第25話 チュートリアル6
猫耳少女の治療は時間がかかるだろう。
とてもすごくかかるだろう。
回復魔法は万能といわれるが、実際はそうでもない。
外傷や物理的なダメージで受けた傷なら時間はかかるが回復は可能。
高位の者や上級の魔法なら即時傷の修復が可能。
これはポーションや薬も同じことが言える。
彼女の傷は問題なく治る、しかし持病か免疫力低下で起きた内臓疾患による身体の不具合は無理。
時間と彼女の回復力に期待するしかない。
助けた皆は焚き火で暖を取り夢の世界に旅だっていった。
ここは拠点の跡地、洞窟前、洞窟の中から暖かな風がふきだしている。
暗いはずの奥からは炎の温かい光がてらしています。
少し大きな焚き火だよね。
再利用・有効活用・エコです。
夕食は破壊前に拠点から援助してもらいました。
肉、肉、肉、米とかなり偏りはありましたがナンクルナイサー!!
お米あるんですね、お米万歳です。
ミコトちゃんは猫耳少女の治療で魔力欠乏状態でダウン中、今はもう夢の中でしょう。
クマクマもバトルでテンション上がっていたけど食事してお休み中。
僕は眠くない。
奴隷商人のゴミを処分したから気分が高揚してるわけでもない。
多分、百二十年の弊害が残っているのだろう、前世の所為なのかもしれないが、記憶が曖昧でどこからが前世か今なのかわからなくなってきている。
自然とそうなので気にすることではない。
今の性格が自然なのだということにしよう、今回はやりたいように生きていこう。
しかし食事の面に関しては大きく改善された、天界から突き落とされるまで、食事にはあまり興味も持たなかった僕。
百二十年のほぼ絶食状態でも何とかなっていたからかもしれない。
それが今では毎日の食事が楽しみに感じている。
もはや十年位の残業仕事ならよろこ……多分やれると思うが、一週間絶食したら死ねる自信はある。
別に高級なものが食べたいわけではない、美味しければなんでも良い。
たとえそれが、そこらに自生してる草や木の実でさえあっても。
逆に許せないのはまずい食事に高い金を……あれっ?
これは間違いなく前世の感情だろう、今ではそう感じている。
そんな自問自答で時間をすごしていた。
拠点から接収した馬車で、最初の予定地だった村へ向かうことに。
しかし、この馬車……なんというか。
はっきりってボロい。
ボロなのは良いとしても、日曜大工を強制的にさせられるサラリーマンの
お父さんの方がマシなレベルの物だった。
車輪は左右のサイズが違う。すべて木材で出来ており、ショック吸収するものがついていないので地面の凹凸の衝撃をダイレクトに受ける。
幅二メートル、長さ五メートルの大きさの馬車というより骨組みのある巨大な荷車。
詰め込んで多少無理をすれば、子供全員と女性達なら乗れるかもしてないが。
いつ壊れてもおかしくは無い。拠点に馬車は沢山あったのだけど…………
僕の完璧な潜入からの二人の見事な強襲。~~からの成敗の爆破の結果です。
以前爆破の時、『ポチッと』表現しましたが実際は導火線に火をつけただけです。
すみません少し、時間の母艦のように表現をかっこつけました。
爆破により、まともに動くのは一台だけ。
馬車の馬も4頭を残し森に逃げていきました。
はい。救出後のことなどまったく考えてませんでした。
そこまで考えて無かったです、無計画と思うなら思ってください。
勢い任せの考えなし、正義とか悪人にはとか言いません。
これは、この行動は僕自身のわからない感情に任せた結果です。
反省はしますが後悔はしてません。
その時代時代にはそれぞれの考え、法などがあり今は正義であっても。
時代が変われば悪になったりするのが世の中です。
馬車を走らせ数日が経過しました。
すでに陽が落ち始め、周囲は段々と暗くなってきました。
無理はせず、少し開けたスペースで今夜は休むことに。
馬車を止めミコトちゃんの持ち物の簡易結界を張ります。
これは使い捨てではありません。
魔石に魔力をチャージすれば何回でも使用可能の高級品。
値段やその価値はぴんと来ません、仕方ないのです。
転生してから今日まで買い物なんてやったこと無い、生活の全てをミコトちゃんに頼りきりヒモ兼自宅警備委員候補なのだから。
魔石はサイズや質で使用回数が違います。
簡単に言えばサイズが大きいほど高価で魔物は強敵になるのかな。
ミコトちゃん、本気で有能で万能道具持ち。アイテムボックスも持ってるし。
まさにあの未来からやってきた…… 狸? いやあの超有名でもある。
人間堕落ロボットみたい。
…………教育的指導を受けました。
なにやら「ばかもの!!あの神ごとく人の創造物ーーーー弩羅絵門次郎を馬鹿にするなぁぁぁーーーー教育(修正)してやるーーーーー」とね。
苦笑いしてる皆の視線が……って、クマクマも。
ここまでの道のりで遭遇した魔物や野生動物。
そのすべてをクマクマが倒していた。
今日の戦果。
高さ二メートルほどのイノシシ。
サイズおかしくない?
三メートル半のオークアサシン。
二足歩行の豚、これ食べられるの? この巨体でアサシンって……
しかしこの人数の食料には充分の戦果だったよ。
女性陣に調理を任せ、僕は水くみに……
あっ、魔法で水を。
そうですか。
では火をおこーー
魔法ですねわかってました。
はぁ、僕も魔法を使ってみたいな。
調理のお手伝いーーーー駄目です。
僕には料理の才能なんてないです。
詰め込み教育と前世での記憶で一応知識はあるのだけど、 ミコトちゃんに頼りきりだった。
自分の怠慢さが許せない。
僕は堕落したようです。
もう完全な人気ジョブである自宅整備員になってしまったのでしょうか。
深夜、野宿してる馬車の中、衰弱していた少女が目を覚ました。
身体の傷はほとんど治っているが、内臓疾患のほうはまったく回復していない。
大丈夫だろうか?
もしかしたら、いやおそらくは……村まで持たないかもしれない。
……せめて少しでもお腹を満たしてあげよう。
今の僕にはそれくらいのことしか出来ないから。
この猫耳少女。
薄汚れて毛色もはっきりとわかる。
虎猫だ、間違いない。
馬車の天井につるされた魔道具のライトの明かりが眩しいのか、目を細めこちらを……
目が合った。
かわいらしいお腹の音が聞こえた。
紳士な僕は、そっと用意してあった堅いパンを冷めたスープに漬し差し出した。
「----!!」
「ハグハグッはぐはぐ………!」
差し出した指先に痛みを感じた。
どうやら彼女に指ごと噛み付かれたようだ。
よほどお腹が減っていたのだろう。
まったくひどい連中だ。
蘇生呪文や復活させる万能葉っぱがあれば。
もう一度説教をして、命の灯火が尽きる前に彼女自身に恨みを晴らさせてやりたい。
「みゃ!!」
「えっ?}
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