第12話 セポタの町
テモライト号に拾われて2週間後、ようやくセポタの町に辿り着いた。
ここまでの2週間の間に早朝に島の屋敷にテレポートして訓練所で自分相手の訓練と魔道具の作成の練習を1時間程していた以外は水夫修行とタオル売りをしていた。
水夫修行の方はタジという水夫が面倒を見てくれて
最初の方はタジさんから罵声が飛ん来た。
「そうじゃない!こうやって○を作ってその中にロープを
「デッキブラシはそんなに力を入れても無駄だ!もう少し力を抜いてデッキブラシをかけろ!甲板を削る気かお前は!」
等々、色々な罵声が飛んできたが、2~3回でやり方を覚えると罵声は来なくなって仕事を次々に任されるようになってきた。
航海中に困ったのがトイレ事情だ。船首にあるトイレを使うのだが、貴賓室のトイレは個室だが普通のトイレは何というか・・・・・・開放的だった。トイレをしている時に船首だから海の水をかぶる事もあったし、色々と大変だった!
風呂も無かったので大変かと思いきやクリーンがあるお陰で俺は快適だった。ただ、他の船員が2~3日に1回しかクリーン担当者からクリーンをかけて貰えないので臭かったのには困った。
どうやらクリーン担当者が一人でクリーンをかけられる回数は平均して10回が限度だそうだ。
それに生活魔法を使えるのは10人に1人で、それも生活魔法の一部だけとかが多いそうだ。
だからクリーンをかける事の出来る人の確保はなかなか難しいそうだ。
それからタオルの事だが、アムルド船長が異能で契約した事もあり、タオルの自慢をあちこちでしていたので俺の所に購入希望の乗客が来たりしていた。
正し困ったのが卸値で購入しようとする事だ。
卸値での購入なら1枚当たり金貨4枚で10枚一組での購入になる事とそれ以外だと1枚で金貨6枚になる事と使用後はクリーンの魔法で綺麗にして頂く事をを説明すると、大抵の客は帰ったが1枚だけ購入する客もポツポツいた。
金はある所にはあるもんだなぁと思った。
セポタの町に着いたのは良いけれど、これで降りられると思ったら検疫で1週間船から下りれないそうだ。
水夫仕事も1週間延びる事になった。
到着初日に町からボートがやってきて殺虫剤の魔道具を渡された。これで1週間使用しておくと害虫等が死に外国産の虫を持ち込まずにすむと言う話だった。
船倉で等間隔に何個か置いていくと、翌日には虫が何匹か死んでいたのを見たので効果があるのだと分かった。
アムルド船長がボートから来た人に俺の事を話しておいてくれたので、最終日の7日後に管理官が事情を聞きに来るそうだ。
がんばれ、俺の演技力!
停泊中の1週間は掃除や雑用が主な仕事だった。船倉の荷物に異常が無いか数えたり、死んだ虫を海に捨てたり、ロープが痛んでないか調べたり掃除したりしていた。停泊中でも色々と仕事があるもんだと思った。
最終日の7日に管理官が事情を聞きに来た。
俺は東の島国のさらに東の国からお役人様が乗った船に同乗してあちらこちらの港に寄りながら貢ぎ物を持ってこの国に来たが、嵐で船が壊れて自分だけが2個の背嚢と小袋のを持って沈む船から逃げる事が出来たと言う事を言った。
アムルド船長に言った事と同じ事を言ったので矛盾はないと思う。
管理官は形式的な質問しかしてこなかったので、ボロが出ずにすんで良かったと思った。
管理官から漂流していたなら無いとは思うが身分証明書はあるかと聞かれ、無いと答えると入国と町に入るのにかかる金額の計5銀貨かかると言われたので小袋から出した風に装いインベントリから出したこの国と通商している国の金を見せると問題は無いとの事だったので、5銀貨を支払った。
「入国税と通行税は確かに貰いました。この書類が許可書です。この町に1ヶ月は身分証明書が無くても居る事はできますが、それを過ぎると許可書の効力を失って警邏隊に捕まりますのでご注意下さい。その間に身分証明書になる者をギルドか何処かで醗酵していただければ1ヶ月を過ぎても警邏隊には捕まりませんのでお気を付け下さい。
それでは、セポタの町へようこそ!!」
管理官はそう言うと俺に明日の日付の入った許可書を渡してきた。何故明日なのかと考えればまだ検疫中だった事を思い出した。
明日で検疫が切れて町に入れるようになるんだったわ。
アムルド船長とタジさん達水夫に助けていただいたお礼を言った。
アムルド船長には各ギルドの位置や比較的安くて安全で美味しい食事のある清潔な宿屋は無いか聞いたて見た。
「いや、こちらこそ水夫の仕事をして貰い助かった。その条件でお勧めな宿屋は少々高いが”眠る猫亭”が良いだろう。場所はそれなりに有名だから通行人に聞けば分かると思うよ」
と教えてくれた。
検疫が終わった日にテモライト号から降りると地面に居るのに揺れる感じがする。これが陸酔いかと思い先に宿屋に部屋を取っておこうとして早朝の港でも働いている人達の中で暇そうにしている人に”眠る猫亭”の場所を聞く。
”眠る猫亭”はこの港から一番大きな道の大通りを出て角の鍛冶屋の所で左に曲がって行くとあると言う事なので行ってみた・・・・・・迷った!
素直に小マップで”眠る猫亭”を検索してオートナビゲーションで行った。
”眠る猫亭”は外見の立派な宿屋だった。高そうだけど大丈夫だろうかと重い入ってみると、受付に10歳くらいの猫の獣人の女の子がいた!大事な事だからもう一度言う。10歳くらいの猫の獣人の女の子がいた!!
「いらっしゃいませ。お泊まりですか?お食事ですか?」
思わず猫耳を凝視してしまう。
「あの?お客様?」
その声で我に返ると少し不信を持たれたようだ。
「すまない。獣人を初めて見たので驚いたんだ。泊まりだと一日幾らだい?」
「そうですか。初めて見たのですか。どこか変じゃありません?泊まりだと朝夕食付きで銀貨2枚になります。7日以上お泊まりの場合は日数により金額を負ける事になっております」
「いや、変じゃないよ。猫耳とかがかわいくて珍しかっただけだよ。それじゃぁ1ヶ月泊まる場合は幾らになるんだい?」
そう言うと猫耳幼女は表を見てから答えた。
「1ヶ月ですと1日辺り銀貨1枚と半銀貨1枚になります。30日分ですので全部で銀貨45枚です」
「それじゃあ、お願いします。金貨での支払いだけど大丈夫かい?」
「はい!金貨での支払いも大丈夫です。えーっと、お釣りは半金貨1枚と銀貨5枚ですね。ありがとうございます!お部屋に案内しますね」
そう言って猫耳幼女はカウンターから出て部屋に案内してくれた。
「こちらの部屋になります。これは部屋の鍵になりますので亡くさないようにして下さい。まだ、朝食の時間ですので朝食が無料となっておりますのでよろしければお食べ下さい。それでは、お泊まりありがとうございます!」
「ああ!ありがとう。朝食は頂くよ。荷物を置いたら食べに行くけど如何すれば良い?」
「それでしたら、鍵を持っていればそれが目印になりますので食べる事が出来ます」
「分かったよ。どうもありがとう」
そう言って俺は部屋の中に入って背嚢2個をインベントリに仕舞った。
部屋の鍵を閉めて朝食を食べに行くと2個のパンと牛乳とベーコンの目玉焼きが出てきた。塩のさじ加減が絶妙で美味しかった!
あさの日課の訓練ををすませてテレポートで戻り宿を出た。
◇
背嚢一つ背負って宿を出て小マップで皮の
スラム地区は面倒だなと思いつつオートナビゲーションで行ってみる。
案の定チンピラが絡んできたが、一応こちらに二度と関わらない程度に適当にあしらってオートナビゲーション通りに進むと鞣し屋は見つかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます