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天野さんは色んな意味で凄い有名だった。

凄い格好良いし、堂々としているし、人付き合いも上手だし、藤岡副社長とも仲が良いらしいし、天野さんが採用する人は変わっているけど仕事が出来るようになっている。




そして、処女しか相手にしない・・・。

私が入社した時には既に有名な話で、男女問わず誰もが知っていた。




噂では、天野さんが通っていた私立の中学校出身の知り合いがいる社員がいて・・・

中学時代から天野さんの処女好きは有名だったらしく・・・。

処女と1回した後はその女の子のことは二度と相手にしなかったと・・・。

そんな噂まで有名になるような人だった。




「気にしない方がいいですよ~。

天野さんに構ってもらってるのが羨ましいだけですから~。」




若い女の子が人事部の部屋に戻る私に励ましてくれた。

この子も天野さんの採用らしいので、同じ天野さん採用の私に仲間意識があるのかもしれない。

私だって・・・ある。

天野さんが採用する人は、他の社員とは何だか違うように思うから。




「天野さんが採用する人はみんな仕事が出来るようになるのに、私だけは半年も経つのにキーボードも打てないからだと思います。

採用した担当者として心配してくれているだけなのに・・・困っちゃいます。」




「でもキーボード打つ仕事じゃないですよね~?」




「メールも返さないといけないですし、報告書も作らないといけないですし・・・。」




「電話でいいんじゃないですか?

報告書も手書きとか?」




「・・・天野さんから却下されました。

パソコン使う勉強もやれって。」




「勉強ね~!!私も会うたびに“勉強しろ”って言われてる~!!」




気が付いたら敬語ではなくなっている若い女の子が私に笑い掛けてくれ、人事部の部屋の前で別れた・・・。




人事部の部屋に戻りお弁当箱が入ったバッグを片付け、椅子に座らず男性の人事部長の方を見る。




「珈琲淹れてきます。」




「お願いします。」




人事部長が優しい笑顔で頷いてくれた。

他の人事部の人達に小さくお辞儀をしてからまた人事部の部屋を出て、給湯室ではなくこの階の1番端の部屋へ。

他の会議室やミーティングルームよりもっとしっかりした扉を開け、部屋の中にある応接用ソファーを通り過ぎキッチン台へ。




そこでお昼休憩後の珈琲を淹れていく・・・。

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