愛は教訓に勝る

その後なんとか予鈴に間に合った。


昼休み俺たちはいつもと変わらず俺の席に集まり昼飯を食べる。

はずだった。


「はいあ〜ん♪」

「あ〜ん♪」

「「・・・」」


俺と命が自分の弁当を食べる中、透と紗枝が食べさせ合いっこしている。

それによりクラスにいる男子ほとんどから狂気な目を向けられている。

今朝のこともあり少しは控えてくれると思っていた。

そういたんだなのになんで。


「どうして紗枝がここにいるんだ!」

「「え?」」


俺が紗枝がここにいることに突っ込むと二人はなんのことやらと首を傾げる。


「紗枝あなた別のクラスでしょ。なんでここにいるのよ」

「何でって愛する恋人に会いたいのは恋人として当たり前じゃない」

「紗枝、俺もだよ」

「私もよ透」


二人はまたすぐに惚気る。


「俺たちは何を見せられてるんだ?」

「それは私が聞きたいわ」


俺と命は頭を抱える。


「こいつらには教訓から学ことはできないのか?」

「学ぶことが出来たら今日に限ってこんなことしないでしょ」

「そうだな」


それから昼休みの間クラスにいる全員が一つのカップルの惚気を見せつけられた。


放課後


「あっそういえば渚これ」


透は自分のバックから一つの紙の束を渡してきた。


「おっ、サンキュー」


渚はペラペラとめくる。


「うん、相変わらず注文通りだ。流石だな」

「流石にこれだけやってれば客の要望を理解するのも慣れるよ」

「いやーまじでこれ助かるからさ見た目だけじゃなく構造の仕組みやそれによる効果もしっかりと描かれてるから生かしやすい」

「それにしても今回はやけにシンプルな注文だったけどとうとう再開すんのか?」

「・・・いや、あれは未完成作品として残すと決めたんだ。あれの続きを書くことはない」

「そうか・・・」

「早速家に帰って書いてみるから楽しみにしていてくれ」

「ああ・・・」


渚は紙の束をバックにしまい教室を出て行った。





透は渚が教室を出るのを確認して大きく息を吐きながら椅子に腰をかけた。


「どうだった?」


渚と入れ替わるように紗枝が透しかいない教室に入ってきた。


「違ったよ・・・」

「そう・・・」


紗枝は透に寄り添うように彼の隣に椅子を持って行き座り彼の肩に自分の首を乗せる。


「ねぇ」

「なんだ」

「渚、大丈夫?」

「さあな、表面上何も変わってないように見えるけどアイツの中にはまだ深く根付いてると思う」

「そう・・・ほんとっ世間って優柔不断で卑怯

だね」

「ああ・・・そうだな」

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