競技のルール作り。練習試合

ススムは格闘と、剣の競技の案を作ることに集中した。

この国の剣の戦い方を教わったり、話を聞いたり、調べたりと精力的に動いた。

基になったのは相撲と剣道。これをこの国に合うようにすること。

自分の言葉で書いたのではこの国の人は読めないので、最終はススムが読み上げダグが書き留めるとゆう作業になった。


数日後、出来上がった素案はブラギを通じてテュールとウルに渡され、さらに二人が検討を重ね、競技ルールが作り上げられた。


ルールをもとに練習が行われた。ススムの指導で、試合の進め方が検討された。


軍での練習が本格化し、兵士達は初めは戸惑ったものの慣れると夢中になった。



そして、王女の前で練習試合が行われることとなった。


弓。出場者が5人ずつ組みを作り矢を5本射り合計点で競う。組の上位者一人が残る。次は少し距離を遠くして行い、順位を決める。同点の場合は再試合。


格闘。偶数人で組となり2人ずつ総当たりで戦う。組の上位1人が決勝に進み、勝ち抜き戦を行う。線で囲まれた場から出たり、足以外の体が地面に着いたら負け。


剣、格闘とルールは同じ、刃の無い剣で戦い、急所には防具を付ける。防具に剣が3回当たったら負け。剣を弾き飛ばされたり戦えなくなった時も負けになる。


かなり長い時間練習試合は行われた。練習とはいえ選手たちは真剣そのもの。王女の前で無様ぶざまな事は出来ないと奮起した。


すべての試合が終わり、順位が確定し、王女からのお言葉があった。

「皆の者、よく戦った。血を流さずともこれだけの事が出来る事が証明された。皆の一層の精進を期待する。次は闘技場で民の前で行う!」選手の間から雄たけびのような声が上がった。

「そして、ここまで指導をしたススムに栄誉を!」

王女の言葉に選手たちの雄たけびは激しさを増す。ススムは自分に向けられた賛辞が信じられなかった。

肩に手が置かれテュールが頷く。ウルがススムをかつぎ上げ「ススム、手を振れ!皆に答えろ!」ススムはおずおずと手を振った。雄たけびは激しさを増す。暫くして、

「それでは練習試合を終了する。皆ご苦労だった」との王女の言葉でお開きになった。


地面に降ろされたススムは満足な顔の兵士達を見て安堵した。これなら闘技場の大会もうまくいくだろう。グラツ頭が揺れたような気がした。









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