第13話 鞣し屋と商業ギルド
俺は鞣し屋って臭うからそりゃ一カ所に集まるわなと思って小マップに町一番の腕の良い鞣しの達人の人の名前とその人が居る鞣し屋と検索してオートマッピングでそこに行く。
行ってみると、少人数でやっているのか小屋は小かった。小マップで調べた名前を働いている人に言う事にした。
「すみません。ジオルさんはいらっしゃいますか?いらっしゃれば仕事を頼みたいのですが!」
「ジオルはいるがあんた誰だね?」
「あ!サカキ シモンと申します。こちら風で言うとシモン サカキですね」
「お貴族様かい!?」
「こちらで言う貴族がどのような立ち位置にいるのか知りませんが、故郷では古くからある家ですね。遠くの国なので今はただの旅人ですが」
「・・・・・・それで仕事を頼みたいって言ってたが、ジオルじゃないといけないのかい?」
「はい。ぜひジオルさんにお願いしたいのです!」
「・・・・・・ちょっと待ってな。ジオル師匠!師匠に仕事を頼みたいという人が来ていますぜ!」
対応してくれた人がそう大声を出すと小屋の奥から70歳くらいの老人が出てきた。
「なんだい、仕事を頼みたいって?」
「はい。この巨熊の毛皮の鞣しをお願いしたいのです。出来れば半分に切らずにそのままで」
「はっ!これぐらいの大きさの毛皮を半分に切る奴は未だ半人前さね。・・・・・・そうだね、これなら期間は2~3週間で銀貨3枚って所だね」
「それと明日から毛皮が出来るまで良いので町一番の腕利きであるジオルさんに弟子入りしたいのです。鞣しの知識はあるのですが経験が無いものでして・・・・・・金額は倍の銀貨6枚出させて頂きますのでお願いできないでしょうか?」
「う~ん、まあ、全くの素人じゃないってんなら人手も足りないし良いかねぇ」
そう言いつつ、町一番の腕利きって所でニヤついたのを見逃さなかったぞ!煽てに弱いなこの人。
「それじゃ、銀貨6枚渡しますのでジオルさんが鞣して下さいね。明日からの指導もジオルさんがして渡して下さいね。約束ですよ」
「ああ、わかったさね。明日は鐘8つ鳴るまでにこっちについときな!」
「分かりました!スラムですのでトラブルが無ければそうします」
「ふん、スラムじゃトラブルなんかつきものさね」
「それではよろしくお願い致します」
そう言って契約後に俺は宿に戻った。
宿に戻った俺はちょうど12回鐘が鳴ったので昼だと分かった。鐘の音だが昼の12時迄は1時間毎に普通に鐘が鳴り、午後からは小鐘の甲高い音の後に鐘を鳴らす。
例えば午後1時なら小鐘を1回鳴らした後に鐘を1回鳴らして午後2時なら小鐘を1回鳴らして鐘を2回鳴らすといった具合だ。0時は小鐘だけ鳴らすそうだ。
丁度昼時になったので宿屋で昼飯を食う事にする。カウンターに行き金を払えば昼食は出来るのか、出来るとしたら幾らなのかを聞く。
カウンターの猫耳幼女は毎日銅貨10枚で食堂に行けば肉と魚から選べて食べられる事を教えてくれた。ついでに支払いは食堂でする事も教えてくれた。感謝である!
食堂で魚は刺身や寿司以外は嫌いなので肉料理を堪能して銅貨10枚を支払い宿を出る。
オートナビゲーションで商業ギルドに向かう。歩いて15分程の所に商業ギルドの建物があった。
中に入り受付に行くと受付嬢が話し出した。
「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?」
「商業ギルドに入ろうかどうか悩んでいるのだけど、詳しい事が分からなくて・・・・・・詳しい事を教えて欲しいんだけど?」
「分かりました。まず、商業ギルドというのは商人達の集まりで出来ています。
ここで卸売りの仲介を行ったり情報の交換や売買をしたりします。
手数料はかかりますが、商会への斡旋等も致しております。
もちろん、商人同士の交流を深める場としての役割もあります。
それと、公式の身分証明書も入会頂ければ発効致します。
卸売りの仲介手数料は売り手と買い手から1%ずつ頂きます。もちろん、仲介で卸した商品の品質等はギルドが責任を持って調べさせて頂き、間違いがあった時の保証などもギルドが保証致します。
また、普通なら簡易な地図しか町では売っていませんが、ここではそれよりも詳細な地図を売っております。
そして口座という物がありまして同じ国と提携をしているギルドや同じく提携をしている別の国の商業ギルドで預かったお金の出し入れが出来ます。
通貨条約を締結した以外の国の通貨とこの国の通貨との交換も手数料を貰い行っておりますが、これは日々レートが変わります。
また、馬車や馬や騎獣等の販売もしており、行商を辞めた商人から購入した中古品の馬車や道具類を手直して販売しております。
後はオークションの開催等にも手がけております。
業務としての商業ギルドはこの様な所ございます」
思ったよりも大きい組織で色々と業務があるんだな。
「入会するには
「入会金として半金貨1枚と年会費を頂きます。年会費は商人の規模によって違っており、行商人や町での屋台での販売等ですとランクがFで銀貨10枚になります。
この国全体で店を一軒持っている場合は小さな店の場合は銀貨E-で20枚、中規模ですとEで半金貨1枚、大規模ですとE+で金貨1枚になります。特例として開拓村の場合等は開拓村として国の税の優遇解除迄は行商人のFで銀貨10枚が年会費になります。
それ以上の場合は状況次第で店によってランク付けされた金額が年会費になります。
先程言った事も含めますと、ランクですとランクFで銀貨10枚、ランクE帯が銀貨20~金貨1枚、Dランク帯で金貨2枚~金貨10枚、Cランク帯で金貨20枚~50枚、Bランク帯で1大金貨~5大金貨、Aランクは最低1白金貨~となっております。
ランクが高くなればなるほど受けれるサービスの種類や質が上がっていきます」
俺の場合は店も持っていないし、行商しかないな。
「それでは行商人で登録をお願い致します」
「了解致しました。それでは此方にお名前と出身地等をお書き下さい」
「姓名はどう書けば良いでしょうか?故郷では性が先で名が後なんですが・・・・・・」
「名が前で性が後ろになります。お貴族様でしょうか?」
「故郷は東の島国のさらに東の島でそこではそれなりに古い家になります。嵐で遭難してアムルド船長に助けられてのです。今は帰る術の無い旅人です」
「それでしたらいらぬ誤解を避ける為にも名だけにした方が良いかと思います」
「ありがとうございます。それではこれでよろしいでしょうか?」
話しながら書き進めていたのを終わらせて書類を受付嬢に渡す。
「はい、大丈夫です。それでは入会費と年会費をお支払い下さい」
俺は半金貨1枚と銀貨10枚を支払った。
受付嬢は”少々お待ち下さい”と言った後で何やら道具を操作している。
魔力が動いているから魔道具かな?
暫く待つと受付嬢が此方を向いた。
「待たせて申し訳ございませんでした。こちらが身分証明書になります。此方をなめて頂けますか?」
そう言って薄いピンク色したカードの一部を指さしている。
俺は言われた箇所をペロリと舐める。
「ありがとうございます。これでシモン様の魔力の波長が登録されましたのでこれ以降はこのカードはシモン様以外には使えません。無くされた場合は金貨1枚必要になりますのでご注意下さい」
「口座にお金を預けたいのだけど?」
「お金と先程渡したカードを渡して頂けますか?」
そう言われたので預ける金貨20枚をカードと一緒に渡す。
受付嬢は金額に一瞬驚いた様子だったが、黙って入金処理をし始めた。
たぶん、遭難したと言った俺がこんなにお金を持っていないと思っていたんだろう。それとも通貨条約を締結した国の金貨で驚いたのかどっちだろう?
そう思っていると受付嬢が入金処理を終わらせて此方を呼んだ。
「お待たせ致しました。シモンさんの口座にこれで金貨20枚入金しました」
「ありがとうございます。助かりました。また、何かあればよろしくお願い致します」
そう言って俺は商業ギルドを後にした。
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