第60話王様とアリューレ
それにしても今回アリューレが横に並んで色々サポートしてくれて本当に助かった。アリューレがいないと完全に頭がパンクしていたところだった。
後でわかったことだが、このパーティーに参加していたのは王家に連なる貴族や、領地を持たない王都住まいの貴族が中心だったようで、王都の外の貴族はほとんど参加していなかったらしい。
王家の威光も外の貴族達には薄く、同じ国の貴族でありながら領地を争い戦争を繰り返しているらしい。
同じ国内で争うというのがよくわからないが、貴族の領地そのひとつひとつが小さな国のような感覚らしく、王国はあくまでもその集合体ということらしい。
随分と俺のいた時代と考え方が違うが自分の国の貴族が信用ならないとなれば国王陛下の心労はかなりのものだろう。もしかしたらそれもあって体調が優れないように見えたのかもしれない。
「ラティス、楽しんでますか?」
「いや、ちょっと慣れないことして疲れたかな」
「今日はラティスが主役だから仕方がないわね」
「アリューレはよくパーティーに参加するの?」
「これほど盛大なのは、そうないけれどもう少し規模の小さいものには時々参加しているわ」
「さすがは侯爵令嬢だな〜。俺には縁の無さそうな世界だよ」
「ん〜多分これからは縁ができると思うけど。みんなも落ち着いてきたし、そろそろ国王陛下にご挨拶に伺った方がいいんじゃないかしら」
「やっぱり、挨拶に行く方がいいのかな」
「そうね。行くのが礼儀でしょうね」
正直、国王陛下となにを話せばいいのか検討もつかないが、アリューレに促され国王陛下の御前へと歩を進める。
陛下の前に立ち緊張しながら挨拶をする。
「陛下、この度はこのようなところにお招きいただきありがとうございます」
「おおレクスオールか。なかなか良い衣装ではないか」
「ありがとうございます。アリューレが選んでくれたので」
「アリューレ、ああ、そこのヴィレンセの娘か」
「陛下、ご無沙汰しております。アリューレ・ヴィレンセでございます」
さすがは、アリューレだ。国王陛下を前にしても堂々とした振る舞い。俺とは段違いだ。
「レクスオールと仲が良いようだがさすがはヴィレンセの娘というところだな」
「お褒めに預かり光栄です」
「虫がつかぬよう難儀なことだ」
「いえ、これくらいのことしかできませんので」
「ハハハハ、フェルナンドがよく躾けているな」
短いやりとりだが、なんか怖い。当たり前だがお二人共貴族然とした会話で空気感がすごい。
違う緊張感を持って二人のやりとりを見ていると、突然会場にガラスが割れるような音が響き、後方を見ると全身を黒い衣装で統一した仮面の一団が扉から雪崩れ込んできたと思ったら、一斉に散り剣とナイフを使い会場の灯りを次々に消して周り、あっという間に会場は真っ暗になってしまった。
あとがき
あと1週くらいでラストになります。
よろしくお願いします。
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