日本の中でたのしく暮らすを解釈する
だらく@らくだ
これは【日本の中でたのしく暮らす】永井祐 著 を自分なりに解釈してみたものです
「まず一つめはこれだね」
【ミケネコがわたしに向けてファイティングポーズを取った殺しちまうか】
「殺しちまうかって怖いね。猫が嫌いなのかなぁ」
「そうだね、殺しちまうかってのはちょっと物騒だね。だけど僕はこの人がむしろ猫好きなんじゃないかと思ったんだ」
「え〜なんで?」
「まずファイティングポーズってのがどんなのかを想像してごらんよ」
「え〜と……手を前に出した様なポーズ?」
「そうだね、次に猫を抱き上げた時、手はどこにあるのかな」
「抱き上げ方によるけど側面を持ったなら手は前に……あ!」
「ファイティングポーズみたいでしょ。つまりこの人は猫を抱き上げた時に 殺しちまうかって冗談を言ってる感じだと、僕は解釈してるんだ」
「でも猫じゃらしで遊ぶ猫もファイティングポーズ取らない?」
「それもまた解釈の一つだね、この歌をどんな場面で作ったのかは作者しか知らないんだ
だからどう解釈しても正解では無いし不正解では無いのさ」
「じゃあ、本当に猫と戦っていて、ファイティングポーズを取ってたとかも?」
「それもいいね」
「二つ目は少しだけ悲しいかもしれない歌だよ」
【山手線とめる春雷 30才になれなかった者たちへスマイル】
「山手線が春雷で止まる……?」
「まずそこだよね、この春雷というのは
何を表しているか考えてみよう」
「う〜ん……わかんないなぁ。雷でどこか
が壊れたとしてもそしたら30才になれなった者たちがわかんなくなっちゃうし」
「じゃあ電車が止まる理由から考えてみよう」
「電車が止まる理由……は……故障とか運転する人がいないとか誰かが暴れたとか事故とか
かな?」
「ん……?事故?あ!人身事故もしかして?」
「そう、山手線とめる春雷というのは人身事故が発生したと言えるね。そしたら次の30才になれなかった者たちへも」
「お亡くなりになったら30才になれないもんね……」
「そして、悲しい事に遭遇しながらスマイル、つまり笑っているんだね」
「ひどい人……なのかな?」
「でも怒ったり悲しんだりする人がいっぱいの中、この人だけが笑いかけているかもしれないんだ」
「むむ……よくわかんない人ね」
「だけどこれは一つ目の歌でも言ったけど
あくまで僕なりの解釈でしか無いんだ。だからこの歌を見て架線に雷が落ちて電車が止まったんだなとか迷惑な客が暴れて電車が止まったんだな。その人は中身が30になれなかったのかもしれないなとかでもいいんだ」
「この歌一つでそんなに世界があるの!?」
「解釈は幾らでもあるさ。それが歌というものだよ」
「さて、次は明るい歌にしようか」
【日本の中でたのしく暮らす 道ばたで
ぐちゃぐちゃの雪に手をさし入れる】
「確かに楽しそうな歌だけどこれはどう
解釈したの?」
「それはね」
「僕はこの歌については解釈しないのさ」
「え〜てっきり日本の中でって言うのが
どこにも行けない庶民的だとかじゃないの?」
「確かにそうも言えるかもしれないね。
だけど考えてごらん、これは道ばたの雪で遊んだだけの歌かもしれないとして」
「うん」
「そこに社会問題だとか言い出したらこの歌はどうなっちゃうと思う?」
「とても悲しい歌になっちゃう」
「でしょ。だからね、僕はこの歌は解釈しないこのままが一番美しいと思うんだ。悲しいとか嬉しいとかは曖昧にして」
「歌ってむずかしいね」
「さて、僕の解釈はこれで終わりだけど
最後に歌を解釈する中でやってはダメな事を
教えよっか」
「ダメな事?」
「まずね、解釈を完全に正解だと思っちゃう
事だね。これをすると今まで無限にあった筈の世界がみーんな消えてしまうからね」
「次に解釈を他人に押し付ける事だね。例えばキミはドーナツをお腹いっぱい食べた夢を
話すとしよう」
「うん」
「その夢をお前は飢えているからそんな夢を見たんだと言われたらどうかな?」
「ドーナツの夢が……お腹減ってた時に見た夢に変わっちゃう」
「そうだね。解釈もまた同じなんだよ、みんながそれぞれ持っている解釈を一つずつ誰かの解釈で破壊していけば歌はとてもつまらないものになるの」
「だからね、間違った解釈だとしても作者に失礼では無い限り笑ってそうかもしれないと
受け入れるしか無いのさ」
「そうなんだ……なんか歌ってすごいね」
「さて最後にこんな歌を紹介しよっか」
【今が過去になる時間とはいつのこと
ご飯食べよう電話で誘う】
「さて、この歌をどう思ったかな?」
「ああ、これはね、僕は………」
おわり
日本の中でたのしく暮らすを解釈する だらく@らくだ @ujtjtmjmjmdt828
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