春香姉さんの欠点
土曜日、今日ついに春香姉さんと詩織が
渚も朝から準備をしており二人が使う部屋の掃除などしていた。
ピンポーン
「あっ、はーい」
玄関のチャイムがなり急いで向かう渚。
「お邪魔するわね」
「これからよろしくね」
玄関を開けると私服姿の春香姉さんと詩織がいた。
「いらっしゃい春香姉さん、詩織。暑いだろ中に入って」
「ええ」
「お邪魔しまーす」
二人はそのまま家に入りリビングへと向かう。
しかしそんな時春香姉さんが何かを思い出したかのように俺の元へと戻ってきた。
「ねえ、荷物って玄関に置いててもいい?」
「?ああ、構わないけど」
「ありがとう」
春香姉はそのまま外にいる引っ越し業者の人に玄関に荷物を置くように指示をして戻ってきた。
俺はそのまま春香姉さんとリビングに向かった。
リビングにつくとすでに詩織が冷蔵庫から取り出したであろうコーラを飲みながらソファーに座りながらテレビで動画を見ていた。
「もう詩織ちゃんったら」
「あっ、やっときた」
「やっと来たじゃないわよ。よそ様の家のものを勝手に拝借しちゃダメでしょ」
「美由紀さんから許可取ってるからいいでしょ」
「えっ!?そうなの!」
渚は思わず驚いた本人の知らぬうちにそんな許可を取っていたとは。
「ごめんねナギ君。お母さんから『これからはここがあなたたちの家なんだか家のものはある程度すきにしていいわよ』っていわれたの」
「あっ、そ、そうなんだ。別に俺も大丈夫だから構わないよ」
「よし!家主からの許可ゲットー!」
まあ別に彼女たちもこれからはここに住むから別に気にしないけど、先に教えておいてよ母さん!」
「でいつ引っ越し始めるの?」
「そうだなもうすぐ昼だし飯を食ったあとでどうだ」
「じゃあそうしましょうか」
引っ越しは昼飯を食べてから行うことになった。
引っ越し業者の人たちが荷物を運び終え帰って行った。
「今日も俺が作ろうか?」
渚が前回と引き続き自分が作ろうかというが。
「ううん、今日は私が作るわ!」
春香姉さんがいつの間にかエプロン姿で現れ自分が作ると言いだした。
「えっ?」
「ええーーーーー!!!」
俺が『あ、そうなんだ』に対してなぜか詩織が大きな声で叫ぶ。
しかし春香姉さんは俺たちを気にせず冷蔵庫を確認してそのまますぐに料理を始めた。
俺はその間どうして詩織が大声を上げたのか気になった。
「なあどうしてさっきあんなに大きな声をあげたんだ?」
俺がそう聞くと詩織は暗い表情で応える。
「渚は知らないから・・・」
「なんだ?春香姉さんの料理に何か問題があんのかよ」
「ええ、あるわよ・・・そう!本当に大きな問題が!」
「そ、そんなにか?」
詩織が前のめりにして渚の顔大きく近づいて言う。
渚は詩織のその迫力に思わず一歩下がってしまった。
そしてそんなに詩織の恐れ具合に渚は考えてしまう。
まさか春香姉さんラブコメのあるある属性、料理下手属性持っているのか・・・
そんな考えに至ってしまった渚も思わず不安になる。
「二人とも〜〜もうすぐ出来るからね〜〜」
春香の料理完成の報告を聞き二人は顔を見合う。
「(覚悟はいい?)」
「(大丈夫だ)」
「(わかったわ。行くわよ)」
渚と詩織は共に頷き席に着く。
詩織は下を向き顔を見せない。
そしてとうとう料理が食卓へと並ぶ。
「ふ、ふーんお待たせお姉ちゃん特性お昼ご飯セットで〜す♪」
そして渚はその料理たちを見て驚きを隠せない。
「は、春香姉さん・・・これって・・・?」
「ん?もちろん二人の健康を気遣ったお姉ちゃんの配慮よ!」
自信満々に春香は言うがこれは。
「そう・・・お姉ちゃんの料理は野菜中心の準ベジタリアン料理なのよ!!!」
そう、食卓に並ぶ料理は白米に納豆、ポテトサラダに昆布のサラダ、白菜の汁物(味噌なし)に青汁など本当に野菜中心の料理のみが並ぶ。
「あっナギ君。青汁が苦手なら野菜ジュースでもいいよ♪」
「あ・・・いや、その、俺はお茶で」
「そう?」
いや青汁から野菜ジュースってそこにも突っ込みたいけど、まさかの予想の斜め上でくるとは。
料理下手と思っていたらまさかの準ベジタリアン料理人だったとは!!。
「ほら、早く食べよ。いただきま〜す♪」
「い、いただきます」
「いただきます(超小声)」
渚は意を決して食べる。その感想は。
「(青臭っ)」
うん、予想はしていたがまじで野菜。
美味いか不味いかは置いといてとにかく野菜。
そう思いながら詩織を見ると無表情で春香姉さんに笑顔で野菜を強制的に食べさせられていた。
その目には精気が全く無かった。
こうして渚は心に決めた。
春香姉さんを一人でキッチンに入れてはならぬと。
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