第2話

トスン、そんな音がした。

 僕はひんやりとした、でも暖かみのある感覚を手のひらに感じた。そこで僕は生きていると実感してしまった。何が起こっているかなんてどうでもよかった。ただただ僕は死にたかった。もがき、また落下したと思うと、すぐにまたトスンという音と共にさっきと同じ感覚と不思議な声が僕をなだめた。

 「おい、おまえ、だいじょーぶか。」

と、なぜか上の方から聞こえてきた。そして、よく目を凝らしてみると、見るからに陽気そうな怪物がいた。

 僕は元自衛官だ。そして、戦争にも駆り出された。だから正気を失うような出来事には慣れていた。捕虜が舌を噛んで死のうとしたことも、火炎放射器で焼かれて死んだ人間を、子供が泣きながら食べていたことも見たことがある。

 (もっとも、このときは正気など微塵もなかったのだが。)

 だが、このときだけはさすがに、正気など越えて逆に冷静になっていた。そして、震える声で

 「お前は?」

と聞いた。そいつはとにかくでかかった。30メートルはあるだろうか。

 (後で聞いてみると座った状態で16メートル、立った状態で32メートルらしい。)

 そして、そいつはとてもおかしな格好をしていた。まぁ簡単に言うとピエロみたいな見た目だった。もじゃもじゃ頭で赤く丸い鼻、くりくりとした目に、細長い四肢。唯一普通のピエロとの相違点は、頭の上に光る輪っかがあったことくらいだ。

 そして、そいつはこう言った。

 「おまえらを、すくいに、きた。」

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神夢の手招く方へ ウェスたん @western17

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