第17話 皮を鞣すと言う事
未だ朝の鐘8つ時に時間が余っているので、西にある門に向かっている。
門で昨日と同じ手続きをして、門の外に出ると小マップで極楽鳥を検索して探す。すると、森の中に反応がそれなりにあるので一番近い所に気配を消して移動する。
極楽鳥を探すと20m程先の木の枝に雄が止まっているのが見えた。
気配を消したまま近寄り、木を登っていく。
まだ、気づかれていない。俺は右手で解体ナイフを出して左手で極楽鳥を掴んで素早く喉の頸動脈を切り、逆さにした。ここ迄約1秒である。
暴れる極楽鳥を逃がさない様にしながら
小マップでは近くにもう1羽いる事が分かったので、同様の手順で狩った。今度は雌だった。
インベントリに2匹を入れるとセポタの町に戻った。
朝の鐘8つ時に間に合う様にジオルさんの鞣し屋に行く。
何とか朝の鐘8つ時の鐘が鳴る前に着くことが出来た。
◇
「ふん。少しは遅れるかと思ったがちゃんと朝の8つ時前に来みたいだね!」
「おはよう御座います。今日はよろしくお願いします」
「それじゃ、早速今日来た皮の洗濯をして貰おうかね」
「了解しました。あの、洗い場と石鹸はどこでしょうか?」
「あ〜、それらはこっちの水場だよ」
そう言ってジオルさんは水路のある洗い場に連れて行ってくれ、石鹸の置き場等を教えてくれた。
洗い場で毛皮をまずは水で洗い汚れやマダニなどを取っていく。水が濁らなくなりマダニ等がいなくなれば最初の工程は終了だ。
その後に石鹸で汚れを落として洗っても汚れが無く水が綺麗になれば終了になる。
この工程は生活魔法のクリーンでも良いとの事だが、後の工程で魔法を大量に使うので手作業になっている。
洗った毛皮は少し乾くまで干しておき、次の毛皮を洗う。皆で毛皮を洗っていると1時間程で終わった。
次の工程は洗った毛皮から未だ着いている肉や脂肪を取り除く事だ。地球ではナイフを使って削ぎ落としていたのでそうしようとしたら、ジオルさんからそんな面倒なやり方をせずに魔法を使えば良いと言われた。
見せて貰った魔法は弱い研磨の魔法で
これが終わると異世界のジオルさん特性のタンニン液?につけ揉む。地球と違うのはタンニンのしみこむ速度が違い、地球ならピット層鞣しで1ヶ月~2ヶ月程タンニン濃度の違うプールに順次つけ込む必要がある。でも、
ジオルさん特性タンニン液?はジオの木を煮て作った液にオルの実を煮て作った液を混ぜ合わせて作った物らしい。
ちなみにジオルという名前の由来にもなっているそうだ。タンニンは地球ならアフリカや南米のミモザやケブラチョ、チェスナットという植物に多い。日本なら渋柿に多い。
前もって漬けていた毛皮を取り出してタンニン液を洗い流す。
その後に板に皮を伸ばしながら釘で貼り付けていく。貼り付け終わったら板ごと日陰で干すか、日陰で干す場所が無くなったら
早く乾く様に
1日前に干した皮を板から外してブラシで少量の油を使った毛繕いと
その後にまた板に皮を伸ばしながら貼っていき、
7日後に板から外した皮はもう革という感じだが、3日間程
三日後に柔らかくなっていたら完成だが、未だ堅いと思ったら
ここまでが皮の鞣し方の工程になる。
これらの工程をしていると、時間が経つのが早い。最後にジオルさん特性のタンニン液を作るのに参加したら夜の鐘7つ時だった。
特性タンニン液はこのまま8時間程煮込むそうなので、一旦宿に晩御飯を食べに宿に帰った。
特性タンニン液を作るのに参加しなくても良いと言われたけれど、最初なので付き合う事にした。
晩御飯で思い出したが、昼飯を食べていない事に気が付いた。ただ、ジオルさんが言うには普通は昼食を食べず、朝と晩ご飯の2食が普通なのだそうだ。
◇
宿に戻ると食堂に行き、インベントリから熊の手の事が書かれた紙をポケットから出した様に見せかけて給仕に渡したら、熊の手の料理が来た。
何というか、コラーゲンたっぷりの料理といった感じだった。
宿の人に今日は戻らないと伝え、倉庫にテレポートして何も置いてないのを確認すると倉庫の鍵を掛けた。
宿を出てジオルさんの所に戻ると状況はさして変わりはなかった。
じっくりと時間をかけて煮込んでいると次第に色が青緑が強くなって来て、ジオの木の方はコナの粉末と科学反応したのか暗青緑色になってきた。
キオの木では同じくコナの粉末と何が反応したのか知らないが、暗黄色だった。
ヌメの実デモ同じくコナの粉末を使い似ていくと強い白色に変わった後、時間をかけていくと透明感のある白色に変化した。
オルの実の方はコナの粉末と何が反応したのか知らないが、暗赤紫色だった。
材料は水とオルの実とコナの粉末しか入っていないのでオルの実をジオの木と入れ替えれば材料は同じであるのに不思議だった。
それはキオの木とヌメの実も同じだった。
8時間が過ぎてそれぞれの液を大鍋に移し替え、元の鍋には材料しか残らない様にした様だ。元の鍋から材料を取り出してジオの木とオルの実、キオの木とヌメの実は乾燥させて燃料にするらしい。
◇
夜中の3時頃に終わったのでテレポートで島の館に戻り、自分相手の訓練と魔道具作成の練習をした後クリーンをかけて寝間着に着替えて2時間程仮眠する。
2時間後の朝6時に起きて服を着替え歯と顔を洗い宿屋の眠る猫亭の近くににテレポートする。眠る猫亭に入ると部屋の鍵をインベントリからポケットに移して出した。
「いらっしゃいませ。朝の食事ですか?」
「ええ。昨日はこの宿に帰る事が出来なかったので朝食を食べようと思いまして」
そう言って部屋の鍵を見せると給仕は分かりましたと言って朝食を出してきた。朝食はベーコンの厚切りと葉物野菜をパンに挟んだベーコンバーガー擬きが2個出てきた。
マスタードが縫ってなかった所為かそれなりにしか美味しくなかった。
冒険者ギルドに行き、買い取り所に前もって背嚢に入れておいた極楽鳥の雄を持って行くと査定係は驚き、思わず大声で言った。
「坊主!お前、極楽鳥を取ってきたのか!!」
買取人の背中の買い取りの規則を見ると他の人に獲物の事を喋るのは禁止事項になっていた。
それを査定係に言うと謝ってきたが、ギルド中に広まってしまっていて取り返しが付かなかった。
思わず査定をしなくて獲物を持って帰ると言うと、慌てて謝ってきて賠償金として金貨1枚を貰った。
再度、買い取りカウンターに極楽鳥を出すと査定での金額は今度は小声で極上物で雄の綺麗な羽根を入れて金貨5枚とのことだった。
テレパシーで査定が正当かどうか調べてみると、職業に誇りを持っているのか査定は賠償金とは別に正当に評価した物だったので、その金額で売った。
この前と同じように木のプレートをくれたのでそれを受付に持っていき手続きを終わらせた。
持ってきたのが極楽鳥と皆が知っている。それで帰り道にでも襲われる事が心配だったので掲示板に依頼を貼り付けられる前に冒険者ギルド出たら人通りの居ない横道に入ってすぐ町にある西の門の近くにテレポートして撤退した。
◇
いつもの様に手続きをして西の門から出て昨日と同じように極楽鳥を1匹狩り
そして西門に戻りいつも通り手続きして今度は鞣し屋のジオルさんの所に行っき、昨日と同じように夜7時頃迄働いた。
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