第2話転移した少年

翌日神殿に集まった3人は魔法陣の書かれた部屋に集まった。

魔法陣の中に入った3人は手をつなぎ異世界から王女の思いに答えられる者を呼び寄せる呪文を唱え集中した。

やがて魔法陣の中央から光があふれだした。それを確認した3人は手を放し、両掌りょうてのひらを中央に向けるようにして三方から力を送り続けた。

光の中に人のような姿が見えてきた。しばらくすると光が消え一人の少年がうずくまっていた。

「成功です」ソルが言う。マニは近寄ると仰向けに寝かせ額に手を置いた。念を送ると少年は目を開いた。

「私の言葉が解りますか?」マニが尋ねた。

「はい。ここは何所ですか?私はなぜこんなところにいるんでしょう?」少年が答えた。

「そなたは、我の望みをかなえるために呼んだのだ。そなた名は何という」

王女の問いに、少年は「ススムです」と答えた。

「ススムここはオーディン、我が父が納める国だ。私は王女フリッグ。そなたにかなえて欲しい願いがあり、この国に呼んだのだ。話はしばらく休んでからがいいだろう。ブラギ後は頼んだぞ」そう言うと王女は部屋を出て城へ帰って行った。


「ソル、部屋を貸してくれないか?彼と話をしたい」

「承知しましたこちらへどうぞ」

「さ、ススム行こう」

ブラギはススムを連れ案内された部屋に入った。

「ここに座って」ススムは言われた席に座った。

「王女様の願いと言うのは、血を流すこと無く民の歓ぶことが出来ないかと言うことなのだ。今行われているように闘技場で倒れるまで戦うのではなくて」

「私の国の別の地域では同じ事が大昔行われていました」

「今は行っていないのか?」

「はい」

「そうか。詳しくは家に行って落ち着いてから話そう。君は私の家で預かることになるからね」

「よろしくお願いいたします」ススムがそう言うとブラギはススムを連れて外に出た。馬の所に連れて行く。

「馬に乗ったことは?」

「ありません」

「なら、しっかりつかまっていてくれ」

ススムを馬に乗せるとブラギは馬を駆り家へと帰って行った。


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