを閲覧している最中、ある記事に強く興味を持ちました。

その記事は、その土地に古くから定着している神様に関するものでした。


神様の概要をまとめると、以下のようになります。

・その神様は「ぐぞうさま」と呼ばれている

(後述するブログの主が、現地の方から聞いた名前のようです。)

・「ぐぞうさま」は〇〇という地域の●●●山に祀られている

(対象の地域と山の名称は伏せさせていただきます。四国地方の東側山間部であることだけお伝えします。)

・「ぐぞうさま」に魅入られると、一家全員とり殺されてしまうという言い伝えがあり、地元に昔から住んでいる方からは、とても恐れられている存在である

・祀られている理由などは、ネットで調べた範囲では分からなかった


追加情報として、私が閲覧した記事(とあるブログでの現地訪問記事)の内容をまとめます。

・現地はマップアプリ等では簡単に見つけることができない

(そのブログには、大まかな位置を記載してくれていました。)

・現地には鳥居があり、その先の階段を登ると祠がある

(ブログに写真が掲載されていました。)

・祠の中には石(顔が彫られているように見えなくもない)と、その手前には木箱が置いてある

・祠の前には泥?を積んで作ったような山が複数ある


ここまでが、当時調べた情報の全てです。

この情報から、とある有名なオカルト作品を連想しました。

「一家全員とり殺されてしまう」という部分は少し違っていますが、

写真に写っていた「木箱」を見て、例の木箱に特徴が似ていると思いました。

オカルト作品を普段から読んでいる方は、すぐにピンとくるかと思います。


ただ似ているだけ、という理由なのですが、この記事に強く惹かれました。

神様が関わるオカルト作品というのは、

絶対に人間では対処できない、どうにもならないような結末を迎えることが多いことを、私は知っていました。

そのため、例えば人間由来の幽霊であったり、ちょっとした妖怪であったり、そういう類のものと比べて、恐怖の度合いが高いように思っています。

また、私が越してきた地域では、その他のオカルト情報にあまり目ぼしいものは無かったことも「ぐぞうさま」に関心を寄せる理由となりました。




早速連休を利用して、現地に向かうことにしました。

●●●山は、私の住まいの市街地から2時間ほどバイクを走らせた所にあります。

30分ほど走ったところで、雨が降り出しました。

雨の多い地域ですから、普段から持参していたレインコートを着て、バイクを走らせました。

●●●山は、山の中腹あたりまでは車道が続いていて、中腹にはパーキング代わりの広場がありました。

そこからブログに掲載されていた目的地までは、徒歩で行く必要がありました。


パーキングから20分ほど山を登った所で、古い鳥居を見つけました。

鳥居からは階段が続いていて、上に抜けれる様になっていました。

秋の終わりということもあり、階段には濡れた落ち葉が積もっていたので、足を滑らせない様に気をつけて登りました。

階段を登ると少し先の方に、例の祠がぽつんと立っていました。

近づいてみると、ブログの写真と同じものでした。

また、山積みになった泥のようなものも、写真と同じでした。


祠は、一般的によく見かける木製のもので、前面には観音開きの扉が付いていました。

扉に鍵などはかかっておらず、簡単に開くことができました。

ここもブログと同じく、顔が彫られたように見える石と、その前面に木箱が置いてありました。


石はかなり古いものの様で、少し苔生していました。

私が「顔の様なものが彫られている」と思ったのは、

・その石が雪だるまの様な形をしていること(下に大きい球体、上に小さい球体がある)

・上の球体の真ん中に鼻を模した様な突起と、目の位置が削られて窪んでいること

という点を見てのことでした。


次に、木箱を観察しました。

大きさは10cm×10cm×10cmほどの正六面体でした。

それぞれの面に、丸く形どった布?が貼ってありました。

持参していた軍手を身につけて、手に取ってみました。

箱を振ってみたのですが、中から音はしませんでした。

丸い布?は黒ずんでいて、触れてみましたが、布にしては少しザラザラとした感じがありました。(軍手をはめていたため、実際の感触とは違っていたかもしれません。)


中から音はしなかったのですが、思っていた重量よりも軽いように感じたので、中が空洞になっているのだと思いました。

そこで、箱を開けてみようとしました。

どこから開けてよいのかが分からず、引っ張ったりスライドさせたりと試してみましたが、箱は開きません。


色々試している内に、屈んで作業をしていたため、足が痺れてしまい、バランスを崩してしまいました。

よろけて足を着いたところ、泥?を積んだ山を踏んづけてしまいました。


その時の感触に、私は違和感を覚えました。

グニュッという感触がして、これは泥を踏んだ感触ではない、と直感しました。

踏んだところをよく見ると、周りの地面とは、少し色が違っていて、赤黒い色をしていました。

また、泥の様にペースト状?ではありますが、どことなく、元々形あるものをすり潰しているように見受けられ、気味が悪くなりました。


急いで手に持っていた箱を祠に戻し、扉を閉めて、逃げる様にその場を去りました。

パーキングに戻り、公衆トイレがあったので、靴を水で洗いました。

例の山を踏んだ方の靴についた赤黒い色は、洗っても落ちませんでした。


時計を見ると、既に16時をまわっていたため、今日は近場で一泊することにしました。

雨の中の行動で、ひどく疲れていたのです。

スマホで山を降りた町にあるホテルを検索したところ、幸いなことに空室も多く、難なく宿を押さえることができました。




山を降りて20分ほどバイクを走らせたところにホテルはありました。

部屋でシャワーを浴び、何か食べようと思い、町を歩いてみることにしました。

とはいっても、観光地という訳でもない町だったので、飲食店など数軒しか見当たらず、

結局ホテルから一番近くにある小さな居酒屋に入りました。


店に入ると、年配の客が2名いらっしゃいました。

その感じから、この店の常連のように見えました。

適当にご飯物のメニューと、ビールを注文しました。

注文したものが出されるまで、手持ち無沙汰になった私は、せっかくここまで来たのだから、と思い立ち、年配の客に「ぐぞうさま」のことを聞いてみることにしました。


(場所の特定を避けるため、会話はなるべく標準語で記述します。)

私「すみません、この近所にお住まいの方ですか?」

A「そうだよ。お兄さんはご旅行?」

私「旅行ってほどではないんですが、ちょっとツーリングで。」

B「この雨だから、今日はここまでにして、一休みか?明日はどこまで行くの?」

私「いえ、実は、この町が目的地なんです。」

B「珍しい。この辺りは何も無いだろう。田舎だからねえ。」

私「●●●山へ登山に行ってきました。」

A「こんな雨の中!?お兄さん変わってるね。」

私「△△市に住んでいるので、なかなか来れなくて。今日から連休だったので来てみたんです。」

B「でも●●●山なんか、面白いものなんか、何もないだろう?」

私「パーキングから少し登ったところに、鳥居と祠を見かけました。」


2人の顔色が変わったのが分かりました。


「お兄さん、体はなんともないか?」

「祠で何もしてないか?」

といった内容の質問をいくつかされました。


(疲れてはいましたが)体調が悪いというわけでもありません。

しかし、問題なのは…


私「…祠の中を見ました。」

A「中にあるものには触ったのか?」

私「箱を触りました。」


2人は、同時に顔を顰めました。


A「お兄さん、あれはな、簡単に言うと、良くないものなんだよ。」

私「良くないもの、ですか?」

A「うん。あれはこの地域では有名な神様なんだよ。」

B「あの場所自体も、地元の人間は、絶対に近づくなと小さい頃から教えられている。」

私「どんな神様なんでしょうか?」

A「詳しいことは俺らも知らない。ただ、良くないものだと小さい頃から親に言って聞かされていたよ。」

B「でも、あれについて詳しい人なら知ってる。紹介してやるから、明日にでも話を聞きに行ったほうがいい。」


そう言って、店主から紙とペンを借り、電話番号を書いて渡してくれました。


私「ありがとうございます。明日の朝にでも連絡してみます。」

A「そうしなさい。ところで、お兄さん、ご家族は?」

私「□□県にいます。妻と、8歳の息子がいます。私は単身赴任です。」

A「そうか。あのな、すごく言い辛いんだが…」

私「?」

A「俺らが、あれに近づくなと言われている、と言ったが、この地域ではこんな風に教えられる。」

A「「ぐぞうさま」に近づくと、祟りが起こる。近づいた人間だけではなく、その身近な人間にも祟りを振り撒く。自分の親を、子を、死なせたくないなら、絶対に近づいてはいけない。」

私「「ぐぞうさま」…」


B「…と脅かしてみたが、実際は、山に子供が入ると危ないから、っていうだけの、脅し文句だよ!はっはっはっ!」

A「そうそう。あんまり気にしなくてもいい。

でも、その話に興味があるんだったら、さっきの電話番号にかけてみるといいよ。

何にもないところだけど、土産話くらいにはなるだろう。」

私「そ、そうですか…ははは…」


そのまま一緒に食事をして、ホテルに戻りました。

食事中も、なんとなく「ぐぞうさま」の話題に触れてみたのですが、

それ以上の情報は得られませんでした。

結局、Bさんが言っていたように、単なる脅し文句だったのかと、

がっかりしたと同時に、少し安心もしました。

お酒もまわっていたのと、今日の疲れから、すぐに眠ってしまいました。




翌朝、私は身支度を終え、あの電話番号にかけてみることにしました。

雨の中、こんな遠いところまでやっとのこと来たのだから、

もう少し詳しい話を聞けたらいいな、と思ってのことでした。


電話をかけると、

「もしもし、Cです。」

と、年配の男性の声がしました。

私は、事の成り行きを伝え、詳しいお話を聞きたいとお願いしました。


Cさんは、ある神社の宮司でした。

お話を聞かせてくれるとのことで、ナビで場所を検索すると、ここから10分ほどの距離だったので、すぐに伺うと約束を取り付けました。


目的の神社に到着して、Cさんにご挨拶をしました。

Cさんは、軽い挨拶を済ませると、私を社殿の一室に案内してくれました。


C「先程、Bさんからもご連絡がありましたよ。」

私「そうでしたか。急な事で、すみません。」

C「いえいえ、お気になさらず。例の祠に行かれたのですね。」

私「はい。それで、昨日Bさんと知り合いまして、Cさんにもっと詳しいお話が聞けると教えていただいたもので。」

C「その事なのですが、実は私も、先代の父から聞いた程度ですので、お役に立てるかは分かりません。それでもよければお聞きください。」

私「ありがとうございます。単刀直入に聞きますが、「ぐぞうさま」とは一体どういったものなのでしょうか?」

C「あぁ、そうか。地元の方には口伝で「ぐぞうさま」と呼ばれていましたが、その名前は正しいものではありません。」

私「そうなんですね。」

C「正しくは、「ぐんぞうさま」と呼ばれます。漢字に直すと、「群憎様」となります。」

私「…」

C「「群憎様」の起源について、お聞きになりますか?」


そう言ってCさんは「群憎様」について、知っていることを教えてくれました。

以下に、Cさんからお聞きした内容をまとめます。




昔、●●●山には、川を挟んで2つの部落が存在した。

2つの部落は、ちょっとしたことから険悪な関係になり、諍いを起こしていたらしい。


ある日、相手方の部落の子供を、大人が突き飛ばし、子供は腕の骨を折った。

その事にひどく腹を立てた民は、報復を企てることにした。

武器になりそうな農耕具を集め、翌週の夜間に奇襲を仕掛けることを取り決めた。


取り決めをした翌日、1人の男がその部落を訪れた。

男は旅人らしく、本州から海を渡ってやってきたらしい。

男は、部落の殺気立った様子を感じ、何かあったのか、と尋ねた。

子供が怪我を負わされ、その報復をするつもりだ、と聞いた男は、強く引き留めた。

武力を行使すれば、大きな争いになる。

それでは、こちらの民も無傷という訳にはいかない。

そんなことをするより、もっと良い方法がある。

と言い、片手で持てる程度の木箱を手渡した。


不審に思った民が、これは何か、と尋ねると、男はその箱の使い方を教えた。

使い方を教えたというが、箱を相手方の居住領地内に置き、三日三晩、その存在に気づかれなければ効果がある、というだけのものだった。

その効果というものについて聞いてみても、使えばわかる、としか言わなかった。


それから、と前置きして、男は民にあるお願いをした。

全てが終わったら、祠を建て、その箱を祀ってくれ、と。


民は半信半疑ながらも、

夜襲を決行する日は5日後だったこともあり、

それなら今から試してみよう、ということに話がまとまった。


早速、若い民が夜間、闇に紛れて川を渡り、箱を木の根元に隠した。

若い民が戻って来ると、男は、私は山を降りる、すまない、と残し、部落を去った。


それから4日経った。

結局何も起きなかったじゃないか、と民は呆れた。

そこに、川沿いで相手方を見張っていた一人の民が、大慌てで部落に帰還した。

どうやら、相手方の部落内で仲違いがあったらしく、ひどく揉めている様子らしい。

数名の民が川沿いまで出てみると、相手方の部落から、悲鳴や怒号が、そこまで聞こえてきた。

騒ぎは昼過ぎまで続いたが、やがて、ぱたっと収まった。

妙な雰囲気を感じた民は、相手方の部落に行ってみることにした。

川を渡り、少し歩けば、相手方の居住地が見えた。

20名ほど住んでいるはずの部落だったが、人の気配がしない。

恐る恐る家屋を覗いてみると、女が倒れている。

続けて他の家屋を覗くと、刃物で刺された男。

次の家屋では、首を折られた女。

全ての家屋を覗いたが、全員が死んでいた。

1つ不可解だった点は、部落の一番端にある家屋に、首を吊った男の死体があったところだ。

他の死体は、全て他殺のようだが、この男だけは自害していた。


民は、あの箱の効果があったのだ、と気づいたが、

あまりの惨状に、箱をひどく恐れた。

男の言いつけ通り、すぐに祠を建て、箱を祀った。




私「えっ。ちょっと待ってください。「群憎様」って、祠に置いてある、石の方ではないんですか?」

C「はい。あれは部落の民が箱を恐れ、見張り役のような意味合いで、一緒に祠に祀ったのでしょう。ついでに言うと、「群憎様」は、あの箱のことをそう呼んでいるだけであって、神様でもなんでもありません。」

私「なるほど。てっきり石の方が、そうなのだと思っていました。」

C「ただ、あの箱が、良くないものであることに違いはありません。」

私「…あの箱を触ってしまったのですが、私にも、よくない事が起こりますか?」

C「それは分かりません。最初にお話しした通り、私も父から起源などは言い聞かされましたが、これまでに何か実害があっただとか、そういったことは無いのです。」

私「そうですか…」

C「ご心配でしたら、うちでも厄祓いを請け負っていますので、この後お時間があれば、いかがでしょうか?」

私「念の為、お願いします。」


C「あ、それから。」

私「?」

C「祠の前に、山のようなものを見ましたか?」

私「はい。確か5、6箇所あったはずです。その内の1つを踏んづけてしまいました。」

C「…5、6箇所?」

私「はい。」

C「そうですか…私さんは、この辺りにお住まいですか?」

私「いえ、△△市から来ました。」

C「それなら、この辺りでは、猫をとても尊い存在として、大切に扱っている、というのはご存じでしょうか?」

私「猫を?いえ、知りませんでした。」

C「はい。その、猫を大切にしているという話なのですが、

先程の部落の子孫の方が、山を降りた後、この地域で広めた話のようなんです。」

私「なぜ?」

C「「群憎様」にお供えをするために、数が減ると困るから、と聞いたことがあります。」

私「お供え…じゃあ、あの山は、もしかして、猫の死骸ですか?」

C「はい、そのようです。実は、私も年に1、2回、あの祠に伺うのです。その際に、あれが、すり潰した猫の死骸である事に気がつきました。」

私「…」

C「前回、私が伺った際には、山は3箇所しかありませんでした。半年前です。」

私「現在も、その風習が続いている、ということでしょうか。」

C「おそらく。」


そう言って、Cさんは立ち上がると、

「お話はここまでにしましょう。お祓いの準備をしますね。少し寛いでいてください。」と言って、部屋を出ました。

その後、お祓いをしてもらい、神社を去りました。




ここまでが、私が過去に体験した、「群憎様」にまつわるお話です。

オチのない話で、申し訳ございません。


私は今、大型連休を利用して、□□県にある住まいに帰省しています。

なぜ、私は今になって、過去の話を投稿しようと思ったのか。

それには理由がございます。

皆様に、助けていただきたい事があります。


妻の様子がおかしいのです。




私が帰省して、3日経った頃、妻の異変に気がつきました。

妻が、急にボーッと遠くの方を見つめ、瞬きすらしないのです。

数分経つと、ハッと気がついた様に、我にかえります。


最初のうちは、なんでもないことの様に思いましたが、

それが日に何度も起こるものですから、

私は妻に「大丈夫か?どこか悪いのか?」と聞きました。


そうすると、妻は、何のことだか分からない様子で、

いつも通り振る舞うのです。


それでも心配になった私は、なにかと理由をつけて、

妻を病院へ連れて行きました。


妻は自覚症状が無いため、私が代わりになって、

先生に、妻の異変がおかしいことをお伝えしました。


1時間ほど検査を受け、特に異常は無い、疲労が原因だろうと先生が言うものですから、

結局、簡単なお薬を貰い、帰宅しました。




その翌日のことでした。

私は、妻と息子を連れて、遊園地に行きました。

息子は大変喜び、大はしゃぎでアトラクションを楽しんでいました。


私と妻が、ベンチで休んでいる間、

息子は、コーヒーカップに乗りたい、と1人で行ってしまいました。

私は、妻の異変への心配を頭の片隅に置いていたため、

「疲れてないか?」と声をかけ、妻の顔を見ました。


妻は、コーヒーカップで遊んでいる息子を、物凄い形相で睨みつけていました。


私は、何故だか、動けなくなってしまいました。

妻は、息子を睨んだまま、「憎い。憎い。」と小さく呟いていました。

そのまま、1分ほど、それを続けたでしょうか。

ハッと気を取り戻し、息子の写真を撮り始めました。




その後、妻が息子を睨むところを、何度か見ることがありました。

妻に、「覚えていないのか?」と確認をしましたが、

本当に心当たりがない様子でした。


私は、ふと、「群憎様」のことを思い出しました。

いや、まさか、そんなはずはない、という思いはありますが、

どうしても、不安を拭いきれないのです。




私が、今回、この様な昔話を投稿するのは、

皆様から、妻を助ける手掛かりを頂きたいからなのです。


「群憎様」について、少しでも知っていることがあれば、

私に教えていただきたいのです。


私の興味本位の身勝手から、妻がおかしくなってしまいました。

私のせいです。

こんな情けない私に、どうか力を貸していただけないでしょうか。

何卒 よろしくお願申し上げます。

































追記


この話を書いている間に、妻が息子を殺しました。

首を絞めて、殺しました。


私が風呂から上がると、息子が倒れていました。

首筋には、はっきりと手形が見えました。


妻は、窓の外をボーッと見つめ、上の空といった様子で、

私の問いかけにも応じません。


これは「群憎様」の祟りなのでしょうか。

私のせいで、息子は殺されたのでしょうか。


私には分かりません。

分かりませんが、今はっきりと、強い感情が、私の中に生まれました。




憎い。憎い。

私の息子を殺した、妻のことが、憎い。

何よりも、私は、妻を憎んでいる。


殺してやりたい。

息子と同じ様に、首を絞めて、殺してやりたい。

苦しんで、死ねばいい。








私は、これから、妻を殺すことにしました。

首を絞めて、殺すことにしました。




これは、遺書です。

こんな私にも、少しばかり、自責の念があります。

原因は、おそらく私の、悪ふざけが過ぎたことにあります。


妻を殺した後、私は、首を吊って死にます。


さようなら。


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