第14話 冒険者ギルド

 商業ギルドを出た俺は近くにある冒険者ギルドへ足を伸ばす事にした。

 冒険者ギルドの看板の意匠は竜に剣だ。この看板を探しながら冒険者が多く居そうな場所を重点的に見ていく。

 程なく冒険者ギルドが見つかったので中に入っていく。

 お約束ならここで絡まれる所だが、依頼主も入ってくる様な入り口で絡んでくる馬鹿は普通は居ないのでちゃんと受付を見る事が出来た。

 受付だが、ラノベ等なら美人な女性が受付している所だが、受付所が五ヶ所ある内の中で1人だけアラサーの女性が居ただけだったが、アラサーの女性の所は凄く混んでいて、他は空いていた。

 俺は説明を聞き、納得できれば入会出来れば良いのでそれなりに経験を積んで居るであろう中年の所に足を運んだ。


「いらっしゃい。今日はどんなご用で?」

「商業ギルドに入っているんだが冒険者ギルドにも入会しておこうかと思って足を運んだんだが、今、何か問題ないかい?」

「はい。問題ないですぜ」

「それじゃぁ、詳しい説明をお願いできますか?」


 上司のような格好の人が受付の人の背後に立ち咳払いをすると、受付の人が背をピンと伸ばして言ってきた。


「わかりました。詳しい説明ですね。まず入会するには15歳以上で入会金1銀貨と木級なら年会費が銀貨1枚になります。基本的に冒険者はランクがあります。

ランクは高い程、年会費は上がっていきます。

 税金も依頼料や買い取り料から税金を取られた金額が提示されたり依頼掲示板に貼っております。

 そしてその依頼ですが依頼には推奨されるランクが表示されておりますが、護衛や村の駆除任務等以外ならどのランクでも自己責任で引き受ける事が可能です。

 ただ、これは全てのランクの冒険者にも適用されるのですが依頼人と面接して貰い承諾を得る必要があります。

 ただ、例外がありまして常設依頼なら面接も受付も無しで依頼を受ける事が可能です。ただし、全ては冒険者の自己責任になります。

 冒険者のクラスですが下から順に木、鉄、銅、銀、金、白金、ミスリル、オリハルコンになりますが、オリハルコンクラスの冒険者は世界には只今は存在しません。

 ランクアップは木級の場合は連続して以来の成功が10回か合計30回の成功で上に上がれます。カッパーまでは木級と同じですが同じ階級を成功させなければいけません。

 それ以上は先程の事柄に加えて貢献度と試験があります。

 ただし、あまり失敗が続くようなら降格がありますのでご注意下さい。

 冒険者ギルドは国に所属している機関ですので、幾つかの義務があります。

 銀級以上には戦争時に強制的に参加する義務があります。

 ただし、参加義務があるのは戦争が起こった時に当事国に居る銀級以上の冒険者となっております。

 また、これは金級以上ですが強制依頼も断れません。その代わりに失敗をしても違約金は発生しません。

 そして強制依頼は年3回迄と決められております。

 これらの強制義務はこの国とその同盟国はもちろん冒険者ギルド独自で協定を結んでいる国にも効力が発揮します。

 その代わり、それらの国々ではこの国の冒険者のランクがそのまま適用されます。

 ただし、それらの国に行く場合にはギルドの正式な書類が無いとランクをそのまま適用されず一から出直しになるので出国前にギルドにお知らせ下さるようお願い致します。

 それとこれは特典ですが、最初に登録した町はもちろんそれ以外で冒険者だけで活動する場合には通行税はかかりません。商売等をする場合には一番最初に通行する場合のみ通行税がかかり、町を出てよその町に商売で行く場合まで通行税はかかりません。その際には商業ギルドと冒険者ギルドの両方の書類が要りますのでご注意下さい」

「依頼を受けた場合に達成しても難癖着けて依頼を失敗とする依頼人や無茶な命令を言ってくる依頼人などがいると思いますが、その場合はギルドはどういった対応をしてくれますか?」


後ろの上司は未だ立ち去らないので受付の人は汗を流しはじめた。


「両方から話を聞き、周辺の人達にも聞き込み等やそれ以外の調査をして判断します。納得がいかない場合には審議官の魔法で嘘か本当かを見破って頂きます。その場合には審議官への報酬は負けた方が支払う事となります。また、審議官を騙そうとした場合には国の期間であるギルドを騙そうとすると言う事になり、国に対しての詐欺行為になりますので関係者は犯罪奴隷落ちになる場合もあります」

「入会するメリットは他にはありますか?」

「そうですね・・・・・・無料有料問わず各種講座や訓練所での訓練、2階にある図書館でのモンスターや採取植物の姿形に気を付ける事が書いてある本の閲覧や希望者へのパーティーの紹介等がありますね」

「ありがとうございます。よく分かりました。それでは入会したいと思いますが如何すればよいですか?」


受付は用紙とペンを持って此方に渡してきた。


「そちらの用紙にある欄に名前と出身地と年齢を書いて頂ければ結構です」


そのように言われたので名前はシモンと出身地は東の島群のさらに東の島と15歳と書いて渡した。


「はい。抜けも無いようですしこれで諸費用を頂ければ入会になります。推薦の無い方の場合は最初は木級から始める事になっていますので銀貨2枚になります」


銀貨2枚を渡すと名前と年齢、出身地と市の名前と番号を書かれた木のプレートが渡された。


「これが木級の身分証明書になります。これを市の門番に見せれば通行税を取られないので気を付けて下さい。それでは、ありがとうございました」


受付の人の背後から上司が立ち去った。


「ふぃ~、全く参ったぜ!そういうことだからルーキーよろしくな!」


・・・・・・そういう所が上司に目を付けられてるんだと俺は思うぞ!


さて、依頼版でも見ていこうかな?

そう思って依頼版を見ると一つの常設依頼が目に付いた。


『一角兎の肉3羽の納品。

一角兎の毛皮と角は要らない。

3羽で銅貨45枚。

追加で1羽銅貨15枚。

         木級~』


これを見て近くの職員に声をかける。


「この常設依頼ってギルドに入る前に狩ったので毛皮や角を剥がして肉だけでもだいじょうぶでしょうか?」

「そんなに日にちが経っていない物ならギルドに入会前の物でもその状態で納品出来ると思うよ」

「ありがとうございます!」


 俺は島で狩っていた一角兎の肉を4羽背嚢にインベントリから入れた。

 それで、再度受付に行き今度は別の人の所に行き常設依頼の一角兎の肉の話をした。

 大丈夫だと言う事で背嚢から4羽の一角兎の肉を出すして査定をして貰う。


「うん。これなら綺麗に解体されているし、肉も新しいようだから3羽で半銀貨1枚、追加の1羽銅貨20枚でどうだい?」

「それでよろしくお願いします!」

「それじゃ、依頼達成の手続きをするのでプレートを出してくれる?」


 俺は木級のプレートを出して手渡したら、番号を見て書類を探し出して何か書いていった。それが終わると1と書かれた銀のプレートと20と書かれた銅のプレートを渡された。


「このプレートを持ってあそこの買い取り所にこの肉ごと持って行ってね。後、今回は肉だけだけど毛皮や角もあったら売れるから血抜きした状態で持ってきてくれる?そしたら此方で解体しても毛皮や角の分が高く売れるから」


 俺は了承して買い取り所に行き一角兎の肉とプレートを渡すと、今度からは此方に先に来たら受付で依頼の手続きだけですむようになると言われた。

 ちゃんと覚えておこうと思った。


次はここ数年で発明された揺れや重量が軽くなる魔道馬車を作れる店が無いか調べて作れる所があるようならそこで魔道馬車を注文しようと決意した俺だった。



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