第23話 馬車の練習

 俺のものになった芦毛あしげの馬にクリーンをかける。

 そうすると毛艶が良くなり汚れも取れ綺麗な芦毛の馬になった。

 その芦毛の馬を連れて牧場に行く。前に契約した事を果たして貰おうという事だ。

 牧場に着き、牧場の主人を呼んで貰う。

 デビットさんは俺と馬を見ると契約の事を思い出したのか少し嫌な顔を浮かべた後で、寄って来た。


「よお、それが馬市で仕入れた馬かい。中々良い馬じゃないか」

「ああ!それで青毛あおげの馬を購入した時に約束した契約を果たそうと思ってな。これが約束の銀貨3枚だ。

 これでこの馬を預けて荷馬車の訓練を馬と俺にしてくれるんだろう」

「まぁ、約束だからな。暇な時に牧場に来ればあんたの訓練はその時にしてやるよ」

「じゃあ、今からでも良いかい?」

「ああ、そっちが良ければな」

「決まりだ。俺の馬達で訓練を頼む」


 俺がそう言うと、デビットは俺の馬の芦毛と青毛の馬を連れて倉庫に入って行った。

 暫くして幌馬車に繋がれた俺の馬達とデビットが出て来た。


「旦那、用意をして来たから御者台に乗りな!」

「馬車に馬を繋ぐ所から教えて欲しいんだが?」

「それは後でしてやる。先ずは移動の手綱捌きたづなさばきの訓練からだ」

「了解。それで如何するんだ?」

「まずは俺の手綱捌きを見て要点を言うからそれを覚えろ。その次に実際に操縦してもらう」

「分かった。よろしく頼む」


 そうして小一時間程操縦を見せて貰い、操縦をする事になった。

 操縦は難しく思った様にはいかないが、その度にデビットから馬の気持ちを考えろと言う叱咤しったが飛んでくる。

 1頭立ての馬車よりも2頭立ての馬車の方が格段に操縦が難しい。

今日の所は真っ直ぐ走らせるのと、馬の疲労に直接関係する大事なくびきの外し方と付け方を習った。

 又、明日来る事を言い、今日は宿に帰った。


 宿屋では運が良かったのか猫耳幼女が父親と交代する時に出くわした。

 丁度良い機会なのでこの間言っていたこの国の事やこの港や領の特産品などを教えてくれる様に交渉する。

 すると父親が多数の目がある食堂でなら話をしても良いと猫耳幼女に言ったので食堂で話をする事になった。

 まず、自己紹介から始める事にする。


「俺の名前はシモンと言うんだ。背嚢の人じゃ無いから覚えておいてね。君の名前は?」

「はい。分かりました!私の名前はアデルと言います。それで、何から聞きたいですか?」

「まずはこの町の特産品は何かな?」

「この町の特産品は美味しい魚介類に肉を沢山食べる所為か革も特産の1つです。後は特産品では無いですが観光やそのお土産の貝殻で作ったアクセサリー等があります」

「なるほど魚介類に革か。革って事は馬具なんかも質が良いんだ?」

「そこら辺は良く知らないですが、長持ちするとは聞いた覚えがあります」

「そうか。話は変わるけど、漂流していたから知らないんだけどこの国の名前って何だっけ?」

「えええ!シモンさん漂流してたんですか!良く生きてましたね!」

「何とか拾ってくれた船があってね。それでこの国の名前なんだけど?」

「この国はマウロ帝国と言います。ここ30年間戦も無くて良い国だと思います」

「そう。て事は治安は良い国なんだ?」

「場所にも寄りますが概ね良いと聞いています」

「そうかぁ~、ありがとう。聞く事は大体聞いたよ。これは駄賃のあめ玉だから食べてみて」


 そういって俺は駄賃代わりとして売っている日本のペロペロキャンディを出して手渡した。アデルちゃんは警戒して恐る恐る舐めだしたが、直ぐに尻尾の毛を逆立てて幸せそうにほおばってきた。


「それじゃぁ、ありがとうね」

「こちゅらこしょ、ありゅがちょうごじゃいましゅた」


 アデルちゃんが口にほう張ったまま喋ったので何を言ってるのか分かり辛わかりづらかった。

 そういや、何度か宿屋に服の仮縫いに来てくれと連絡があってジオルさんの所に遅れると言って仮縫いしてた服なんだけど、完成したと聞いた時には領主に会うのに間に合わなかったから今まで取りに行くのを忘れてたわ。

 明日にでも取りに行かなくちゃなぁ。

 あ!そういや幌馬車に付ける魔法陣って背嚢のと同じにしようと思ってたんだと思い、背嚢を調べる。

 だが、魔法陣が何処にも見当たらない!何でだ!

 仕方が無いのでみると、背嚢の底に透明なインクで魔法陣が書かれているのを発見した。

 一応、それを紙に魔法陣を写し込んだ。

 念の為に島の屋敷に行き異空間に行き、幌馬車の説明をして背嚢の魔法陣を知りたいと連絡すると直ぐに管理人が現れた。

 管理人に魔法陣の写しを見せると、合ってはいるが真似まねをされれば困るので性能は同じで偽装を施した魔法陣をあげるからそれを幌馬車に使って欲しいとの事でそうする事にした。もちろん新しい魔法陣は

 異空間から島の館に戻ってくるといつものルーチンをして宿屋に戻り、夕食を食べた後で寝る俺だった。



 今日は冒険者ギルドに行かなくて良いから朝8時に起きる事が出来た。アデルちゃんが朝食の配膳を手伝っているのが見えると、俺も朝食を食べてまずは服屋に服を取りに行った。

 服屋に着くと、店主が首を長くして待っていた様で少々怒られたが、無事に完成した服を紙袋に入れて貰った。

 店主が念の為に試着していって欲しいとの事だったので試着したが、腕や肩、腰など動きやすくオーダーメイドってこんなに違う物なんだと思わされる様な服だった。

 店から出た後で人影の少ない所でインベントリに入れた。

 その後に牧場に行き、訓練して貰えるかとデビットに言うと良いとの事で幌馬車に馬をつなぐ所から練習を開始した。

 馬のくびきの付け方と外し方で2時間かかり完璧にマスターした。

もちろんくびきの付け方と外し方は

 その後に幌馬車で馬達の操縦の練習をして何とか合格を貰えたのは6時間後だった。

 馬達に塩と水をやり、洗ってブラシを掛けると綺麗な毛並みになった。

 そういう遣り取りも大事なのだとデビットに言われた。

 芦毛の馬は群れには馴染なじんでいるかと聞くと、昨日の今日だから分からんと言われた。それもそうかと思った。

 そういえばここで幌馬車の訓練をしているが、実際に俺の魔法馬車が出来れば馬具はどうなるんだろうか?

 デビットに売って貰えるか聞いてみるか。


「なぁ、デビット」

「なんだ、急に」

「俺の幌馬車が完成したら馬具が要るだろ、その馬具ってここで売って貰えるのか?」

「俺の所だと職人に注文してからの販売になるな。だから、少し割高だが馬にあった革の堅さやハミが何が良いか等の判断して注文するんで馬に優しくて長く使えるがな!」

「それって注文してから時間が掛かるのか?」

「大体3日で出来るぜ」

「金額は?」

「その時々によるな。高くても金貨1枚にも満たないだろうぜ」

「じゃぁ、俺の馬達の幌馬車用の馬具一式セットで注文するのでよろしく」

「ああ!多少高くなっても文句は言うなよ!」

「分かってるよ!でも、ぼったくりはするなよ!」

「そこは信用してくれ!」

「今から職人に注文するのか?」

「今は預かった新しい芦毛の馬がどんな馬か様子見してる所なんで5日~7日後に注文する事になるな」

「そうか、わかった。よろしく頼む!」

「ああ!任せとけ!」

「それと、明日から時間のある時に練習に1~2時間程来るのでよろしく!」

「はぁ!お前、もう操縦出来るだろ!」

「いや、長時間してないと忘れそうだから・・・・・・それにハミのはめ方とか馬具の付け方とか未だ分からんし。そう言う事でよろしく!」

「はぁ、分かったよ」


 ・・・・・・そういや、島に厩舎があったっけ?あった様な気がするが確認しとくか。


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