こどもの日🎏

同級生

大阪の高校を卒業してから東京の服飾専門学校に入学した。

1年生の時の5月5日のこどもの日。

推しのライブを観に行った。

推しはピンクのランドセルをしょって登場した。

ボクもピンクのサイリウムをふって応援した。

推しは、その日はずっとピンクのランドセルをしょって歌って踊っている。

ライブのあとの特典会。

推しに会いに行ったら

｢あっ！あやめっちー！｣

って言って手をふって喜んでくれた。

推しと握手してツーショットチェキを記念に撮った。

｢はいっ！かしわ餅あげる！｣

って言って、推しはボクにかしわ餅を手渡してくれた。

｢ありがとう！じゃあ、またね～｣

って言って、推しとわかれた。

ライブ会場を出て、かしわ餅を食べながら歩いていた。

渋谷の街のはずなのに、なぜか、小学生の頃に住んでいた松山の街のように思えてきた。

小学生の時に、いつもよく歩いていた松山の商店街にいるような気になってきた。

あれ？

なんとなく、小学生の時の同級生の女の子の実家の呉服屋さんの前に来ていた。

えー？なんでー？

って思っていたら

｢行ってこ～わい！｣

って言う、可愛い女の子の声、聞こえてきた。

それから、呉服屋さんのお店の中から、女の子、飛び出してきた。

あれ？美羽ちゃん？

小学生の時の同級生の美羽ちゃんのように思えた。

女の子はタッタッタッターって走って行った。走りながら

｢あっ？あやめっちー！｣

って言って、笑って手をふっている。

ボクも

｢あっ？美羽ちゃん？｣

って手をふった。

女の子はボクのところにピューッて走ってきて

｢いつかディズニーランドにいっしょに行こうね｣

って言った。ボクも

｢うんっ！ぜったいいっしょに行こう｣

って答えた。

｢約束だよー｣

って言って、女の子はそのまま走って行ってしまった。

うわっ！なんで小学生の時の美羽ちゃんと会ってるんだろうか？

って思いながら歩いていたら、渋谷の交差点に来ていた。

あれ～？不思議だ！

って思っていたら

｢あっ？あやめっちー！｣

って女子の声、聞こえてきた。

声のほうを振り返ったら

｢やっぱり、あやめっち！何してるの？デート？｣

って、その女子はボクに言っている。

専門学校で同じクラスの女子だ。

｢えっ？デートちゃうよ！デートならええけども｣

｢へー、じゃ何してるの？｣

｢推しのライブを観に行ってきたの！｣

｢いいなー｣

｢かしわ餅もらっちゃった｣

｢うわっ！めっちゃ美味しそう｣

｢うんっ！めっちゃ美味しいわ｣

｢良かったねっ！じゃあ、またねー｣

｢じゃあねー｣

ってボクも言いかけて

｢あっ、そうだ！今ね、なぜか、小学生の時の同級生の女の子と会ったんだ｣

｢えっ？遊びに来てたのかな？ひさしぶりに会ったの？｣

｢うんっ！小学生ぶりに...っていうか、小学生の時のその子に、小学生の時に住んでた松山市の商店街で会ったんだ｣

｢えっ？どうゆうこと？｣

｢ライブ会場を出て渋谷を歩いてたら、松山に行っていたっていうか...商店街の実家の呉服屋さんの前で、その女の子に会った...小学生のその子に...｣

｢へー、そうなんだ...｣

｢なんでやろ？｣

｢こどもの日だからかな？｣

｢ほんまかー？そうなん？そんなことあるん？｣

｢さあ？あるかもねっ！じゃあね～またね～｣

って言って、専門学校の女子は走って行った。

それから、ひとりで歩いていたら

｢あれ？あやめっち？｣

って言う、女子の声、また聞こえてきた。

声のほうを振り返ったら

｢あー？やっぱり、あやめっちだよねー？｣

って言っている。

｢えっ？そうですけど...｣

って答えたら

｢うーわっ！めっちゃひさしぶりー！｣

って言って飛びはねている。

なんか見たことあるような、飛びはね方だなあ～って思った。

｢あっ？もしかして、美羽ちゃんなの？｣

｢うわ！わかってくれたー？嬉しいー｣

｢さっきも、なぜか、小学生の美羽ちゃんに会ってたんだよー｣

｢えー？ほんとー？｣

｢うんっ！不思議でしょー｣

｢こどもの日だから？｣

｢えーっ？やっぱり、そうなんかなー？｣

それから、その日は、1日ずっと、美羽ちゃんといっしょに過ごした。

小学生の頃に、学校でいつも、美羽ちゃんといっしょに過ごしていたみたいに。

夜になってもホテルでいっしょにいた。

｢明日の朝はディズニーにいっしょに行こうね｣

って美羽ちゃんは言ってる。

｢そうだねー！いっしょに行こう｣

｢やったあ！小学生の時のふたりの約束だもんね｣

｢ふたりの約束？｣

｢覚えてないの？ディズニーにいつかふたりでいっしょに行こう！って言ってた、小学生の時の約束｣

｢あっ！そうだ！覚えてる！いっしょにディズニー行こうっていう...｣

｢明日ふたりで行けるね！｣

｢そうだね！｣

｢嬉しい！｣

｢ボクもー｣