番外編26 文字は縁(えにし)を結ぶもの?
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**下町向けの恋文の指南書**
**はじめに**
下町は、情緒あふれる街並みと人情味あふれる人々が魅力の街です。そんな下町で育った人々は、恋愛においても、飾らない素朴な言葉で、相手に想いを伝える傾向があります。
そこで、この指南書では、下町向けの恋文の書き方をご紹介します。下町出身の方はもちろん、下町の雰囲気が好きという方も、ぜひ参考にしてみてください。
**1. 飾らない言葉で書く**
下町の人々は、飾らない言葉で、相手に想いを伝えます。そのため、恋文を書く際にも、ありのままの自分の気持ちを、素直に伝えることが大切です。
例えば、「君の笑顔が大好きだ」というフレーズは、シンプルですが、相手のことを大切に思っている気持ちが伝わります。また、「君といると、いつも幸せだ」というフレーズも、下町の人々らしい、素朴な言葉で、相手への愛情を表現しています。
**2. 下町ならではの言い回しを使う**
下町には、独特の言い回しや表現があります。そういった言い回しを恋文に取り入れることで、より下町らしい恋文になるでしょう。
例えば、「君は俺の宝物だ」というフレーズは、下町でよく使われる言い回しです。また、「俺は君に惚れちまった」というフレーズも、下町らしさを感じさせる表現です。
**3. 相手を想う気持ちを込める**
恋文は、相手に自分の気持ちを届けるためのものです。そのため、相手を想う気持ちを、しっかりと込めて書くことが大切です。
例えば、「君と結婚したい」というフレーズは、相手への愛情を強く表現しています。また、「君の幸せを願っている」というフレーズも、相手を大切に思っている気持ちが伝わります。
**まとめ**
下町向けの恋文は、飾らない言葉で、相手を想う気持ちを込めて書くことが大切です。下町ならではの言い回しを取り入れるのも、素敵な恋文を書くコツです。
ぜひ、この指南書を参考に、下町らしい恋文を書いてみてください。
―――Google Bard著「あなたに捧げる恋文指南(下町版)」より抜粋―――
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エイブル国王都エレナーダの冒険者ギルドの資料室にて。
ペラペラの本、というか冊子を手に、冒険者たち五人は困惑していた。
「つまり、どーゆーこと?好きって書くだけでいいって?」
「味気なさ過ぎだろ……」
「それだけだったら、口で言うだけで…まぁ、中々言えないから恋文にってワケだけど~」
「素直に気持ちを書くだけでって、『最初、そのでかい素敵な胸から目が離せませんでした』とか「たまにちょっと胸が当たってるのってワザと?」とか超素直に書いたら殴られるだろ?」
「素直過ぎ!」
「いや、でも、それ、誘われてるんじゃねーの?」
「『すぐそう思うのは男の思い上がりだ!』って飲み会で女冒険者たちと受付嬢たちが叫んでたことがあるぞ」
「そうなの?じゃ、女の方からは誘うことはあんまりないってこと?」
「さぁ?人にもよるんじゃね?積極的な人は積極的」
「おとなしい人に程、誘って欲しいよなぁ。怖がらせそうで、なっかなか誘えないし~」
「それはともかく!恋文だろ」
「そうそう!素直って言っても素直過ぎるのもよくないってことか。えーと、じゃ、『おれと朝メシ食う関係になろうぜ!』とか?」
「????朝メシぐらい、いつでも一緒に食えばいいだろ」
「いやいや、一緒に夜を過ごして夜が明けた朝……遠回し過ぎかぁ」
「朝の鍛錬のお誘いかと思った……」
「それもいいよなぁ。少しでも戦えるようにしとくと、後々役立つだろうし、『おれ、ちゃんと鍛えてますよ』アピールも出来るし。でも、無駄に張り切って怪我しそうな所がちょっと」
「ちょっと、じゃないだろ!」
「そもそもさぁ。定住してない冒険者とつき合ってくれる女の子って、あんまりいなくない?『遊び相手なんてまっぴらよ』だろうし」
「あーっ!気付かないフリしてたのに!」
「遊びじゃないけど、定住は無理だなぁ、収入的にも」
「商人護衛依頼は結構報酬がいいし、気に入ってもらえれば指名されたりもするし、ダンジョンよりは危険が少ないしな」
「じゃ、『必ず戻って来るから待ってて』という言葉は入れるべきだな」
「それはそれで重く感じない?」
「でも、つき合った後は結婚考えるだろ?」
「そりゃそうだけど、こっちはそのつもりでも彼女は全然かもしれないワケで。あーせつない…」
「まだつき合ってもいないけどな!」
「それな!」
わいわいと話してると、「騒ぐなら食堂へ行け」とギルド職員に追い出された冒険者たちだった。
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ミクラちゃん、好きです。大好きです!デートして下さい!
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シンプルなこの手紙を渡した冒険者は、ミクラとデートしてもらえた!
つき合うかどうかは、今後の対応次第、となる。
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リーヌさん、前からお慕いしておりました。
あなたのキレイな赤茶の髪は、夕暮れのようなので、キレイな夕日を見るたびにあなたのことを思い出します。
中々一ヶ所にずっといることは出来ない自分ですが、それでも、あなたが待っていてくれるのなら頑張れそうです。
よければ、つき合って下さい!
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この手紙を渡した冒険者は、リーヌがよくなかったのでつき合ってもらえなかった。
そもそも、この冒険者、
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アン、いや、アントネッラへ。
お前は、俺の幼なじみで、いつも俺のことを支えてくれる、明るく優しい女だ。
俺は、お前のことがずっと前から好きだった。
お前といると、俺はいつも力が出るし、どんな困難にも立ち向かえる気がする。
俺と結婚して、俺との冒険の旅を一緒に歩んでほしい。
どうか、俺の想いを叶えてくれ。
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この手紙を渡した冒険者は、
「気持ちわるっ!頭打ったんじゃないの!いきなり結婚って何なの!」
と、顔を真っ赤にしたアントネッラに叫ばれたものの、それ以降、何となく距離が縮まったような、縮まってないような……微妙な関係になっているらしい。
まぁ、今後の展開に期待、ということだろう。
そして、近所の皆さんで玉砕するかまとまるかの賭けが行われている、とか。
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ローナ、好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!大好き!……
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この手紙を渡した冒険者は、翌日からローナから避けられるようになった。
ギッチリと「大好き!」で埋め尽くされた恋文は、さぞ怖かったことだろう……。
「味気ないって言ったから、たくさん書いてみたのに~」
「男でも怖いっつーの」
「男だから怖いんじゃ……」
「ごめんなさい、して来い!」
「いや、もう近寄らない方がいいだろ。悪気はなかったのは、おれから伝えてやるから」
「…おう、頼む」
文字を書けるようになっても、恋文も女心も要勉強、意中の相手を射止めるには色んなものが足りないことを知っただけでも、いい経験になったことだろう。
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