特別試合と競技が終わって。

「特別試合だと聞いてないぞ?」王女は呟いた。

「弓の優勝者には私が、格闘と剣の優勝者はウルがお相手する。勝敗は決めぬが、存分に力を出してくれ」テュールが叫ぶ。軍の最高の二人の試合が見られると闘技場は一段と盛り上がった。


まずは弓。決勝よりも遠くに的が止められた。

「私が当たらないとどうしようもないな」とテュールが矢を放つ。矢は的には当たったが真中とはいかなかった。

次に優勝者が放った矢はテュールの近くに当たった。

「なかなかやるな、どちらが先に真中に当てるか競争だ」そうテュールは言い二人は交互に矢を放った。

「これで最後」渾身の力を込めて放たれた矢は的のど真ん中に当たった。旗が上がり民は大歓声を上げた。

優勝者の矢は少し外れ、弓は終了となった。


格闘。「おりゃ!全力でかかってこい」ウルの雄たけびに優勝者が果敢に挑んだ。組み合ったま押しつ押されつ。だが、時間がたつにつれて、挑戦者の方がじりじりと押され始めた。「おい、もうへばったのか?力を振り絞れ!」無理もない何試合もこなしているのだから。それでも力を振り絞りじりじりと押し返し始めた。「お、なかなかやるじゃないが、では決めさせてもらうか」ウルはそう言うと力任せに優勝者を投げ飛ばした。旗が上がる。歓声の中ウルは優勝者に手を差し伸べて立ちあがらせた。


剣。ウルは格闘の疲れも見せず優勝者と戦った。優勝者も果敢に攻め込むのだがかわされてしまう。「焦るな、よく俺の動きを見ろ」ウルの言葉に優勝者は体勢を立て直し又攻め込んだ。「よしよし、ずいぶん上達したな」攻撃をかわしながらウルは余裕だった。さてどのあたりで切り上げるかと思っていたら、優勝者は盾を放り出し両手で剣を持って突っ込んできた。ウルはかわしたが、突かれるのは危ない。何度もかわしていたが、最後は体をかわすと同時に相手の剣を下から叩き上げた。剣は手を離れ宙を舞い試合が終わった。


特別試合が終わるとテュールとウルは優勝者3人に冠をかぶせ手を取り高く上げさせた。

闘技場は歓喜の渦に包まれた。


少し落ち着いたところで王が

「民よ、今までと違うものを行ったが楽しんだか?」闘技場の中に歓声が沸き起こる。

「これからもこのような大会を行っていこうと思う。皆の一層の精進を期待する。これにて第一回闘技場競技大会を終了する」と宣言した。


そして王は側近に「この大会を提案したのはススムだそうだな。会いたいのだが」と言った。側近はブラギと一緒にススムを連れてきた。

ブラギとススムは王の前にひざまずきこうべを垂れた。

「そなたがススムか?」

「はい」

おもてを上げ」ススムは顔を上げ王を見た。

「異世界から来たと聞いた、先日は熱を出したそうだが体の方は大丈夫か?何か不自由はしていないか?」

「体の方はもう大丈夫です。不自由なことはありません」

「そなたおかげで新しい知識を得ることが出来た。礼を言う」

「もったいないお言葉。ありがとうございます」

「競技はまだたくさんの種類があると聞いている。これらも頼んだぞ」

「承知いたしました」

王と王族はその答に満足し城へと帰った。


王に認められたことでススムの身分は安泰となった。





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