修羅場

階段を降りる途中玄関からデカい音が聞こえ、そこで見えるのは命と対面する春香さんと詩織さんであった。


俺、どこでフラグ建てた?


「どうして貴方たちが!?」


「アンタ誰よ?」


「詩織ちゃん、喧嘩腰はダメだよ〜」


睨み合う命と詩織にそれを宥める春香。


そしてそれを見て頭と腹を痛める渚。


何故こうなる?


何故俺なんだ?


そして何故今なんだ?


誰の仕業だ偶然にしては出来すぎてる。


誰だ!


誰が仕組んだ!


ん?


今までの行いだと?


ふざけんな!


じゃ本当に偶然なのか!


俺は認めない!


認めないぞ!!


渚がそんな現実逃避をしている最中三人は。


「初対面にアンタって何よ」


「そっちこそ部外者の癖にどうしていんのよ」


「このっ!・・・貴方先輩に向かってもう少し礼儀を」


「アンタの事知らないし〜」


「二人とも落ち着い」


「「(お姉ちゃんは)黙っといて!!」」


「・・・・・・(シュン)」


命と詩織はヒートアップし春香は蚊帳の外。


詩織が命と睨み合っているとふと視線を変えると階段で腹を抑える渚を見つけてしまった。


「ちょっと渚!この女誰!?説明を要求するわ!」


それに釣られ命も渚に気づく。


「渚、ちゃんと私にも説明してくれるのよね?」


「は、はい・・・」


渚は力無く返事をする。


ちなみに詩織の後ろでは春香が手を合わせてごめんなさいをしていた。


ああ、俺の味方は春香さんだけだ。






詩織さんと春香さんを家に上げリビングへと案内する。


席位置としては俺の横に命、俺の対面には詩織さんでその横に春香さんが座っている。


「渚、約束通り話してもらうわよ」


「アンタに話す義務なんてこっちに無いけどね」


「くっ!・・・この小娘!」


「二人ともその辺で・・・」


これ、移動した意味あったかな?


さっきと見た感じ風景が変わっただけで見た目は何にも変わって無いんだけど。


でも話さない訳にはいかないよな・・・・・・


今後の俺の高校生活にとって命の存在は大切だ、それこそ彼女とは家族といって差し支えない。


「えーと、事の経緯をご説明致しますと・・・」


俺は命との関係と母さんが再婚して二人と姉兄妹となったことを説明した。


「おばさんが・・・再婚・・・」


「友達ねぇ〜」


「テンプレ・・・・・・」


「ともかくそういう事だ。そしてここからが俺にとって大事な事だけど俺は高校ではゆらりとした気ままな生活を送りたいんだ。だから二人には今日みたいな突撃は控えて欲しい」


どうだ、こう真っ正面から切り出したからには向こうもそう易々と言い返せるはずは


「あっ、これお父さんからの手紙」


詩織が一枚の手紙を取り出し渚に渡す。


嫌な予感しかしない


渚の脳内警報が彼の知識、経験からこの手紙が自分にとって不都合極まりない物と警報をガンガンに鳴らしている。


しかし見ない訳にもいかずしぶしぶと手紙を開くと。


『渚君へ

新しい環境で二人も不安だと思う。

流石の私でも学校内ではどうこう出来ない。

だから君が助けになって欲しい。

勿論、家でもね。

春香と詩織を頼んだよ。』


短く綴られた手紙を握りしめる手は汗で手紙に染み、詩織は渚を見ながらニヤリと笑みを浮かべ春香は苦笑する。


そして


「なっ!」


横から手紙を覗き見た命。


見た瞬間詩織と春香を睨みつけまるで肉食獣の威嚇のようだ。

            

「あら?どうしました先輩?そんな顔して綺麗なお顔が台無しですよ〜?」


その表情に皮肉たっぷりに笑みを浮かべ言う詩織。


「絶対泣かせてやるから!」


「やれるもんならやってみなさいよ!」


これは仲が良いのか本当に悪いのか分からないなー

ケンカする程仲が良いとも言うしなー


まだまだ終わる気配は無さそうだ。

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