顔合わせ後編
「ああ、構わん、ドンッときてくれ!」
慎吾さんが遠慮はいらないと言うなはこちらも色々聞かせてもらいますよ。
「なら遠慮なく。まず慎吾さんはあの藤堂製品の社長で間違いありませんか?」
「ああ、君の言った通り私は藤堂製品の社長だ。しかし先程自己紹介の時にも言ったがどうした?」
「いや、余りの大物に本当に母さんがそんな大物を引っ掛けたか確認ですよ」
「ちょっと渚!引っ掛けたっていい方が悪いわよ!」
「いや、私が美由紀さんに引っ掛かったのは間違いではないだろ」
「慎吾さん!」
「それはこんな美しい女性と一緒にいたら引っ掛からない方がおかしい!」
「慎吾さん!」
「美由紀さん!」
慎吾さんと母さんは立ち上がり手を握り合う。
いやね、アンタら高校生のバカップルじゃないだから!いちいち盛り上がらないでくれますか。
慎吾さんあなたの娘さん達もちょっと引いてますよー。
・・・全然気付かない。
「あのー、慎吾さん続きいいですか?」
「えっ?あっ、すまない。少し興奮してしまって」
「私もつい・・・ごめんね」
慎吾さんと母さんは俺たちに謝まる。
「俺は大丈夫です。二人もだよね」
俺はそう言い美人姉妹に視線を向ける。
それに気づいた二人は
「はい、お二人がとても仲良しで娘として嬉しくです」
「私も二人が仲よくて嬉しいです」
それを聞いた慎吾さんと母さんは嬉しそうに席に座る。
こうして俺たち三人初めての共同作業は終了した。
「あのー、次私でいいですか?」
手を挙げたのは姉妹の姉、春香さんだ。
俺たちは春香さんの質問に頷いて応える。
「ええ、何でも聞いて頂戴♪」
「で、では、私美由紀さんの大ファンなんです!!」
春香さんは顔を前のめりにして言う。
「えっ?」
母さんは急に義理の娘に大ファンと言われて困惑していた。
しかし春香さんの話は止まらない。
「あの斬新なファッションに着る人のことを考えた生地の肌触り!それに・・・」
「それに決してモデルを使うことの無く、自分の知り合いやその友達などの一般の方を使うことによって、多くの人が手に取りやすくする工夫!」
そこに更に詩織さんが追随する。
「それに原産地で農家の方と自ら交渉して商品をなるべく安価にしようとする努力!」
「それだけじゃなく、農家さんのことも考えた、仕事の斡旋などの政策!」
「え・・・えーと?二人の熱量は伝わったわ。いつも私たちのブランドを応援してくれてありがとうね♪」
「「いえ!こちらこそ!」」
なんと二人は母さんのファンだったのである。
それもかなり熱烈な。
それから昼飯を食いながら話をし気づけばすでに夕方だった。
3人が帰るとき慎吾さんが俺に
「あっそうだ。渚くん、急で悪いんだけど来週かあら春香と詩織が君の通う
「えっ!」
と言い帰っていった。
「よかったわね渚!姉兄妹揃って青春を謳歌できるなんて」
呑気にそう語る美由紀だが、渚からしたらそんな軽い話ではない。
おいおい、嘘だろ!あの二人が編入してくんのかよ!
絶対やばいだろ!あんなラブコメヒロイン要素全部振りな二人がうちに来たら勘違い野郎を量産しちまう!
それにもし俺があの二人と義姉兄妹となるとしれた日には・・・!
渚は自分の想像したことに寒気を覚えた。
「俺、生きていけるかな・・・」
こうして急遽行われた顔合わせが終わったのである。
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