第51話 ヴィレンセ侯爵家?
「あなた方が助けてくれたのですね。本当に助かりました。護衛の騎士達も倒れ、もう少し遅ければお嬢様もどうなっていたことか」
護衛の騎士にお嬢様か。
これは間違いなく、貴族だな。
「我らはレクスオール士爵家の者だ。我が主人の命により助力つかまつった。間に合ったようで何よりだ」
「士爵家の方々でしたか。私たちはヴィレンセ侯爵家の者になります。こちらはアリューレ・ヴィレンセ様です」
「皆様、助けていただきありがとうございます。ヴィレンセ家の次女アリューレです。皆様が駆けつけてくれなければこの身がどうなっていたかわかりません。皆様は命の恩人です。心より感謝申し上げます」
侯爵家!?
侯爵って貴族の中でも上位貴族じゃないか。
俺は見たことなんかないが、侯爵家は王家の血に連なる家系のはず。
この子本物のお姫様じゃないのか?
言われてみれば、この子の高貴な佇まい。たしかに物語に出てくるお姫様そのものだ。
「ラティス様、ご挨拶を」
「あ、ああ。失礼しました。レクスオール士爵家当主、ラティス・レクスオールと申します」
「ラティス様ですね。この度は助けていただきありがとうございます。命を救われたこの御恩一生忘れません」
「助けることができてよかったです。ところでこの野盗は……」
「はい、侯爵家の別荘があるイグリスから王都へと向かう途中突然襲われてしまい、護衛についていた騎士達も倒れ、お嬢様だけはどうにか助けなければと逃げていたところだったのですが、追いつかれもうダメかと諦めかけていたところにレクスオールの方々に助けられた次第です」
「それは災難でしたね」
「はい。馬車の家紋を見れば、襲われる事はないはずなのですが、野盗には効力がなかったようです。ところでレクスオール様はこのような大人数での移動、どちらへ向かわれているのでしょうか?」
「ああ、王都ですよ」
「まぁ、これも天のお導きかもしれません。不躾なお願いですが、どうか私たちと王都までご一緒願えませんでしょうか? また襲われるようなことがあれば……」
「別にいいですよ。このまま別れるというのも心苦しいですし、そちらがよければご一緒させてもらいます」
「ああっ、お嬢様。これで安心です」
「ラティス様、今はなにもできませんが、王都に着いた際にはこのお礼は必ずさせていただきます」
「いや、そんなお礼とかは別にいいんですよ」
「ラティス様は奥ゆかしい方ですね。ですがヴィレンセの者としてそのような不義理をするわけにはまいりません」
そのあと、俺達は護衛の騎士の亡骸を探して遺品を回収してから馬車を護衛しつつ王都へと向かった。
馬車に合わせる形なので少しペースダウンして、休憩を時々挟みながら進んだが、休憩の間にアリューレ様とおつきのシモンさんと結構話す機会があり、一応こちらの事情も話しておいた。
実際に野盗を斬り伏せたのはギルバート達なのだが、彼女達の中では俺が倒したかのように思われたようで、英雄を見るかのように武勇を讃えられ少し複雑だったが、ギルバートはじめ兵のみんなも、全てはラティス様の命によるものですと答え譲らないのでそういう事にしておいた。
そして、俺達の王都での宿が決まってない事を知るとアリューレ様に押し切られる形で王都ではヴィレンセ侯爵家の屋敷に逗留させられる事が決まってしまった。
あとがき
本来進めているべき作業が滞り、突然とんでもない量の作業が増えてしまい、昨日から取り掛かっていますが終わる気配がありません。レクスオール戦記は既に書き終えているので大丈夫ですが、他はちょっと怪しいです。
週末と来週は頑張りたいと思います。
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