第2章 セポタの町
第11話 出発?漂流?
夢に管理者が出てきた日から1ヶ月が経った。
その間にシミュレーションでの自分相手の訓練では相手が初期能力で成長しない上に【万能の天才の力】が発揮して100戦100勝出来るようになり、弓や槍・素手など他の武器も自分相手に練習した。次の目標は無傷で自分相手に100勝出来る事だ。
1ヶ月間の末日に管理者の管理の下に異世界移転アイテムを使用して一旦、日本に一時帰国をした。親に会い手紙を受け取ったり病院に行ったり薬局で薬を貰ったり新しい住みかを見たり、B型支援所を退会したりした。
全部で約5時間ですんだ事が幸いだった。
テレポート様々である。
基本的に同じ事の繰り返しで1ヶ月以上過ごしたので、日本に一時帰国したとは言え暇になってきた。
人が恋しくなってきたと言う事もあるが目標である自分相手の訓練で100戦100勝出来るようになった。だから、この際人里に行ってみようと思ったのである。
そこで悩むのが海から村を通って中規模の町に行くか、最初から大規模の港町に行くかの二択である。
どちらも問題や利点があり悩んでいる。
村に行く場合だと下手すると村の近くまでサイコキネシスで飛んで、漁船や村がかすかにしか見えない所でボートを出してそれを村まで漕いでいかなきゃいけない。
利点は村の人数が少ないから騙しやすそうと言った事がある。
逆にデメリットは誰かが俺を調べた時に港町まで山があるとは言え8kmしかないのに他の船に見つからずに村にたどり着けたものだと疑問視される事だ。
港町の方は2種類入る方法があり、1つ目は入る門の近くにテレポートで出現して遭難したとか言わずに入ろうとする事だ。
これは出来れば怪しまれるのが確実なので余りやりたくは無い。
もう一つの方法は港町に入ってくる船を探してその船の近くでボートを下ろし遭難したとして助けられる事だ。
これは俺の事を調べられても遭難した所以前に痕跡が無くても調べようが無いので安心である。
それに、拾ってくれた船長や船員が遭難していたと証言してくれる所も大事である。
村か港町か悩んでも結論が出ないのでサイコロで決める事にした。
奇数が村で偶数が港町である。サイコロを回した所、2,2,6で偶数の勝ちだったので港町に向かう事にする。
港町への入り方は結局、遭難を装って港町に入る船に拾って貰ってから入る事にした。
港町の名前が知らない事に気が付き世界マップを開いて港町の名称を検索する。すると、セポタ伯爵領のセポタ市と言う港町である事が分かった。
世界マップで近くに港町セポタに行く船が無いか検索する。すると何軒かヒットした。その中から、1~2週間で港町に着く比較的大きな船は無いかと調べてみる。
1件ヒットした。テモライト号と言う名前らしい。約2週間後に港町セポタに着くようだ。この船にしよう。
船を決めたら普段使いの背嚢の設定を衣服と多数の地球のタオルと包丁と保存食だけにして背嚢の半分くらいに仕舞う。ついでにインベントリから背嚢をコピーしてこちらには巨熊の毛皮と食料、多数の地球のタオル等を入れて同様の設定をする。もちろん2つともアイテムバッグじゃ無いように偽装の設定も忘れない。
仕舞い終わったらサイコキネシスで高高度に行き、テモライト号に向かって飛んでいく。
テモライト号が見えたら乾電池ぐらいの大きさになる進路上にインベントリからコピーしたボートを出して背嚢を背負ってもう一つを前に乗せてサンドイッチになるようになって乗る。
「おーい!おーい!助けてくれー!!」
と言うように人並みの大きな声で叫び手を振るだけである。人並み以上の声を出したら衝撃波が出ちゃうかもしれないからね。
◇
テモライト号が近づいてきてボートを下ろし始めた。どうやら此方に気付いたようだ。
ボートが近寄ってきて大声で喋ってきた。
「おーい!無事か!難破でもしたのか!お前以外に人はいないのか!?」
「残念ながら嵐で沈む船からボートで逃げ出せたのは俺だけだ!助けてくれー!1ヶ月以上彷徨っているんだ!」
「それにしてもお前、何で背嚢を前後に持って挟まれているんだ?」
「浮き輪代わりになるかもと思って嵐の時に持っていたんだ!」
「逆に沈みそうだがな!まぁ良い。こちらに飛び乗ってくれ!」
「ありがとう助かる!」
そう言って俺はテモライト号のボートに飛び乗った。
そうして俺は無事にテモライト号に乗船する事に成功したが、船長等から事情を聞かれた。
「テモライト号にようこそ。君は遭難者だそうだけど何処から来たんだい?」
「東の島国のさらに東の島からお役人様が親書を持って貢ぎ物と一緒に8ヶ月かけてあちこちの国に寄りながらこちらの国の近くまで来たのですが、残念ながら1ヶ月程前に嵐に遭って俺は今持っている2個の背嚢と小袋のお金以外の全ての財産を失いました」
「そうか、それは残念だ。私は船長をしているアムルドと言う者だが、君の名前は?」
ここで本名を名乗るか別名を名乗るかで一瞬考え込んだが、ゲーム等でよく使う名前を使用する事にした。
「サカキ シモンと申します。性が先で名が後です」
「おお!性があるとすると君は貴族だったのかい?」
「アムルド船長の国の貴族がどのようなものかは知りませんので何とも申し上げないのですが、古くからある家です」
「そうか、由緒正しい家なのだな!それはそうと、荷物検査をさせて貰うよ」
そう言うと背嚢を下ろすように言う。
俺は背嚢を下ろしながら警告を発する。
「下ろしますけど防犯装置が付いているので俺以外が開けようとすると雷が落ちて開けた人が失神するので少し待って下さい」
そう言って、背嚢の蓋を開けていった。
「開けたのでご覧下さい。衣服と包丁と商品である故郷でも特別なタオルと毛皮と食料が入っています」
背嚢を調べだした水夫は言われた物しか出てこない事を確認した。
「船長!言われた物しか入ってません。ただ、このタオルは普通のと違いますね。さわり心地が柔らかくてとても良いです」
「そうかね?どれどれ・・・・・・本当に柔らかくて気持ちが良いな!これは幾ら位するものかね」
値段なんか決めてないぞ!そうだ、地球産だから思いっきり吹っ掛けてやれ。
「故郷でも希少なものですので、肌触りと柔らかさと水の吸収性に優れているタオルです。最後に寄った国では卸値でタオル1枚で金貨2枚で購入されました」
「そんなにするのか!最後に寄った国からさらに西に来ていると言う事は最低でも卸値でタオル1枚で金貨2枚、いや3枚以上は確実と言う事か!」
船長は驚き、丁寧に背嚢に戻した。手が震えていたのは見なかった事にしよう。
「アムルド船長、よろしければ助けて貰ったお礼にタオルを1枚差し上げます」
「え?こんな高価なものを良いのかね!」
地球産のタオル1枚で心証が良くなるなら儲けものだし、こんな大きな船なら貴族や大商人とも繋がりがあるだろうから宣伝役に打って付けだな。
「ええ!助けて貰えたお礼と打算ですがこんなに大きな船の船長をしているならこのタオルの宣伝でもしていただければ幸いかと思いまして」
「わははは!まぁ、貴族にも大きな商会にも顔は利くから宣伝させて貰おうじゃ無いか!若いのに君の商魂逞しい所は私は嫌いじゃ無いね」
「約束ですよ!本当によろしくお願いします」
「ああ、任せたまえ!」
アムルド船長が宣伝してくれるよう契約の異能を使った。
これで積極的に宣伝してくれるだろう。
「それでこれから俺は如何すれば良いのでしょうか?」
「如何すればとは?」
「いえ、救助されたのは良いのですが見習い水夫として働かせて貰うとか色々とあると思うのですが・・・・・・」
「そうだね。こんな高価な品を貰ったし、一応個室のある客として遇するよ。もちろん見習い水夫をしてくれても良いがね!」
「ありがとうございます!では暇な時などは見習い水夫をさせていただきます。お手数ですがよろしくお願い致します」
「誰か空いてある客室にシモン君を案内してくれ!」
そう言ってくれたお陰で水夫に空いている客室に案内された俺だった。
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