顔合わせ前編
昨日母さんに顔合わせのことを言われてから俺は急いで家の掃除をしてとても忙しかった。
朝9時50分
顔合わせの10時の10分前俺と母さんはリビングで母さんの再婚相手の家族を待っていた。
ピンポーン
玄関のチャイムがなった。
「来たわ!」
「母さん早く玄関に!」
「そ、そうね」
母さんは慌てて玄関に向かった。
そんな母さんに続いて俺も玄関に向かう。
ガチャ
母さんが玄関を開けると一人イケメンな男の人がいた。
「美由紀さん」
「慎吾さん」
慎吾と呼ばれた男は母さんを見るやらハグをする。
うん、えっ?ラブラブすぎん?もう少し周りの目も気にしよう。
「ん"ん"」
俺は咳をして二人の意識を戻す。
「ご、ごめんね、つい」
「す、すまない」
二人は俺たちのことを思い出し離れる。
「とりあえず中に入って下さい」
俺は慎吾さん一家を招き入れる。
「そ、そうね。慎吾さん、それに二人も入ってちょうだい」
「すまない。失礼する」
母さんに続き慎吾さんそして
「失礼します」
「失礼します」
まじかよ
片やまるで読者モデルの様な引き締まったスタイルに黒髪のロングストレートが輝いてまるで女神が降臨したかのように思わせる美幌を持ち、その奥には母性を思わす優しい雰囲気が漂う絶世の美女。
もう片や先の美女とは違う意味で引き締まったスタイル。それはまるで日々努力して得たバランスの取れた身体つき。
更には茶髪のショートは首周りやうなじを強調させ思わず二度見してしまいそうになる絶世の美女。
ドンッ!!
「渚!」
「君!」
「えっ!ちょっと!」
「あんた!大丈夫!」
俺は夢かと信じられず思わず壁に思いっきり頭突きしてしまった。
「し、心配いりません。大丈夫です」
「ほ、ほんと?」
「だ、大丈夫なの?」
「はい!」
今まで会った事のない美女二人に近寄られて思わず大きな声を出してしまった。
そんな一悶着ありながら全員リビングで席についた。
俺の横には母さんがいて、向かい側には再婚相手の家族の三人が。
「では改めてまして。今回君のお母さんと結婚することになった藤堂製品の社長を務める藤堂慎吾だ。で、こっちが私の娘達で」
「姉の藤堂春香と申します」
「妹の藤堂詩織です」
三人が俺と母さんに挨拶してくれた。
というか待って!藤堂製品って電化製品からソフトウェアにアニメ制作とか色々なジャンルに手を広げてる、日本有数の大企業の藤堂製品!
俺はチラッと母さんを見る。
どんな男を引っ掛けてんだよ!
「今度はこちらね、私はファッション雑誌フェアリーの社長をしている太刀川美由紀よ。それとこれからはお母さんって呼んでちょうだい!それとこっちが」
「息子の太刀川渚です」
これで全員の自己紹介も終わった。
「では自己紹介も終わった事だし質問タイムといこう。これから家族になるんだ、なるべくお互いのことは知っとかなくてはな」
慎吾さんがそう切り出した。
流石大企業の社長思わず説得させられる独特な雰囲気がある。
「ではまず私からいこう、と、言っても娘たちは勿論のこと美由紀さんのことはここ一年で色々と知ったからね渚君主に君にへの質問になってしまうけど構わないかな」
初手から俺かよ。
「構いません。それと俺のことは渚で大丈夫です。慎吾さんは俺の父になるんですから」
「そうかい?なら遠慮なく渚と呼ばせてもらうよ。それと渚も私のことは慎吾さんではなくお父さんと呼んでくれ」
「善処します」
「うん、今はそれでいい。では始めるけど最初はアンパイなやつで行くけど渚、君の好きな食べ物はなんだい?」
ほんとにアンパイだな。
「好きなのはラーメンやスパゲッティなどの麺類ですが乾麺と生魚が苦手ですね」
「ほ~、日本人で生魚が苦手とは珍しいね」
「はい、何ともあの独特な味が苦手で」
実は小さい頃、魚の骨が喉に詰まってそれ以来魚全般が苦手になってしまった。
そんな時に興味本意で刺身を食べてしまい未だ苦手意識がある。
焼き魚などは身体大きくなり骨が詰まり難くなったので今では普通に食べれる。
「なるほど、次にだけど・・・」
それから慎吾さんは座右の銘やら部活やらとアンパイな質問を俺にしてきた。
「最後にだけど、何か趣味はあるかい」
「趣味・・・ですか?」
趣味、趣味、趣味?
「趣味と言える程ではないんですが」
「構わないよ、私は息子のことを出来るだけ知りたいだけなんだから」
めっちゃいい人だな!
「えーと、実は俺小説を書いてまして」
「「!」」
渚の応えにいち早く反応したのはまさかの美人姉妹だった。
しかし渚はそれに気づかなかった。
「へー、ちなみそれは連載してるのかい?」
「はい、スキヨミで連載しています」
「なるほど、ちなみにどんなペンネームで」
「えーと、グリモワールって名前でやってます」
ダン!
その瞬間、慎吾の隣りに座っていた、二人が立ち上がった。
そしてすごい目で俺を見る。
「あ、あの急にどうし」
「君!君がほんとにあのグリモワール!」
「あんたがあの!」
「は、はい?」
俺は二人の質問の意味が掴めず困惑する。
そんな俺に気づいたのか妹さんの詩織さんがスマホを取り出しあるページを俺に見せてくる。
「これ!このアカウント!あんたの!」
それは俺がカクヨムで使っているアカウントのページだった。
「あ、あーそうだけど」
「ほんと!」
「マジで!」
俺が二人の言うグリモワールと知って二人驚きを隠せていなかった。
「こら、二人とも渚も困惑している。それに今は互いを知る時間ではあるが強迫する時間ではないよ」
二人も慎吾さんに言われて落ち着いたのか席に座った。
「「す、すみません」」
二人は俺と母さんに頭を下げた。
「いいのよ。それにそんなに畏まらないでこれから家族になるんですもの」
そして顔を上げようとする二人はチラッと俺を見る。
あ~、なるほどね。
「俺も気にしてません。先程俺も皆さんに醜態を晒してしまいましたし、おあいこということで」
ようやく二人は顔を上げた。
「では次に俺からそちらへ質問してもいいですか」
「ああ、構わない。ドンッと来てくれ」
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