第20話 チュートリアル1
この世界のスライムについて。
まぁ、一部例外もあるが。
スライムとは魔物の中では最弱の部類にはいる。
その姿は多種多様、水溜りのような液体のようなものもいれば半透明のゼリータイプもいる。
先ほど遭遇したのは半透明でアメーバのようなぐにゃぐにゃの不定形なやつだった。
スライムの中では普通、不意討ちで顔を覆われなければ誰でも、小さな子供でも問題なく倒せる。
身体の中心部にある親指ほどの魔石と呼ばれる万能燃料の元を体内から引き出すか、壊せば簡単に倒すことが可能。
これはどのタイプのスライムでも同じ。
魔石は異世界ものでよくある燃料の代わりとなるアレ。
説明は不要なほど浸透してると思う。
魔物には必ず大なり小なり魔石を体内に持っている。
持って無いものはただの野生動物。
魔石は当然買取してもらえるから大事に保管した。
塵も積もればってやつね。
このもふもふの熊。
正式名 スモール・リトル・プチベアーと呼ばれる魔物。
いや、小さいがかぶりすぎでしょ。
誰もツッコミしなかったの?
ネーミングセンス的に命名したの転生者か転移者かな?
体長は大人でも十センチ程度にしかならない。
雑食だが、果物が好物。
小さいながら熊なので、そこそこの力を持つがもふもふなのでダメージほぼ与えられない。
性格もきわめて温厚温和、なのでなんの脅威にもならない。
地上最弱の魔物といわれている。
何の害もないから、見た目からか裕福な権力者達からかなりの人気であったとされる。
乱獲により絶滅寸前、滅多に見ることも出来ない超レア魔物、SR、SSRを超えるウルトラレアキャラと呼ばれている。
確立としてはゼロコンマゼロ、いやオーナインシステムくらいか?
今では一匹で貴族位が買えるほどの金貨で取引されているとかなんとか言われている。
――が、そんな些細なことはどうでもいい。
僕としてはこのもふもふを感じれれば。
「というわけで、君を僕の友達にしたいと思う、この世界で始めての友達だよ」
「……キュ」
「えっ、そうなの」
「キュッ、キューーー! キュイ!!」
「…………ヌシよ」
「よしわかった、それに食べるものも提供する」
「キ!! キューーー! キューー!!」
「…………」
初の友達ができた。
あのファンファーレが聞こえた気がしたよ。
すごくうれしい、冒険の旅に出て良かった。
チュートリアルでこの森からスタートしてよかった。
ミコトちゃんには感謝しかない。
「じゃあ約束どうり名前をつけてあげるね…………う~~んと何がいいかな」
「ええ~~い、自己完結するな、説明せんか!!」
数分の間、熊ちゃんの名前を考えていたのだが。
すごい剣幕のミコトちゃんに頭を叩かれ我に返った。
一体彼女は何をプリプリ怒っているのだろう?
お腹がすいたのかな?
~~話のすり合わせ後。
簡単に説明し納得してもらった。
ミコトちゃんには熊ちゃんの言葉がわからないらしい。
何故なんだろう?
僕には普通に聞こえるが、あの派生の赤の人のような声で。
最初の言葉は「……いいよ、じゃあ、あと名前付けて」だよね。
次は「えっ本当に! わーーーい! うれしいよ!!」
おっと忘れてた、僕としてはミコトちゃんは色々教えてくれた師匠なので別枠扱い。
では、名前付けの再開だ。
―――しかし、結局名前はミコトちゃんが考えることに。
折角色々考えたのに。
例えば、棍棒装備させて「オリオン」あれもぬいぐるみみたいだし「熊吾郎」や「熊夜叉」「くまにん」「くまのぷ〇さん」
―――とかね。
自分の才能が恐ろしい。
名前付けには絶対の自信があるのだよ。
無視された。
解せぬ!!
「おぬしの名はクマクマじゃ」
まんまじゃん。
いえ、何でもないです。
クマクマも喜んでいるからよしとする。
「では今日から君の名前はクマクマだよ、これからよろしく」
「キュ――――!?」
クマクマが喜びの声をあげた瞬間。
クマクマの身体が眩いばかりの光に包まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます