第21話 チュートリアル2

 眩い光に包まれたクマクマ。


 数分ほどして光は収まり消えていた、何が起こったのかな?


 特にかわったところは無い、黄色の身体で手のひらサイズでコンパクト。


 いや、毛並みが少しだけどもふもふアップしてる。


「ふむ、やはり進化したようじゃな」


「進化? 進化ってあのテンプレでよくあるあれ?」


「そうじゃ、その進化じゃ。 見よまさにこの種族としては規格外の存在じゃ」


 いや~~見よとか言われても、僕に鑑定スキルなんてないし。


 ましてや存在感なんてわからない。


 僕はただの普通の出来損ないの失格天使なんだから。


 そんな僕に彼女は教えてくれた。


 名前 クマクマ(ケイの眷属獣)


 種族 スモール・リトル・プチベアー


    →ディストラクション・リトルプチベアー(破壊の小さき熊)


 HP(体力)20→93


 MP(魔力) 3→33


 STR(力)79→666


 ATK(攻撃力)※魔物には装備適応扱いが無い為表記なし   


 VIT(生命力)20→120


 DEF(防御力)50→150


 INT(知力) 176→350


 RES(抵抗力・魔法抵抗力)190→402


 DEX(器用さ)10→20


 AGI(素早さ)68→299


 LUK(運)  129→150


 固有スキル 隠れる1→2 逃げ足1→3 (擬死2→消失)


       戦闘時加速1(NEW) 部位硬化1(NEW)


 とんでもなく強化されていた。


 なんでこんなことに、一体誰が?


「ヌシ様にきまっておろう」 


 いやいや、僕にそんな力なんてないよ。


 それに急に様付けはやめて、うんいつものようにお願い。




 草原地帯を抜けると、また木々の密度が増えはじめた。


 草や見たことも無い植物の多々見られた。


 幅十メートルほどの川が見える。周囲を見回すと遠くに橋のようなものが。


「間違いなく橋じゃな、このあたりは一応人間種の生息域じゃから当然なのじゃ」


 まぁ、確かにミコトちゃんが完全な魔物の支配域からスタートするとは思えない。


 なんていっても、スライムにすら負けそうになる。


 そう、こ の 僕 という超お荷物が居るからね。


 木を繋ぎ合わせたような簡単な造りの橋ではあるが、大型の魔物ならいざ知らず、人間が通行するには問題ない。


 両端の先には舗装されていないが道らしきものもある。


 とりあえず橋を渡り進んでいくことにする、舗装されていない土の道ではあるが、始めのスタート地点のような木々の密集地ではないので歩きやすい。


 僕のコナ〇くん並みの頭脳の推理によると、これなら馬車2台くらいなら余裕で通れるほどの幅はある。


 ……。


 はい、正直言うと馬車の車輪の轍が残っていました。真実はいつも―ーってことなのです。


 完全に人が居ますね。


 魔物の姿は見かけませんね、声や叫び声なんかは遠くに聞こえるのだけど。


 人の通行がある道の近くには近寄らないのかな。



 そこそこ歩きやすい道、体感で三十分ほど歩いたところ。僕はクマクマを休ませようと木陰に腰をおろした。


 すると突如頭上に影が――バックアタックいやオーバーヘッドアタックだ……語呂悪ッ!! なんと木の上からスライムが降ってきた。


 しまった!!


 完全に奇襲された、ミコトちゃんですら反応できてはおらずただ見ているだけだ。


「――ッ、クマクマにげ」


 駄目だ間に合わない、せめてクマクマだけでも。


 クマクマは強くなっていた。


 まさに瞬殺だった。


 姿が消えたと思ったら、スライムの目の前に現れ光る右手で殴りつけ吹き飛ばしていた。


 輝く指、シャイニングふぃ――いや爪だから、シャイニングクローっやつ。


 すごくカッコイイ!!


 男なら間違いなく血が騒ぐ、必殺技ですよ!!


 気を取り直して、このスライムは上位種であるリーダースライムだと言う。


 単純にスライムの十倍の戦闘力をもつなかなかの強敵。


 どうあがいても最弱のスモール・リトル・プチベアーが勝てる相手ではない、人間なら子供程度丸呑みする魔物。


「キュ、キュキュキュッ!!キューキュ!」


 我が前に立ちふさがった己の運命さだめを恨むのだな……か。


 えっ、クマクマってこんな性格だっけ?


 あぁ、なんとなくかっこいい台詞を言ってみただけ。

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