第56回 ラブラブ新婚生活
街外れにある共同墓地にライナとトキュウスさんのお墓がある。
今日は二人のお墓参りをしたあと、アンリとノレミュの家に寄ってみた。
「私もライナさんに会ってみたかったですわ」
「きっと気が合うと思うよ」
どうやらアンリはナーサの剣術稽古で外出しているようだ。
ほとんど毎日ナーサに付きあっているらしい。
処刑人の仕事で病んで休職しているのだから、もっとゆっくりしてもいいのに。
「たまには三人でご飯でも食べたいね」
「三人? ふふ、そうですわね。四人になる前に」
「ん?」
ノレミュが意味ありげにお腹をさすった。
え、なに。四人? 四人って……。
ま、まさか!!
「い、いるの!?」
「はい、ここに」
「うえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?!?!!!?????!??!!!??!??!!!?????!!!!!!!!???????!?!?!?!?!?!?!!!!?」
いつの間に? いつの、いつの、いつの間に?
展開が速すぎる!! お互いちょっと気になる相手、みたいな距離感じゃなかったの?
か、仮にムードに流されてえっちしたとしても、妊娠にはおまじないが必要。
欲しくてしたってことじゃん!!
「お、おめでとう」
「ありがとうございます」
「も、もっと時間が経ってからだと思ってた」
「ふふふ、アンリさんってば積極的で」
「そ、そそそ、そうなんだ」
動揺しまくっていると、
「ただいま」
アンリが帰ってきた。
やばい、いま顔を合わせるのは気まずい。
こっちが一方的に気まずい!!
とりあえず机の下に隠れる。
はっ!! カエルムで時間を遅くして家から出ればよかったのでは?
ビックリしすぎて頭が回ってない。
「おかえりなさい、アンリさん」
「ん……」
アンリがぎゅっとノレミュを抱きしめる。
お、お〜、ラブラブだ。
昔はあんなに喧嘩してたのに。
「あらあら、まだ日が出ていますのに甘えん坊ですわね」
こっ恥ずかしそうに、アンリはノレミュの首筋に顔を埋めた。
「思い出してしまった。私が殺した人たちのことを」
「……だからあれほど、後悔すると言ったのに」
「でも……」
「わかってますわ。誰かがやるしかなかったのですわね。わかってますわよ」
子供をあやすように頭を撫でる。
「ノレミュ」
「大丈夫ですわよ、アーちゃん」
「もっと頭撫でて」
「はいはい。よしよし」
「アーちゃん、えらい?」
「えぇ、頑張っていてえらいですわ」
「ノレミュ……」
嘘だろ嘘だろ。
ま、まさかこのままおっぱじめないよね?
さすがに逃げないと。
よーし、ここはカエルムで……。
「ちょ、待ってくださいアンリ」
「ノレミュ、ノレミュ!!」
「やん♡」
「ノレミュ……はぁ……ノレミュ……」
なになになに?
なにをするつもり??
もしやもしや、本当におっぱじめるのか!?
大人の営みをしてしまうのかああああ!??!!!?!?!?
急いで外にでないと。
けどちょっとだけ、見てみたい。
友人同士の営みを、見てみたい!!
好奇心のままに机の下から顔を出した瞬間、
「あ」
アンリと目が合ってしまった。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……あの」
「死ねえええええええええ!!!!」
うわああ!! アンリが斬りかかってきた!!
カエルムが無ければ殺されてた!!
ってこの状況、以前にもあった気がする!!
うわ、顔真っ赤で睨んできてるよ……。
「キサマァ!! いつからそこにッ!!」
「ち、違うのアンリ!!」
「なにが違うこの覗き魔!!」
「ご、ごめん。アーちゃん」
「殺す!!」
「あ、ごめん。つい口が滑った」
「キサマだけはこの手で必ず始末する!!」
「ひぇ」
ノレミュ、くすくす笑ってないで助けてよ〜。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます