第59話 お披露目パーティ
話をしている間に王宮へと到着したが、開会まで少し時間があるので控え室へと案内された。
さすが侯爵家の控室は豪華絢爛で、俺が前回通された部屋とは全く別物だった。
控室にはハーブティーやお酒まで用意されていたが緊張から何も口にすることはできなかったが、フェルナンド様は上機嫌でお酒を飲まれていた。
「やっぱり王宮の酒は美味いな。うちでも同じ物をと思うけどやっぱり王室御用達のお酒はここでしか飲めなかったりするからね。これもパーティーの楽しみのひとつだよ」
さすがにフェルナンド様は慣れているのか余裕だが、係の人が呼びに来て先に行ってしまったのでアリューレと二人になってしまったが、この格好で二人きりは不敬だがちょっと照れ臭い。
しばらくすると俺達二人も呼ばれ、いよいよホールへ並んで入場する事となったが一歩踏み入れると、そこはおとぎ話に出てくるような豪華絢爛なホールで、周囲には既に多くの貴族らしき人たちが入場しており、全員の視線が俺とアリューレに集中しているのを感じる。
「ラティス進みましょう」
「うん」
気後れして立ち止まった俺にアリューレが声をかけてくれるが、エスコートするはずが、完全にエスコートされてしまった。
俺達が入場すると、係の人が大きな声で紹介を始める。
「ヴィレンセ侯爵家アリューレ様〜。続いて本日準男爵へと陞爵されましたレクスオール家のラティス様〜。ラティス様はグリフォンの化身とも称される若き英雄。数々の戦功を打ち立て本日陛下よりお言葉を賜っております。ラティス様は陛下の盾、そして槍であると」
過剰な案内を聞いた人達が次々に拍手と共に迎え入れてくれた。
そして俺達が入場を済ませると最後に両陛下が入場された。
「皆の者よく来てくれた。今日は若き英雄を新しい貴族家として迎えられた事嬉しく思う。約束してくれたが今日よりラティスは我が盾となり槍となる。これは我が王国の新たな一歩である。皆も我の盾、槍となり王国に栄華を!」
陛下より、盾槍の話が出て焦ったが、最後に皆という言葉が出てきたのでホッとした。どうやら俺を特定しての話じゃなかったようだ。
陛下からのお言葉が終了すると、パーティーは開会となり結構な数の貴族の人達が挨拶に来てくれたが、数が多すぎて名前が覚えきれなかった。
中には高位の方もいて公爵様までいて驚いてしまったが、アリューレは面識があったようでフォローしてくれたので助かった。
そして驚いたのは俺の服装だが、他の貴族達は同じ燕尾服でも皆黒かグレー色で、真っ白なのは俺一人だったので強烈に浮いている気がしたが、今更どうしようもない。
それもあってかフェルナンド様が心配していた女性からのアプローチらしきものはなぜか一切なかったので少しだけ残念だ。
なんとなく女性の方達から見られているような気はしたが、それも自意識過剰だっただけかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます