第3話ブラギの家
馬は大きな建物に着いた。すぐに使用人がやって来る。ブラギはススムを馬から降ろすと、使用人に馬の世話を頼んで家の中に入った。
すぐに別の使用人がやって来た。
「この少年を預かることになった。部屋を用意してくれ」とブラギは命令した。
ブラギがある部屋に入るとメイドがやって来た。
「お客様だ、お茶の用意を」とブラギは命令する。
「さ、ここが君が暮らす家だ。ま、座り給え」と椅子を指さした。ススムは大人しく椅子に座った。メイドがお茶を持って来て二人の前にカップを置き立ち去った。
「さて、さっきの続きなのだが、どうすればいいのかな?」
「ルールを決めて行えばいいんです」
「ルール?」
「その競技を行う決まりごとのことです」
「具体的に説明してくれ」
「えっと、ここでは弓は使いますか?」
「ああ」
「それでは弓を競技とする場合を説明しますね。まず丸い円盤に何個かの円を書いて、中心に行くほど点数が高くなるようにします。そしてそれを柱に止めて離れたところから、同じ本数の矢を射って点数の合計を競うのです」
「なるほど、そうやって決まりを作って行うわけか、そうやって君の国では競技とやらをやっているのか?」
「国内でもやっていますが、ほかの国と合同でもやっています。競技の種類は無数にあります」
「そうなのか、興味深い。王女様にお話ししてみなくてはな。これ以上はこちらの理解が追いつかない。まずは部屋に案内させよう」ブラギは使用人を呼んだ。
「私はフリッグ様に報告に行ってくる。後は任せたぞ」ブラギは使用人にそう言うと部屋を出て行った。
残されたススムは「こちらにどうぞ」と言う使用人に付いて行った。
使用人は離れのようになっている部屋に案内した。「この部屋をご自由にお使いください。何かありましたら、これを鳴らしてください」使用人はベルの使い方を教えると帰って行った。
残されたススムは部屋を見て回った。本当に一通りの物が揃っている。
自由に使っていいとも言われた。『自由』ここに来て俺は自由になれるのか?あんな否定されて虐げられた生活ではなくて。
ススムは窓際の椅子に座ってこれからのことを考えた。
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