第8話 君(少年)の名は2


「――――!?!? なっ、なっなんじゃとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――」 


 龍ちゃん。


 いやミコトちゃんの叫びが屋敷に広がった。


 ワナワナ……と身体を震わせる。


 その彼女の前に、何やら半透明なものが浮かび上がっていた。



 そう、これはあれです、異世界物のあれです。



 あのお約束、天ぷら、いやテンプレのステータスボード。


 来ましたよ、ついに来ました。


 テンション上がってまいりました。


 ハイテンションを超えた、あのスーパーなハイテンションです。 




 ちょっと冷静に。


 こほん、前世の僕、いや私はラノベは好きでしたが〇タクではありませんでした。


 はい、ちょっと空想物も好きな極、極普通のおっさんでしたよ。


 仕事も真面目でしたし、って話がそれましたね。


 ですが、一言言わせてください




 今の僕は十二~三歳(不老みたいなので見た目)の外見(実年齢は前世五十の転生後百二十年ほどで約百七十歳オーバー)に精神が引き寄せられ幼児退行してるようなので合法。



 セーフです、厨ニ病なのです。




 ……ん?


 おや、何か変な気がしますね、ですがまぁ、気にしないでください。


 そう、ステータスボードです、自分の能力が確認できるアレですね。


 ミコトちゃんの前に浮かぶ半透明のボード。


 ボード自体は見えるのですが、残念なことにこっそりと覗き込んでも抜こう側が見えるだけ。


 窓ガラス越しに景色を見るようなものだった。



 残念。


「いやいや、おぬしこのボードが見えるのか? これはワシしか見えるはずじゃが……、って、そんなことよりおぬし何をした一体ワシになにをしたのじゃ! 吐け、さぁさぁさぁ」









「すまぬ、ワシとしたことが少々取り乱した」 


「はぁ、僕は何も気にしてないけど」


「いや、少しは気にするのじゃ」



 話を聞いたところ。


 ミコトちゃんの名前がステータスボードに書かれてあったらしい。


 それの何に問題が?


 自分自身のステータスボードに、名前があって何が悪いというのか?






「いや、そうではなくてワシの名前は#### ## 命## #######じゃ!」


 これでわかったと思うが、まったく聞き取れない。


 超音波とか、あのキィ――――ンとか耳鳴りみたいな不快な音の中。


 何とか聴き取れた言葉が命ミコトだった。


 うん、だからミコトちゃん。


 年齢も……女性に年齢は禁句。


 それはどの世界でも共通の認識だろう。


 見た目は僕のほうが下だが、実際は前世をカウントしなくても百二十年は確実。


 


 それで彼女が何を言いたいかといえば。


 実際の名前が消え、ミコトという名前に固定された。


 つまり名づけ(格上から格下に名前を与え、能力UPや進化)された上。


 能力値に大幅制限がかけられたという。


「まぁ、すぎたことはもう良い、で、ぬしの名は?」




 ……えっ?

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