第2話 彼女がいないワケ
「美月まだ食ってねぇのかよ」
「わ、ほんとだオムライス冷めちゃうよ?」
ハンバーグを乗せたトレーを持ちながら凛と陽がそれぞれ美月と葉の隣に座る
「凛と陽待ってようと思って」
「美月は優しいね」
葉は優しく向かいに座る美月に微笑む
「葉はもう食い終わってるけどな」
「凛それは仕方ないでしょー、葉は俺たちより来るの早かったし」
「そういえば3人は今年のスポーツ大会何に出るか決めた?」
葉が言うスポーツ大会とは体育祭とは別に毎年5月に行われるバスケ、サッカー、バレーボール、テニスの4種目から選び試合を行うクラス対抗のイベントだ。
ちなみに所属している部活は選べないというルールがある。
「…やべ忘れてた、 陽どーする?俺たちサッカーは選べねぇし。」
「去年はバスケだったし今年はバレーボールとかどーよ?」
「お、ありだな。美月は?」
「私は今年もバスケかな…小中やってたし。葉くんは決めてるの?」
「俺はテニスだよ」
「まーた女子に騒がれるやつだ」
「去年とか葉が勝つ度にクラス関係なくキャーキャー言ってたもんな」
「それを言うなら凛と陽もだろ?」
「さすがイケメン3兄弟…」
顔が良い(性格も…?)3人は学校の女子から人気が高く密かにファンクラブがある程で葉が入部している弓道部、凛と陽のサッカー部にはマネージャー希望の女子がいつも溢れかえっている。
「てかさ、そんなにモテるのにどうして3人とも彼女いないの?」
こんなにたくさんの女子からモテる3人なのになぜ彼女がいないのか美月はずっと不思議に思っていた。絶対に1人くらいはタイプの女子がいるはずだ。
「どうしてって言われてもなぁ」
葉が少し困った様な顔をする
「俺らには美月がいるからいーの!」
「まぁそういう事だな」
「…へ???」
満面の笑みで答える陽に美月は目を見開き少し強ばったせいで右手に持ってるスプーンからオムライスが落ちた。
「あ、オムライス落ちちゃった」
「美月制服汚れてない?大丈夫?」
「葉くん大丈夫だよ。…もう陽が変な事言うから落としちゃったじゃんかー」
「別に変な事言ってないもーん」
「つーか美月食うの遅せぇ」
俺もう食い終わったぞとドヤ顔で美月を見る
「な…!凛が早食いなだけでしょーが!」
「早食いは太るんだぞー」
「そーだ!そーだ!陽の言う通りだー!」
「俺は太んねぇよ!!!」
「凛が太るとか想像つかないな…」
とか言いつつも想像してクスッと笑う葉に凛が「笑うなよ!」とツッコんでいた。
「ごめんって…でも美月早く食べないと昼休憩終わっちゃうよ?」
「…え!もうこんな時間なの?!」
葉が指差す方向を見ると時計の針が45分を指していた。つまり休憩は残り後15分。食堂も
美月は慌てて残りのオムライスを食べ水で一気に流し込むと食器を返却口へ戻しに席を立った。
「いや、アイツ慌てすぎだろ」
「そこが可愛くていいんじゃん」
「そうだね」
食堂のおばさんに「ごちそうさまでしたー!」とニコニコと挨拶をする美月を愛おしそうに見つめる3人だった。
「早く教室戻らないと…!!!」
「そんな急がなくても間に合うっつーの」
「そうだよー。美月が階段で転けちゃったら俺泣くよ?」
「なら俺は美月の手当てしてあげるね」
「いや待って陽と葉くんは何で私が転ける前提なわけ??」
「どんくせぇからだろ」
「どんくさいって言わないでよー!」
「もし転けたら俺が教室まで姫抱きで運んでやるよ」
「そんな恥ずかしい事しないでいいから…!てか転けないし!」
無事転けることなく4人はそれぞれの教室へ戻り午後の授業に備えた。
「…美月アンタなんか疲れてる?」
「昼休みで疲れるって食堂で何したの?」
食堂から戻ってきた少し疲れ気味の美月に咲希と愛が頭にハテナを浮かべていた。
「…ただオムライスを食べただけ」
「…うん?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます