第24話 増えた狼被害

 あ!そういやハミって地球の方が優れているんじゃなかたっけ?

 ハミを見せて計らせて貰おう。


「なぁ、青毛と芦毛のハミを見せてくれないか?」

「はぁ、何でだよ?」

「いや、以前仕入れたハミが使えないかと思ってな」

「はぁ、ハミ持ってるのかよ!」

「一応な」

「ちょっと待ってろ」


そう言って青毛と芦毛の馬のハミを持ってくる。

計らせて貰いインベントリから地球のセンソガン(銅、マンガン、亜鉛の合金)のダブルジョイントのエッグバットビット(銜環はみかんが卵型になっているのでこの名前。銜環はみかんが回転しないので銜身はみみが安定する)で同じサイズのハミを探してコピーしたのを背嚢から出した様に見せて2頭分渡す。


「このハミをこれから使ってくれないか?」

「なんだこれ?変な形をしてるが馬の口には良さそうだな。やってみるか」

「ああ!頼む。このハミはこの矢印が左側にくるように馬に装着してくれ」

「分かった」


そう言って早速馬達に付けていった。

そして、一周回ってくると


「良いなこれ、欲しいが在庫は無いのか?」


 と聞かれたので在庫はそれだけだと言い、購入する馬具セットからハミを外してくれる様に言った。

 そして、問題が無ければこれからはそのハミを使ってくれる様に再度頼む。

 デビットは分かったよと快諾してくれた。



 ヴィンチさんの工房に進捗状況を聞きに行く。


「ヴィンチさん、魔道馬車の制作状況はどうですか?」

「ああ!君かね。制作状況は佳境に入ってきたと言っても良いね」

「魔法陣は未だ必要ありませんか?」

「魔法陣は最後の方の工程だから未だだね。

 それにしても良く空鯨の神経糸をこれだけ手に入れたね。

 これだけあればトレント材が集める魔素もロスが少なく魔法陣や重球に流す事が可能になるね!」

「トレント材って魔素を集めるんですか?」

「そうだとも!それに鉄よりも固くて普通の木材よりも軽くて火に強いんだ!」

「そうなんですか。ところで、浮球って重球で操っているんですよね。重球の重さを制御して魔道馬車の重さを好きにコントロール出来ませんか?」

「それは浮球と重球を持っていると聞かされた時からそのつもりだよ。

 正確には御者席ぎょしゃせきにダイヤルのツマミで操作できるようにするので、重球に行く魔力量をそのツマミでコントロールして制御するんだ。

 その為に空鯨の神経糸は欠かせない材料だよ!」

「もし追加で資材が要るとしても倉庫は契約終了したのであそこに置けないので気を付け得て下さい」

「ああ。もし、追加の資材が要る様な場合には家の空いてる倉庫に入れて貰おう」

「そうなんですね。それでは、魔法陣の用が出来れば宿屋の眠る猫亭までお知らせ下さい」

「わかった。そうさせて貰おう」

「それではこれで!」


そう言ってヴィンチさんの工房を離れた。



冒険者ギルドに行くと、依頼版に


『狼の調査

 狼の頭数が多い為、原因を探るべく調査を行って欲しい。

 出来れば狼の分布範囲や頭数、他の生き物は食べられていなくなっていないか等。

 最低でも増えた原因と思われるものは調べてきて欲しい。

 報酬は情報により金貨2~枚。

                              銅級~』


これは外れ依頼だな。一見簡単そうに思えるかもしれないが、最低でも”増えた原因と思われるもの”がなくては金貨2枚の報酬は貰えない。つまり、狼の分布範囲等を調べても原因が分からなければ報酬が無いという事だ。


顔見知りの冒険者を見つけて話を聞く。

「よう。景気はどうだい?」

「ぼちぼちだな。それはそうとアンタが喋りかけてくるなんて珍しいじゃ無いか」

「ああ!狼の調査依頼で気になってな。一杯奢るから話を聞かせてくれないか?」

「酒を一杯奢って貰えるのなら良いだろう。何が知りたい」

「じゃぁ、先に酒を頼もう。エールで良いか?」

「ああ」


俺は給仕に銅貨3枚を渡し、エールを一杯目の前の奴にと頼んだ。


「依頼を受けた者達で原因を調べられると思うか?」

「斥候が強いパーティーが何組か調査してるから時間は掛かるが、大丈夫じゃないか?」

「町の外の牧場に被害が行くまでに原因を突き止められると思うか?」

「領主の警備隊が昼も夜も何人か護衛を派遣しているから大丈夫だろ。多分」

「そういや、あの依頼はいつから出てたんだ?」

「1週間程前からだな」

「牧場は警備隊以外に対策はしてないのか?」

「各牧草地に最低1頭は羊がいるって話だぜ」

「羊?何で羊がいるんだ?」

「囮さ。羊が襲われている間に馬を逃がしたりするのさ」

「成る程。それはそうと鞄よりも大きな物が入る魔法の鞄って売ってるのか?」

「アイテムバックの事か?あるにはあるが最小の5m四方で大金貨2枚以上するし、オークションでも滅多に出てこないから俺達には夢物語だよ。まぁ、冒険者ギルドじゃ20m四方のアイテムバックを大物を退治する依頼があった時に貸し出してるって噂話だが本当かどうか、そういや王家にはそれ以上のアイテムバックが眠ってるって話だがこれもねぇ」

「もし噂が本当なら凄いじゃないか!」

「本当ならな。竜でも出てこない限り出番はないだろうがな」

「ありがとうよ」


 俺はテーブルに銅貨3枚を置いて立ち上がる。


「おい、銅貨3枚忘れてるぞ!」

「喋って疲れただろう?それでもう一杯頼んで喉を潤しな」


 そう言って俺は顔見知りの冒険者から離れていった。

 冒険者ギルドに来たついでに極楽鳥の依頼を1件片付けておくと受付で手続きをして外に出た。



 翌日、朝から牧場で馬相手に馬具の付け方を習っている。

 間違えればデビットの罵声が飛んでくる。2時間かけて馬具の付け方を

 その後に1周だけ幌馬車の運転の練習をさせて貰った。

 デビットに狼の被害はないのかと聞いてみた。


「狼の被害?家は未だ無いな。西門の森が近い牧場なら被害に当たって話だがうちは門が違うしな。それに商業ギルドと領軍から見回りの警備が来てるから被害が出ても少なくてすむだろう。囮の羊もいるし」


 と言う事だった。


 牧場を後にし、冒険者ギルドへ入る。するとギルドが騒がしくなっている。昨日の顔見知りの冒険者がいたので話を聞くと、狼の被害が多かったのはコボルトが狼を率いていたからだそうだ。

 そのコボルトの巣を駆除する為の人材の募集を今日、募集して明日に襲撃をかけるそうだ。

 報酬は参加するだけで金貨1枚、コボルトマジシャンを倒せば金貨3枚、コボルトリーダーを倒せば金貨5枚だそうだ。

 そのかわり、それ以外の獲物を倒しても参加費以上は増えないが貢献度として貢献した物には最大10回分の依頼成功と見なされるらしい。

 俺は依頼に参加する事にして依頼受け付けの手続きをした。

宿泊している宿の名前を各欄があったので”眠る猫亭”と書いておいた。


 宿屋の眠る猫亭に戻るとヴィンチさんから連絡があり、魔法陣を作って欲しいとの事だったので、職人街に行く事にした。


 駅馬車で職人街に来て駅馬車の車掌に銅貨10枚を渡すと降りる。

 ヴィンチさんの工房に行ってみるとヴィンチさんから猛烈な歓迎を受けた!

 荷台の1枚目の敷き詰められた板の真ん中辺りに30cmの魔法陣を書く事になった。

 まずは管理者から習った偽造防止用のプロテクトがある魔法陣を最高級シリーズのペンとインクで描いていく。

 次にトレント材を削る為のオリハルコンの工具を背嚢から取り出し、インクの線にとって彫りが均等になる様に彫っていく。

 後、魔法陣に接続できるように魔力線も言われた箇所に言われた通り何カ所も描いて彫っていく。

 全て掘り終わったら最高級の魔道インクと最高級の万能保護剤で3:2で混ぜ合わせた物を特性の道具を使って溝に正確に流し込んで固まるのを待つ。

 1時間程で固まるのでそれまで待ち、固まれば試験として一回魔法陣に魔力を流す。

 正常に動作した様なので魔力を抜き、ここから又、ヴィンチさんに任せる。

 ヴィンチさんは魔法陣の描かれた板の上に少し薄い板を置き、敷き詰めていく。

 もう良いかと思って帰るのを確認すると、ここからは大丈夫なので帰ってくれて大丈夫との事だったので道具を仕舞って宿に帰る。



―――――――――――――――――――――――――――――


もし、出来ましたら目次の下の方にある評価の方をよろしくお願いします。

何かお気に召さないと言うかたは★☆☆を、少しでも気になるという方や普通だなと言うかたは★★☆を。何か気に入ったや続きが気になるという方は★★★を付けて下されば幸いです。

♡で応援するでも良いのでよろしくお願いします。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る