第10話 残りの10億円は何?

 30億あったって20億譲渡したなら残りの10億は何なんだ?


「あれ?残りの10億円は何?」

「残りの10億円を原資にしてこれからあなたのお金を増やしていくのよ。株や先物取引、FXや仮想通貨かそうつうかに土地建物等でね!まぁ、あなたが言っていた報酬の内の極一部になるだろうけど」

「あ!その報酬で要望があったんだけど、俺の身体年齢に合わせた日本の戸籍を作って貰えないかな?」


 管理者は不思議そうな顔をして聞き返してきた。


「なんで?」

「このままで行くと地球に帰った時に容姿を若く整形したと言っても次第に無理が出てくるだろうから、新しい戸籍が必要なんだよ」

「分かったわ。用意しとく。それだけで良いの?」

「用意して貰った戸籍の方にもロトや宝くじなら対面販売なら年齢制限がないから、俗に言う20歳以上はネットでの購入や支払いでのことだし。

 未成年禁止を掲げている所以外で未成年と分からないような格好を俺の姿でしてもらったら購入できるから、キャリーオーバーで50億円以上にして貰い、それを俺だけに全て当てて貰ってキャリーオーバー無しにして欲しいんだよ。

 もちろん、換金はみず○銀行本店でしか出来ないし未成年は換金できないから保護者と俺の姿した誰かと本人確認書類を持っていってね」


管理者は首を振って嫌そうにした後言った。


「めんどくさ~い。後はどうせそのお金を原資にして株や何かで増やして欲しいんでしょ?」

「その通り!ただし、未成年の株取引口座の開設とか保護者の許可が必要だからそのように手配して欲しい。後、未成年の株取引は18歳になるまで信用取引禁止だから!此方の戸籍の方をメインにして金儲けして欲しい」

「了解。まぁ、出来る事を考えたら本来のあんたの戸籍の方が金額が大きくなると思うけどね」

「あ!新しい戸籍での幼稚園・小学校・中学校の在籍記録とその時に在籍した事になっているクラスの人達の記憶改ざんもお願いします」

「めんど~い!」

「よろしくお願い致します!」


俺はほぼ直角に腰を曲げてお願いした。


「それで、もう用はない?」


 そう聞かれると、ふと疑問がわいてきた。

 そもそものトラブルの原因って何だろうという疑問だ。

 率直に聞いてみる事にしよう。


「あのさ、そもそも俺が異世界に来る事になったトラブルの原因って何なの?」

「あ~。それはその・・・・・・・・・・・・」


何か非常に言い辛いようだ。だが、この疑問を放置して俺に何かあったら困るので聞いておきたい。

 管理者は誤魔化そうかどうしようかと考えているけど、相手の目を見て誤魔化されないぞと牽制しておく。


「はぁ、しょうがないか。そもそもの原因はこの惑星から約500光年離れた場所で馬鹿の集団が国を挙げて新しい世界を作り出そうとした事から始まるのよね」

「はぁ?新しい世界だ?神にでもなるつもりだったのか?」

「さぁ、馬鹿の考える事って分からないわ。それで、問題なのは世界を作り出そうとして盛大に失敗した事よ。

 失敗した所為でその実験を行った星系の次元が破れて星系自体が無くなるどころか、破れた次元の穴は猛スピードで広がっていくし!

 放っておいたらこの世界の宇宙ごと無くなってしまうしで本当にどうしようかと思ったわよ!」

「へ?世界の危機の世界ってこの惑星だけの事じゃなかったのか?」


 てっきりこの惑星だけを世界と呼んでいる物だとばかり思っていた俺は驚いて間抜けな質問をしてしまう。


「違うわよ!惑星や星系の100個や200個ぐらいどうなろうと知ったこっちゃ無いけどこの世界の全宇宙に関係する事なら話は別って事よ。これは地球の管理者も同じよ?」

「マジかぁ~。だからあんな無茶な要求も容認したんだ?」

「そうよ。地球の管理者にも結構無茶な事要求していたけど一部以外は普通に通ったでしょ?だから、地球の管理者も地球が無くなろうと太陽系が無くなろうと何とも思わないわよ?多分」


 なんか管理者の目線にショックを受ける俺がいる。星系単位でどうでも良いなら俺なんかそれ以下だよなぁ。そりゃ無茶な要望出して断ろうとしても容認される訳だわ。


「はぁ、なんか疲れた。そうすると俺に付与された膨大なエネルギーは次元の穴を塞ぐのに使われているのか?」

「そうよ。大量のエネルギーの物量作戦で拡大する次元の穴を埋めていってる所よ。だから、あなたにはなるべくこの異世界に居て欲しいのだけどね」

「いや、ネットとか見たいし。それに一時的にしろ日本に帰る事も出来るんだろう」

「出来るし、その間も残されたエネルギーで埋めていくけど、常時補給される莫大なエネルギーと比べると少し心許ないのよね。まぁ、1年も地球に戻ってこの世界にいない期間を開けられない限りエネルギーは問題ないと思うけど進捗状況は遅くなるわね」

「バイクや自動車免許取るのに10日や1ヶ月程地球に戻る予定はあるけど1年間は無いなぁ。あ!本来の免許等の更新に病院に行く時や役所等での書類の更新も戻るか」

「病院や書類の更新や変更等で役所等に行く必要がある時や免許取得とかは此方で自動的に取れる年齢になったら記憶等を弄って更新の書類や免許等を受け取れるようにするけど?」


 あ、これは嬉しいかもしれない。でも車の免許は持っていてもバイクの免許は持ってないから普通に教習所に行って習った方が良いな。


「車の免許は持ってるから車の免許だけミッションの普通免許でお願い。バイクは乗った事も免許も無いから取れる年齢になったら取りに行くよ。

 そうだ、新しい戸籍の誕生日は4月希望だけど4月1日以外でお願いします。その方が都合が良いので」

「承知したわ。他には何か無いの?」


そう言うと管理人は俺の目を覗いて聞いてきた。

何かあったかな?

あ!そういや俺のパソコン迷惑メールが結構来るから削除していって欲しいな。親と同居していたからそれの問題もある。


「親と同居していたから急に俺がいなくなり10億円も手紙で渡されたら心配をかける!残りの10億で実家近くのアパートとかに引っ越して自活するようにして自分の部屋の物をそっちに移して、手紙などは実家に戻った時に受け取るようにするという風に親の認識を改ざんして欲しい。アパートとかは実際に行動に移してね」

「了解!」

「後、俺のパソコンって迷惑・詐欺・勧誘やいらないメールが結構来るから来たら削除していって欲しい」

「そんなにメールが来るの?」

「1日辺り20件以上来るから放っておくと大変なんだよ」


管理者は肩をすくめて言った。


「しょうが無いわね。それじゃぁ過去のあなたの行動から予測して迷惑・詐欺・勧誘・いらないメールを自動的に消すソフトでも作って入れるわ。それで時々あなたのパソコンで立ち上げてメールを消すわね。これくらいで話は終わり?」

「そうだな。今思い付くのはこれくらいかな?

 何か用事があったら異空間ワールド世界面倒だな、異空間で良いか!異空間から連絡するよ。

 連絡先は異空間のパソコンに連絡用のメールアドレス等入っているんだろ?」

「あ!忘れてたわ!入れておくから用事があったらお願いね」


 そう言って管理者と俺は離れていった所で朝が来て起きた。

 何か寝た気が全然しないぞ、今日は!

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