呼び出しと風紀委員長
昼休み
キーンコーンカーンコーン
『太刀川渚君太刀川渚君至急風紀委員室に来てください。繰り返します太刀川渚君至急風紀委員室に来てください』
「俺なんかした?」
「さあな?」
「こないだの件でしょ」
「なら俺より絶対にコイツが先だろ!」
「確かに、それもそうね」
「何でだよ!?」
「「自分の胸に聞いてみろ(みなよ)」」
渚は渋々ながら風紀委員室に向かう。
風紀委員はこの広大な敷地を持つ天咲学園の規律や風紀を取り締まる生徒会に次ぐ学園機関で規律を重んじ冷静な判断力と高い運動神経を有し正義感の強い生徒が学園の先生と風紀委員の推薦で選ばれる。
渚は教室棟にある風紀委員室の前に着く。
「ふう〜〜」
トントントン
「どなたですか?」
「先ほど呼ばれた太刀川渚です」
「来たか、入っていいぞ」
扉の向こうから聞こえてくる声から入室の許可が出たので渚は静かに扉を開けて入る。
中に入るとそこには一人の少女がいた・・・・・・いや少女と言っていいのか?
「よく来てくれた」
長くて細い脚に腰にまでかかる綺麗な黒髪。
「呼び出してすまなかったね」
艶のある肌に鋭いキリッとしてる目、春香とは違う大人の色気。
「は、はあ・・・(この人が)」
「自己紹介といこう私がこの天咲学園の風紀委員長をしている3年の
「2年の太刀川渚です」
霧雷麗華、弁護士の父と料理人の母を持つ学園屈指の美女。
もう一度言う美女だ・・・美少女ではない。
彼女は自分の父に憧れ将来は父親と同じ弁護士を目指している。
彼女は法律や憲法にとても詳しく実際に裁判を月一の頻度で傍聴している。
そんな彼女の知識と性格、そしてルックスから学校内での支持率も厚く入学早々風紀委員に選ばれ2年生の頃には委員長の席を手に入れた。
「それでなんで呼び出されたんですか俺?」
「ああ、今回はただの注意喚起だ」
「注意喚起?てっきり此間の件かと」
「レヴィアタンの拉致事件ならまずはあの馬鹿から呼びつけている」
麗華が言う馬鹿とは透のことだ。
「うちの馬鹿がすみません」
「本当だぞ。あの二人がそこらでイチャコラするからあの変態集団も躍起になるのだ。しっかり躾けておいてくれ」
「俺はあいつらの母親ですか?」
「そのようなものだろ」
「(そう思われてんのかよ)」
「話が脱線してしまったな。改めて言うが今日呼び出したのは注意喚起のためだ」
「レヴィアタンの件じゃないなら。俺は何もしてませんよ」
「話を最後まで聞けお前を呼び出したのはお前とあの姉妹のことだ」
「藤堂姉妹ですか?」
「そうだ」
俺は学校では二人のことを苗字で呼ぶようにしていて二人がいるときはさん付けをしている。
「お前はあの二人と仲がいいらしいな」
「親の都合で知り合っただけです」
間違ってはない。
「しかしそれにしては親しい間柄っぽいが、今朝も問題児グループと一緒に登校していたらしいが」
バレてるーー。ていうか何でそんなこと知ってんだよあんたあん時いなかったよな!
それともう一つ気になることがあんだけど・・・
「あのー・・・・・・問題児グループって俺たちのことですか?」
「そうだが?」
「いや透はわかるとして俺たちは・・・!」
「堺命、入学当初から友人関係に問題あり、脅しや恐喝などの報告もあり特にお前に関わろうとする者は容赦がなく病んでしまった生徒もいるとかいないとか」
「・・・・・・・・・・・・」
「星乃紗枝、多くの新薬の理論を作り数多くの功績を残す反面実験棟にて異臭騒ぎに催涙事件などを起こし問題が絶えないと苦情が来ている」
「・・・・・・・・・・・・」
あれ?めちゃくちゃ問題児だらけじゃね?しかも問題児のレベルが違いすぎる。
「でも何で俺なんですか!俺は何もしてませんよ!!」
「彼らをまとめられるのがお前だけだからだ」
「そんな理不尽な〜〜」
「それに加えあの姉妹だ。知らないだろうが既にファンクラブができているんだぞ」
「し、知らなかった」
「ということで今後はより一層手綱を握っておくんだな」
「なら本人たちに言ってくださいよ」
「私が言っても奴らは聞かんしそもそも来ない」
だから俺が呼ばれたのか。
「要件は済んだ戻っていいぞ」
「はい・・・・・・失礼しました」
渚はそのまま風紀委員室から出ていく。
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