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天野さんから貰った薬でいくらか楽になったけど、今日はずっと体調が悪かった。

これが二日酔いなのかと初めて勉強になった。




お客様が誰もいなくなったタイミングで、キッチンカウンターの影にある椅子に少し座り休んでいると・・・

男性のお客様が来店したので立ち上がる。




初めて見る男性で・・・

50歳くらいに見える。




その男性が厭らしい目付きで私のことをジロジロと見てきた。

この会社は良い人ばかりで・・・

若い女の子は若いからあんな感じにもなるけど・・・。

それでも良い人ばかりで・・・。




「いらっしゃいませ。」




「アイスコーヒー1つ、テイクアウトで。」




「はい。」




この男性にも笑顔で対応し、そしていつもより多めに瞬きをした。

それからアイスコーヒーを作っていく。

私の姿をじっくり見てくる視線を感じながら、アイスコーヒーを作った。




その男性のお客様がいなくなった後、私は珈琲店の看板を“人事部にいます”にし急いで人事部の部屋に戻った。




人事部の部屋のキャビネットから社員名簿の分厚いファイルを取り出し、自分のデスクで1枚ずつ捲っていく。




少しの間それを繰り返していたら、私の真横に人が立った。

見上げてみると天野さんで・・・。




「どんな奴探してる?」




「50歳くらいの男性です。」




「紙で調べんなよ。」




天野さんが笑いながら私の後ろに回り、少し屈んでマウスを動かした。

頭や背中に天野さんの熱を感じてしまい、緊張で息を止めてしまう・・・。




「息しろ!!!」




天野さんが面白そうに笑いながらそう言って、私は小さく頷いた。




「やり方覚えろよ?」




天野さんがそう言ってからマウスを動かすと、パソコンの画面で矢印が動いていく・・・




その矢印を動かし、何度かマウスをクリックする音も聞こえ・・・




私は画面を見ながら瞬きを繰り返す・・・。




「45歳から55歳の間の男で検索をかけたから、今から対象社員の情報が出てくる。

顔写真、これな。」




1枚目の社員情報が出て来て、そこに顔写真も載っている。

私は小さく頷いてから天野さんにお礼を言った。

そして、まだ天野さんの熱が残るマウスを握り次々に社員情報を見ていった。

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