第9話 異空間のワールド世界

 ワールド世界に来た俺が最初に見たのは宮殿と言っても良いほどのだった。

 大事な事なのでもう一度言うが、だった!

 つまり、宮殿が幾つもあるような建物があったわけだ。


 建物群を見て圧倒している俺の頭の中に声が聞こえてきた。


「あ~、テス、テス、テス。いけてる?この録音大丈夫?え!もう録音始まってるの!……こほん、此方は神様と思ってくれても良い管理者です。

 この世界は異空間にあります。異空間は異次元と思って貰っても良いです。

 ここに居る間は異空間なので異世界とは違う世界になり、ここで過ごした時間は異世界に反映されません。

 ですので、その時間分が拘束時間が5年から増えていきます。その点お気を付け下さい。

 この異空間の広さですが太陽系と同じ広さです。もちろん太陽は出ますし月も出ます。建物が建っている場所は地球と同じ大きさの惑星です。・・・・・・手抜きも良い所ですねって感想が聞こえてきそうなくらい大きさ等は同じです。

 正面の宮殿の様な建物があなたの住む家になります。階層は地上10階地下3階になります。最上階があなたのメインで住む部屋となっております。

 もちろん階段で上がるだけでなくエレベーターも各所に付いております。トイレや風呂も各所に複数付いておりますので、緊急時にも安心です。

 部屋の中ですがマンションの部屋と同じぐらいの大きさの部屋というか家?ならば各部屋に照明、リビング、キッチン&食堂、トイレ、風呂、ベット、寝室、物置、その他小さな小部屋等があります。

 基本的に異世界の館にある物は全てあります。機能も自動清掃・自動修復の他に自動整頓、状態維持などが付いております。また、館と同じ機能でも此方の方がスピードが速くなっており、高性能になっております。

 建物群ですが、一騎当万シリーズの分と予備に同数の部屋があると思って下さい。これらも宮殿と自動整頓以外の同じ機能が搭載されており、1部屋4LDKです。

 練兵場では軍での訓練に使用可能にしています。こちらも館の訓練ルームと同じ機能が備わっております。

 インターネット類ですが、各部屋にノートパソコンとデスクトップパソコンがあり8時間インターネットを使用できる様になっております。

 ただし、此方から入力できるのは検索やクリックしか入力できない仕様になっております。

 また、予備の機能ですが此方で寝落ちされた場合等の意識が無くなった場合は拘束期間が過ぎるまでは自動的に館のベットに運ばれる様に出来ております。

以上をもちまして説明を終わらせていただきます。

・・・・・・・・・・・・終わった?終わった~!肩こるわねこれって。え、何?未だ録音続いてる?うそ!早く止めてよ!!止めな」


 この世界の概要はそれなりに分かった様な気がする。それなりに分かった様な気という曖昧な表現にしざる得ないのが説明相手が少々不安を覚える頭のようだからである。


 気を取り直して自分の部屋に向かう。宮殿の中に入り、エレベータで最上階まで上がるといきなり家?の中だった。

 一応、エレベータの前と近くには敷居があり靴箱も置いてあった。スリッパもあったからスリッパに履き替えて自分に都合の良い部屋を探す。


 どの部屋も同じような部屋ばかりだなぁと思いつつ探していくと・・・・・・迷った。そりゃもう豪快に迷った。まず今居る場所が分からないのは当然として、方角が分からない!元に戻ろうとすると余計に迷う。・・・・・・どうしよう?

 最終的にマップを使って元のエレベーターに戻る事が出来た。他のエレベータでない証拠に俺の脱いだ靴がある。

 どこも似たような部屋ばかりだったので最初のエレベーターに一番近い部屋をメインで過ごす部屋にする事にした。


 早速インターネットをする事にした。ノートパソコンを起動してOSが立ち上がるとブラウザを立ち上げて検索サイトに飛ぶ。

 最初はニュースのトピックスを見ていく。主要、政治、経済、国内、国際等で気になるニュースがないかざっと目を通していく。

 特に気になるニュースはなかったので、普段見ている小説投稿サイトでも見に行く事にした。

 一通り見ていた小説を読み終えるとインターネットをはじめてから3時間が経っていた。俺は驚いてパソコンを終了すると宮殿を後にした。


 練兵場に行ってみると練兵場は広大で付属の建物の中には各種武器や防具が並んでいた。ここでのシミュレーションの各種設定を屋敷のシミュレーションの設定と同じにしておいた。

 屋敷のシミュレーションと違うのは軍での訓練を想定している為、シミュレーションが起動すると空間が任意の範囲に拡張する事が出来る事とシールドの強度が館でも凄いのに此方は幾つもの桁が違うようになっている事だった。


 他にも色々とありそうだが、向こうでの時間を増やす為に異世界に戻る事にした。


 異世界に戻ると異空間のワールド世界とは同期しているのか時間が同じようだった。

 夕方になっていたので干していた衣服を慌てて取り入れて服等を畳んだ後にインベントリに仕舞った。


 その後、食堂で最後の一角兎のホワイトシチューを食べた。飽きてきたけど、これで最後だと思うと嬉しいような寂しいような気分に少しなった。

 キッチンで食器と鍋を洗うと鍋がある為にいつもよりも時間がかかってしまう。一応、洗い終えたけど念の為、クリーンの魔法をかけておく事にした。


 クリーンを使って思い出したのが剣と鎧の手入れをしていなかった事だ。これらを全てインベントリから取り出してクリーンをかける。

 剣や鎧等にクリーンをかけたので剣や鎧の金属部分にオリーブ油を塗ろうとしたら、すでに綺麗な油膜が張っており、クリーンって汚れを落とすだけでなくクリーンをかけた人や物の状態を最適な物にするんだと分かった。

 最適とはいえ、例えば人だと病気や傷を治したりは出来ずに汚れを取って肌に潤いを与えるぐらいだろう。品物も欠けたりした物はそのままだと思う。というか、知ろうとしなかったので知らなかったが、こちらの世界の知識ではそうなっている。

 クリーンをかけた剣や鎧をインベントリに戻してインベントリでの設定も戻しておいた。


 夕食後、いつものように風呂に入り出たら寝た。


 寝たら夢の中で神?管理人?(・・・・・・面倒くさいからこれからは管理人と呼ぼう)が出てきた。


「存在や異能が定着したと連絡があったから見に来たけど、ちゃんと定着してるわね。うんうん、良かったわ。エネルギーの方も付与されて順調に放出されているようだし、ひとまず安心ね」

「あー!お前、駄目だったら地球に帰れるような事言っといてにって何だよ!!詐欺じゃないのか!」

「最初から一時的にって言ったもん!詐欺じゃないわよ!」

「俺がっていった時に訂正しなかっただろ。これ分かってて訂正しなかったんだろ!詐欺じゃないか!!」

「一時的だけどちゃんと戻れるんだから詐欺じゃないわよ!」

「そういう問題じゃないだろ!」


 俺達は暫くの間、言い合いしていた。


「・・・・・・はぁはぁ。疲れた。言い合ってももうどうにもならんからもう良いわ。それよりも両親に先払いの税抜き後の10億円、手紙付きで送ってくれただろな?」

「あなたが買っているロト7が30億円キャリーオーバーした所で3口1等当たった様にして内20億円をあなたの手紙付きで送ったから税を引き落とされても10億円はご両親の手元に行くはずよ」


 あれ?おかしいぞ!残りの10億円は何に使うんだ?

 少し聞いてみるとしよう。

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