番外編41 ある日のある夫婦の会話2

「異世界転生、異世界転移の創作物って男が主人公の場合、仲間になるのが女ばっかりってことが多いよな。しかも、街の外に出歩いてるのは、冒険者か商人か旅人で、その中に未婚でフリーの若い女の確率なんてもーのすごく稀なハズなのに。いくら何でもご都合主義過ぎじゃね?」


「かといって、男ばっかりが仲間になってもむさ苦しいし、美少年やイケおじが多いのも他のジャンルになっちゃいそうでしょ」


「あーBとかLとかな」


「まんま。…それにしても、最近のファンタジーものの女性衣装って、どんどん露出が酷くなってるよね。防御力ないでしょ、以前に、これって横から上から丸見えだよね?『ノーブラノーパン露出狂』な酷さ」


「何かゴロがいいこと言ってるし~。その通りだけど。衣装デザインの人たち、チラリズムを分かってなさ過ぎだよなぁ」


「そんなのに応えちゃうと年齢制限がかかっちゃいそう。って、そもそも、かけなくていいの?な露出具合もあるよね。コスプレーヤーの人たちが忠実に再現しちゃって、イベントの主催による露出規制が出来た、とかいうニュース記事を読んだことがあるし」


「規制し過ぎるのも『表現の自由』という大前提と、真っ向から衝突しちまうし、二次元の規制が妙にゆるいだけに青少年の性知識も偏ったり、妙な方向に曲がったりしてしまい、結果的に出生率が低下して高齢化社会になってるワケだけど」


「……え、関係ある?……あるね。バイトの子たちも『生身の女はうるさくて汚いから』とか『怖い』とか言ってたわ……」


「それはアカネのせいじゃ……いえ、何でもありません」


「わたし、か弱そうな見た目で大分、損してるのに~。…まぁ、ともかく。一番分かんないのは、あられもないポーズのデフォルメし過ぎなフィギュアに、何で喜ぶのか。生身の人間なら完全に宇宙人だよね?胸とお尻の重さに細過ぎな腰が折れそうだし」


「おれに訊くなって。まったくもって同感なんだから。デフォルメが過ぎる、と言えば、服の『乳袋問題』はもはや問題じゃねぇらしいぜ?」


「問題とか言ってるし~。何で問題じゃなくなったの?」


「さぁ?『数の暴力』でそれが普通になったから、かも?見るたびに、あーあ、と思う人はいるんだろうけど、基本的にその世界の奴ら以外は『どーでもいい』からスルーされて、というのもあるのかも」


「まぁ、確かにねぇ。盛りまくったギャルメイクとか魔女か!っていうなっがーい爪とかも、許容されてるんじゃなく、スルー或いは遠巻きにされてる感じだしね。なっがーい爪の裏の雑菌は…とか考えちゃダメなんだろうね!」


「指摘すんなって~。いかにも洗えてなさそう、ってのは分かるけどさ~。…あートラウマが…」


「トラウマ?そんな繊細な神経してたっけ?……ああ、イベントごとの手作りお菓子攻撃ね!」


「…マジで攻撃な所が笑えねぇ……」


「普段、お菓子どころか料理もしない子がイベント前だけ作る、という所で既に危険なフラグが立ってるのに、マスコミが『簡単』『簡単』だと煽ってその気になっちゃって、被害者が続出するワケね。主に不特定多数にモテまくる人たちが」


「ダシにして騒ぎたいだけってのもあるだろ。仲間内だけでやってりゃいいものを」


「作ったお菓子にものすごく自信があるんなら、そうするだろうね~。好きな人や好きな芸能人たちにマズイものやヤバイものを渡すのは、その人が食べないと確信してるからだと思うよ。たくさんもらう人だと、どこかに寄付しているか、処分しているかが普通らしいしね」


「飾りでいいんなら食品サンプルとか箱だけとかでいいじゃねぇかよ。食料を無駄にしてる連中に、腹が減ってるのに食べられねぇ状態にしてやりてぇもんだな」


「『飢餓状態』と言わない辺り、優しいよねぇ」


「そこまで行くと、ロクに考えられねぇだろ。希望があるのなら尚更、腹が減るもんだしな」


「…違う優しさだった!」



 ******



「あーあの時の会話は鮮明に思い出せるのに、見てたアニメの内容が超曖昧~」


 シヴァは嘆いた。

 ブルーレイレコーダーに撮り溜めてまとめて見ており、ながーい会話やバトル、特に重要ではなさそうなシーンは早送りしていたりするので、尚更だった。

 記憶による再現映像を作る際、のことである。

 そこまで興味がなかった、と言えばそれまでだが、ダンジョンコアたちが楽しみにしているので、出来れば希望に沿いたかったのだが。


「何にしても途中でおしまいでしょ。原作小説や漫画もまだ連載中なのに、見切り発射的にアニメ化してる作品も多かったし。最後までしっかりアニメ化する作品がどれだけ残るのやら。…あ、巨人のは完結したね!十年ぐらいかかって。『え、もうそんなに?』と思ったけど」


「あーはいはい、思った思った。絵柄もどんどん違って来てたよな~。……あーあ、気になってる連載中の作品全般、どうにかして続きを知ることが出来たらいいのに。インターネットにアクセス出来るのは電波なんだから、異世界こっちからでも魔法や魔術で何とか出来るんじゃねぇかと思うんだけど」


「それにはわたしたちがいた世界の特定をしないと、だけど、パラレルワールドが厄介だよね。同じ作品でも展開や結末が違ってるものがいっくらでもあるんだよ、きっと。スピンオフのキャラも本編に出て来たりもして。で、そっちも気になっちゃうし~」


「……キリねぇな……。あ、でも、異世界から魔法や魔術で干渉してる世界もあるんなら、思ったより簡単にインターネットに繋げそうか…」


 そんな異世界もののアニメもあったような気がする。

 ふむ、とシヴァは思い付く方法や有用な魔術や魔法陣…等々を紙に書き出し、分身を十人出して専任で研究させることにした。もちろん、異世界こちらの技術については最先端の知識と技術を持つコアたちと一緒に。


 今後に期待してみよう。


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