滴〜SIDUKU〜
立華 久々莉
~プロローグ~
先ほど生まれたばかりの我が子は、
どちらの性別か、薄れゆく意識の中では確かめる術を持たずにいたが、元気に泣く姿を
夫がなぜ涙と歪んだ
理解できるのは、自分の枕元にいる人びとが自分へ、悲痛と切羽を
薄れゆく意識の中では、目の前の出来事は、
その日嬪宮洪氏・ソンギョンは、妻である嬪宮を大切に
生きた時間は短いと言えるが、生まれついた環境、周囲の人びとの思い、期待、
これは嬪宮ホン氏・ソンギョンの物語である。
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