第3話 超がつくほどブラックだった3


  ……またまた、あれからどうなったかというと。




 およそ(時計など無い)ニ年経過していた、これで全体の三割ほどのかたずけが終了(分類ごとの場所に)






 その間一度もあのメガネ天使は来ていない。




 まぁ当然、食事も睡眠も……トイレは……どうやら必要ないらしいからまったくとっていない。




 最初の一週間およそは空腹感(そんな気がした)や睡魔(みたいな感じ)はあったものの、前世で給料前、なけなしの所持金を募金した時に比べればまったく気にならない程度だった。










 ……さらに五~六年ほど経過。




 カレンダーも時計も無いので時間感覚が曖昧になっている。


 




「ふぅ~~ようやく資料整理(現在も毎日少しずつ増えていたが問題なく整理終了している)が終わった。でっ、次は資料作成とその企画事案の作成か~~」




 完全な社畜が出来上がっていた。






 




 さらに三十年ほど経過。




「よし、これで2658761件の企画事案完了……そんで、あとはメガネ……いや天使長の決済印待ちで~~転送っと!」




 社畜道まっしぐらの少年天使であった。








 途中、何度か空腹感や睡魔がおそってきたがなんとか撃退に成功。




『『実際は天使に寿命がなくとも、飲まず食わずで長時間過ごしたり、睡眠せず起き続けていれば強制的に活動停止するのが普通』』




 普通の天使達なら前世の生活習慣の感覚が残っているので、ニ~三週間で発狂するか活動停止している。




 しかし少年天使は休むことなく、約三十五~六年ほど働き続けていた。






「う~~ん、……少し頭が少しぼ~~とするし。周囲がぐるぐると回るっているような」


 


 ふむ、まぁ寿命もないって言ってたし。




 外見も変わっていないので不老なんだと思う……おそらく気のせいだろう。








 さらに二十年経過。




 う~~む、なんかお腹が……それに視界もかすんでいるような。




 気のせいだ、そうに違いない。




「さて、今日も頑張ろう」














 ~~そして百二十年後、冒頭シーン~~








「チッ、本当に無能は楽することしか考えてないな、少しは上司の役に立とうと考えないのかよ。まったく何で俺様が自ら……おぅ、これだこれだ」




「…………」




「フンッ、ケッまあこれで我慢してやるか。スキルも持たない役立たずの無能にしてはマシか。いいか、無能は無能なりに俺様の役に立てることを誇りに思うことだな。わかったらうずくまって休んでないでさっさと働け!!」








 少年の返事も聞くこともなく、積み上げらた書類の山を乱暴に崩しながら一つの書類束を持って立ち去る天使長。








 静けさを取り戻した空間。






 一人残された少年はゆっくりと立ち上がり、元は白だったであろうボロボロの服の袖で額の血をぬぐい、散らかった書類をかたずけると再度積みあがった書類を整理し始めた。




 






 ふむ、ひさしぶりどころかこれで二回目だな、メガネ天使長を見たのは。




 相変わらずなにやら怒っているし、機嫌も悪いみたいだな。




 しかし、どうにもお腹がすいてる気がするしてならない、眠い気もする、あっ、よく見たら服がボロボロだった。






 お風呂も入ってないが、身体は綺麗なままなんだけど服は風化?


 


 いや劣化かな? したみたいだ。




「それにしても、この体血でるんだ。ちょっと、いやかなり痛かったがそれはいいや」




 まぁ、血は止まったしいいか、いや、袖で拭いたのでボロボロの雑巾よりひどい格好だな。






「ふむ、……新しい服の支給はないのかな?」






 普通ならぶち切れてもおかしくない、いや、普通なら最初の数週間でぶち切れ天使長を殴り殺してもおかしくないほど、超ブラック企業? である。




 いや、この少年天使に怒りの感情はないのだろうか。

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