第13話 これからのこと1

 身体も完全ではないけど動くようになった。


 あの苦痛の日々から開放された。


 ようやくだ、ようやくあの地獄のような日々から。


 だがしかし、神は僕を見捨ててなどいなかったのだ。


「ふふふ……」


 おっと、思わず口に出てしまった。


 僕は自由、フリーだ、ストライクではないフリーダム。


 僕の好みは正義のほうじゃないよ。



 ――などと、考えていたころもありました。


 自由などなかった。


 地獄ともいえる苦しみ。


 苦行の日々は継続された。


 朝は七時位に起床。


 その後、温かいお茶で一息ついた後、ゆっくりと食休み。


 たまにお茶の時和菓子などのご褒美もあったが。


 十二時まで雑談や軽い運動、その後食事。


 そして再度食休み、ここで嬉しいボーナス。


 読書タイムだ。


 ただしたったニ時間だけ。


 それからお布団に押し込まれ、夕食まで強制的に睡眠を余儀なくされる。


 簡潔に言えば長い休憩の意味のシェスタってこと。


 朝昼よりちょっと豪華な、いや少し思い出した前世に比べればってことだけど、最後の晩餐といっとも大袈裟ではないと思う。


 途切れ途切れの記憶では。


 ん~~ほぼ手製の塩むすびか。


 食パンの耳数本を食べた記憶位しかない。


 と、まぁそれはおいておいて夕食後のお楽しみ。


 これは本気で嬉しいお風呂。


 そう、日本人なら誰でも好きな。


 O・F・U・R・O です。


 お風呂が嫌いな日本人などいない。


 いや、いてはいけない。


 それは人生の三割は損してると断言するよ。


 壁の一面がガラス張りで、スカイビューが美しい(辺り一面真っ暗で何もみえないけど)大浴場。


 同時に軽く二十人は入れそうな総ヒノキ造り浴槽。


 日本の高級宿のような細やかな造りの内装。


 当然入り口には大きな《 ゆ 》の文字の暖簾。


 わかってるねぇ~~そんな気がする。


 少し熱めの温泉かけ流しのお湯。


 どこから温泉をって感だが、このお風呂の前ではそんなものは些細なこと。


 ゆったりと体感二時間すごす。


 風呂上りには瓶入りの牛乳。


 コーヒー&フルーツ牛乳も可能。


 軽く歓談の後、柔らかなお布団に包まれ就寝。


 ――という、かなりの苦行。


 これでわかったかと思う。


 いや、一部のお風呂やお布団は至福なのと。


 食事に関しては別だけど。


 ミコトちゃんの料理の腕はすごい、食べた記憶はないがおふくろの味だった。


 あぁ、このとてつもなくだだっ広い屋敷、彼女以外誰も住んではいない。


 よくわからないけど、ミコトちゃん専用の空間らしい。


 掃除はどうやって?と声をあげたい。


 はっきり言わせてもらえば掃除をさせてくれと。


 あぁ、円盤タイプのあれですか、そうですか。


 ……優秀ですもんねアレ。


 食料などは地上で集めたり、購入したり、よくわからない謎ポイントを消費して手に入れていたそうだ。


 ポイントとは何かしらの行動に関しての報酬らしい。


 いたそうってのは今現在は使用不可能と言っていた。


 あと、ミコトちゃんはこの世界の住人? ではないと聞いた。


 それ以上のことは教えてくれない。 



 そしてある時、それは限界を超えた。


 そうです、あの天元突破のように。


「まったく、どうして僕を自由にしてくれないの?」


「いや、完全に悠々自適な暮らしじゃろうが」


「どこが?なんで僕の自由(仕事をさせて、あと睡眠なんて週に一時間で充分だよ)奪うの」


「?」


 なんでわかってくれないんだろう?


「自由(書類整理でもいい、何かの資料整理でもいい)を」


「???」


「僕に自由を(なんならお手伝いでも)プリーズ」


「???????ちょっ、ちょっと待て何か言葉と心のズレが……」

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