第7話 定着
4日日の朝になった。
今日は昨日に比べて晴れていた。
何か世界がクッキリしたような気がする。
今までフィルターが掛かっていたのがフィルターが無くなったような感じだ。
起きてみると動作が今までよりも滑らかな感じがする。
ふと思いついて異能の小さい方のマップを表示してみた。そして、色々と操作してみると今までよりも使いやすかった。
どういう所かというと例えば今までなら拡大縮小しようと思ったらスマホのように指で拡大縮小していた様な感じが、指の操作が無く思っただけで拡大縮小する事が出来るようだ。
これはもしかして存在と異能が定着したのか!
1〜3日かかると言われていたが、最後の方の3日かかるとは自分の事ながら低スペックに泣けてくる。
だが、定着したのは良い事だと思っていよう。
そうこうしている内にお腹が空いて来たので、いつものごとく歯と顔を洗って食堂に行き朝食のシチューをいつもの様に食べる。
一角兎のホワイトシチューも後、昼食と夕食で無くなるな。
そう思いつつ食べると脂身が入った肉が入っており、定着した事もありいつもより数段美味しかった。
食べ終わったのでいつものごとく食器を洗った。
◇
昨日のシミュレーションで自分に手も足も出ずに首チョンパされたのが悔しくて、今日はシミュレーションで訓練することにした。
地下の訓練場でシミュレーションを起動して相手を自分に設定すると、前回のままで良いか新しくスキャンしますかと出たので新しくスキャンする。
次のスキャンはこの自分相手に負けずに勝てるようになった時にしようと思う。
シミュレーションが始まった。
最初は互いに様子を見る。相手が切り掛かって来たのでかわす。
前の時は全く見えなかった剣の軌道が見える様になっていたので少し驚いた。
これも定着の効果かな。
驚きながら此方も剣で攻撃する。
相手は剣で防御してくる。二つの剣がぶつかった瞬間、両方の剣が粉微塵になって壊れた。
驚き思わず動きが止まって仕舞う。相手はそれを好機と捉えて殴って来たのをまともに食らってしまった。
攻撃を受けてシミュレーションのシールドまで体が飛んで行きぶつかり、倒れる。
「痛って!」
思わず声が漏れる、痛みが殴られた所から走る。
相手の攻撃を受けて痛みを感じるのは此方の世界に来てから初めてだ。
すぐに立ち上がって相手に備える。
相手が此方に構わず殴ってくるが、それらを何とか躱して此方も攻撃する。
相手は防御するも、体は吹き飛んで行く。
自分の力に対して体重と重力が弱いのだ。その所為で殴られるのを防御してもシールドまで飛ばされて仕舞う。
これでは訓練にならないので、一旦シミュレーションを停止する。
再度、シミュレーションを起動して重力と剣の不壊と再生能力のオフと戦闘は剣と生身のみに設定する。
あれこれ試して重力は1000倍にするのが全力を出すのに丁度良い加減だった。
設定が決まったので再度シミュレーションを起動して自分相手に戦う。
今度は剣で打ち合っても壊れなかった。
剣での連撃を繰り出す。相手はそれを
此方の攻撃が弾かれた隙を突かれて反撃を受ける。
鋭い突きを放ってくるが何とか避けた。
突きを躱されて相手の
今度は上手くいって相手の背にダメージを負わせる事が出来た。だが、致命傷ではないので油断は禁物だ!
それを剣で受けてしまい剣が
何とかこらえると、今度は
互いに押し付け合いながら互いに相手の剣を自分の横に流そうとする。
しばし
今度は此方から攻撃を仕掛けてみる。上段からの
相手は躱して切り込んでくるが、それは想定内だった。というのも袈裟斬りはフェイントで本命は反撃をしてくる相手にカウンターを食らわす事だった。
切り込んでくる相手の剣を避けると同時に腕に切りつける。
だが、相手はこれを読んでいて逆に腕を切り付けられた。
「くそ!」
腕を失ったわけではないが浅くはない傷を貰い思わず声が出る。
骨まで達していないが筋肉には達してる傷を腕につけられると鍔迫り合いの時に負けてしまうので鍔迫り合いは避けなくてはいけない!
興奮状態にあるのか相手の腕が良かったのか、今の所は腕は痛くはないのでそれだけが幸いである。
腕を切られてからといって相手は待ってはくれない!これ幸いと攻勢を強めてきた。
というか、腕に傷ついてる相手に攻勢をかけてくるとか鬼か俺のコピーはと俺は自分のことを棚に上げて思う。
益体のないことを思いながら、それらを捌き躱し何とか窮地を脱する。
隙を見て腕の血を口に含み、機会をうかがう。
こちらからも攻撃を仕掛ける。孫攻撃を相手は剣で受け止める。
今だ!俺は口に含んでいた血を相手の目に向かって吹き付ける。
相手は目をつむってやり過ごすが、最初の方は目に入っただろうと思う。
案の定、相手は距離を取ろうとしている。
ここで距離を取られたら目潰しをやった意味がなくなるので追撃する。
相手は目に入ったのは本当に少量だったのか、すでに目から涙を拭いさり応戦してきた。
俺は少々驚きながらも攻勢を強める。
相手は背中の傷の
いける!そう思った俺はますます攻勢を強める。
それが敵の罠とも知らずに!
相手の首に隙が見えたので攻撃しようとした瞬間、逆に俺の首が飛んでいた!
???
……なんで?
この後、この時の状況を録画してあったのを見ると、戦闘が全部で10秒ほどだったのでスロー再生して見る事にした。
相手は目潰しには引っかかっておらずに引っかかった振りをして、こちらの攻撃を誘導して攻撃が激しく大振りになって来た所でわざと首に隙を見せて注意を引いて狙わせた所で逆に此方の首を取ったみたいだ。
……なんて性格の悪い奴だ!こんな奴が居て良いのか!
詐欺師にも程がある!血も涙のない鬼だ!等々自分相手に自分のことを棚に上げて怒っている俺がいた。
その後、100回以上自分相手にシミュレーションした結果、1割の勝率を得た。
首チョンパや達磨や心臓をぶち抜かれてもシミュレーションをやめなかった俺はたぶん、異能の【努力等を続けられる強い精神性】の御蔭だとしても偉いと思う。
それに回数を重ねるごとに勝率が上がっていくのが楽しかった事も要因としてあると思う。
◇
かれこれ2時間程訓練室にいたが、汗でビチャビチャになつたので、風呂と服を着替える事にした。
部屋の風呂を沸かし、風呂が沸いたら服を持って風呂場に入っていった。
風呂に入る前に体と服等を地球の洗剤やシャンプー等をコピーしたのを使用して洗う。
体や服等が洗い終わったら風呂の中に入って温まった。
風呂から出たら新しい服装の予備のをインベントリでコピーしてそれに着替え、服を外に干してたら昼前になったので食堂に行きいつものルーチンでシチューを食べる。
脂身が入っていて美味しかったが、正直飽きて来た。
食器を洗い、これからどうしようか悩む。
「う~ん、暇だ。何しようかな?定着もしたし一騎当万でも作ってみるか?いや、それとも島を脱出する為に筏でも作ってみようかな?そうだ!定着したし異能の能力でも調べてみるか!」
そう決めると、サイコキネシスで自分を浮かすために館の外に出ていく俺だった。
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