第8話 異能の検証

 屋敷から外に出た俺は早速、異能のサイコキネシスで自分を浮かせてみようとした。

 自分を持ち上げる感覚でやってみると簡単に浮かび上がった。

 どこまで浮かび上がるか試していると高度100mで怖くなって300mを足が震えて止まらなくなった。

 それらを我慢して検証を続けると次第に地平線が丸くなってきて奇麗な光景になってきた。

 最終的に酸欠になりそうになったのでそこで辞めると地平線は弧を描き昼なのに夜空が見えていた。

 酸素が苦しくない距離まで降り、サイコキネシスで飛行できるか試してみる。

 これも普通に上手くいき、何処までスピードが出るのか試していたら音速を超えた。

 音速を超えた衝撃が体に走るが、痛くはない。結局、呼吸がしづらくなるなる所までスピードは出た。


 ふと周りの景色を見ると知らない大地だった。

 マップを開き世界地図を見てみると、島からだいぶ離れた大陸に来ていた。

 マップを出して世界地図で島から一番近い人が住んでいる場所を探す。できれば港町が近くにあれば良いなと思って探すと一番近い人が住んでいる場所は島から西の方角の村が近かった。

 そこから近い町は10km程西に離れた所に内陸部の町と南に山を越えて8kmほどいった港町があった。


 町の様子を見るために今度は千里眼の検証をする事にした。

 最初はどこまで見れるかの検証なので、地平線が弧になっている一番遠くを見てどこまで見れるか試してみた。

  結果、一番遠くのアリまで見えることが分かった。


「空が青いなぁ~」


 ふと現実当為をしている自分に気が付いた。


 現実逃避から目覚めると今いるのは大陸だが、まず島から一番近い村の様子を見た。

 見た所、家が15軒程の家があり、こちらの常識だと辺境の小さな村といった所だった。だが、見た感じ生活には困ってはいなさそうだった。


 次は南の港町を見てみる。

 大きな船が停泊していて結構大きな港町だと分かる。人の数も先程の村と比べられないほど多く、活気に満ちていた。

 ただ、大きな町だけにスラムやスリ等がいるようだが、憲兵もおり普通の大きな町の治安状態といって良いと思う。

 冒険者らしき人もいて、それなりに賑わっているようだ。

 この町は大きいだけに各種ギルドの施設が先程の村に比べてあるだろうと思われる施設がある。 

 教会もあり、孤児院もあるようだ。だが、貧富の差が激しくスラムでは死んでいるであろう者も目に付いた。


 最後に内陸部の町を見る。

 中規模の町らしく先程の港町に比べると人の数は少々劣ると言わざるを得ない。だが、冒険者の格好をした人があつまっている施設や商人であろう服を着た人の操る馬車等が多数並んでいる施設などがあり、多分冒険者ギルドと商業ギルド何だろうなと思われる。

 警邏中であろう憲兵や冒険者の自警団の姿も見かけるが、小規模ながらスラムもあり治安は普通より少し安全といった所か。

 ここにも協会はあるが港町と比べると尖塔にある文様が違うような気がする。


「う~ん、正直どっちもどっちという感じだなぁ」


 すべての町を見た俺の感想は上記の様なものだった。

 港町に直接行くのか、村を経由して中規模の町に行くのかどちらにするのか迷う。


「もう少し考えてみるか」


 結論は持ち越しにした。

 よくよく考えれば5年間この世界にいれば良い訳だし館に引きこもるって手もあるしな!


 オートナビゲーションの異能を使って島に戻ろうとする。

 このオートナビゲーション、街道に沿ってとか人が通れる道で最速でとか安全な道でとか空を飛んでとかその他に色々選べる。

 もちろん俺は空を飛んで一直線でと要望してナビゲートして貰うと視界に進行方向等が映り、わかり易かった。


 オートナビゲーションで島に戻ってきた俺は先程いた大陸にテレポートできるか試してみると一瞬で先程の場所にいた。

 島に戻れるようにテレポートを念じるとそれも一瞬で戻ることができた。

 サイコキネシスで再度上空を行けるところまで行って、千里眼で見える限りの地平線の弧の部分にテレポートしてみるとこれも行けた。

 大陸の地上に降りて島が見えないこの状態で島にテレポート出来るかどうか試してみると、これも簡単に行けた。

 ただ、マップでしか知らない所にテレポート出来そうだけど、やると岩の中にテレポートしたりしそうだから1回は自分の見た所までにテレポートする事にしようと決めた。


 【無限に出てくる種類別のかね】は本当に出来るかどうか確かめる為に、イベントリから小袋を出し島の近くの国の各種硬貨を10枚ずつ出してみる。

 小袋を開けて確かめてみると各種硬貨が10枚ずつあった。

 別の国の硬貨を出すように思ってやってみると別の国の硬貨が出てきた。

 これで【無限に出てくる種類別のかね】の検証は終わりとする事にした。


 【鑑定に似た人や物を才能や価値を来歴も含めて詳細に見る事ができる力】の検証は背嚢があったことを思い出したので背嚢をと”管理者(神?)の作った大きい背嚢。持ち主は榊史郎で登録されている。持ち主以外が開けようとしたり、盗みやわざと傷つけようとすると相手を失神する電気が流れる防犯機能付き。アイテムバック機能(特大)と他に管理者(神?)特製偽装機能・変装・自動修復、頑丈、防水、消臭、自動洗浄、任意の物の状態保存、位置を知らせる機能付き”と表示された。

 思っていたよりも良いものだったのでイベントリに入れて普段使用用・イベントリの予備用を2個コピーしてオリジナルはイベントリでコピー用に固定しておいた。普段使用用にはマーキングもしておいた。

 ついでに剣や鎧も見てみると”管理者(神?)の作った剣と鎧。剣と鎧には壊れないよう管理者(神?)特製の頑丈・自動修復が付与されている。持ち主は榊史郎で登録されている。盗難防止に位置お知らせ機能と盗難相手を失神する電気が流れる防犯機能付き”と表示されたのでこれもイベントリで同様の処置をした。というか、管理者(神?)謹製の品物が怖いので背嚢から出して今はイベントリに入れている道具類や服装やタオル、他の武器防具など全て同様の処置をした。

 ……他の品物は背嚢に入って固定されているので背嚢をコピーした時に同様にコピーされるようだ。


 【綺麗で美味しい安全な水生成】は物凄く美味しかった!

 こんな美味しい水があるのかと思うぐらい美味しかった!


 【若返りや老化の薬を念じて作り出せる】の実験をしてみた。

 若返りの薬で1年と10年を1個ずつ念じて作り、鏡の前で一個ずつ飲む。すると薬の名称通りの効果が出てきた。

 このままだと幼児なので今度は老化の薬を若返りの薬の時と同様に出して鏡の前で一個ずつ飲むとこれも名称通りの効果が出てきた。

 体に特に異常は感じなかった。


 各種耐性のカンスト・衰えない身体・危険の無い所で野宿等できる・ムダ毛を無くす力・禿げを治療する力・異能は全て自分で完全にコントロールできる事・その他等は検証する相手やそもそも検証のしようがないので放っておく。


 一騎当万いっきとうまんシリーズはまだ一人でいたいからお預けで良いや。それに、女性限定だし何を話したら良いのかもわからんし!

 アラフィフニートに女性の相手は無理だと思う!そこを非常に神(管理者?)に言いたい!

 大体、1万人以上いてなんで全員女性限定にしないといけないのか!

 特に中世は現代よりも男社会なんだから男がいても良いじゃないかと思うわけですよ、俺は!


 あ、【異空間のワールド世界】があったのを忘れていた!

 こんな大事なことを忘れるなんて馬鹿だな、俺。

 とりあえず【異空間のワールド世界】長いな異空間で良いや、に行ってみよう。


 ワールド世界に行きたいと念じると目の前が地面から楕円形の半円状に歪みだしフォン音が少しなった。

 どうやらこれを通って行くようだが少々通るのに勇気がいる。


「通っても切断されないか心配だな」


 勇気を出して楕円形の歪みを歩いて通ると、何か幕のようなものを突き破るような感じがした。

 それに構わずに歩みを進めるとそこは別世界が広がっていた。

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