水の神獣ババムート

神獣。


それは、神にも等しい力を持った獣であり、この世に存在する生態系の頂点に立つモンスターでもある存在だ。


神獣は、主にS級ダンジョンのボスとして君臨しているものの..........ダンジョンがこの世界に出現してから、今に至るまで、神獣を倒した人間は、後にも先にもだけ。


そんな最強の存在が..........何故か、僕の家にいる。


しかも、その正体が、今まで家族として可愛がっていた金魚というオマケ付き。


ナデシコ「主様、どうかしたのですか?」


てか、改めて見ると、めっちゃ美人だな.................


ま、ナデシコは元々美人だからね仕方ない...........って、言ってる場合か!!


紅音「..........ナデシコ」

ナデシコ「はい、何ですか?」

紅音「その.................お前って、モンスターだったのか」


僕がそう言うと、ナデシコはニコリと笑いながら


ナデシコ「はい♡」


と、答えるのだった。


紅音「ま、マジか.......」

ナデシコ「主様が驚くのも無理はありませんよね。何せ、ワタクシのような可愛らしい金魚が人の身になり、目の前で喋っているのですから」


まぁ、事実と言えば事実だけども..........


紅音「それ、自分で言うか?」

ナデシコ「だって、主様がいつも言っていたじゃないですか!!ワタクシはこの世の中で超絶プリティーな金魚だって!!」

紅音「グハァ!?」


オイオイ!?


あの恥ずかしいセリフを覚えてたのかよ!!


我ながらトンデモナイことを言ってんなぁ..........


紅音「..........というかさ、何でキッチンにいたのさ」

ナデシコ「何って..............主様用の朝食を作っていたんです」

紅音「僕用の....朝食?」


僕がそう呟くと、ナデシコは僕の前に朝食を置いた。


その朝食は、だし巻き卵をメインに、白菜の漬物・白米・味噌汁などなどがあり、どれも美味しそうだった。


紅音「う、美味そう.......」

ナデシコ「ささ、どうぞ召し上がってくださいませ♡」

紅音「いただきます!!」


そう言うと、僕はナデシコの作った朝食を食べた。


紅音「っ!?」


結論から言おう、めっちゃ美味い。


だし巻き卵はフワフワかつ、ダシの味がしっかりしてて、漬物の塩加減は絶妙。


白米に至っては、一粒一粒が輝いていて、味噌汁の程よい塩味と甘さで、僕の目は完全に目覚めるのだった。


紅音「何だこれ!?超美味ぇ!!」

ナデシコ「本当ですか!?」


僕の反応を見て、嬉しそうにするナデシコ。


...........可愛いなぁ。


紅音「こんなに美味い料理は初めて食べたかも..........?」

ナデシコ「フフフ、なら良かったですわ」


そういえば、ナデシコが神獣なら...........S級ダンジョンのボスってことだよな?


てことは....


紅音「なぁナデシコ。お前のいた湖の中に...........S級ダンジョンとかはあるのか?」

ナデシコ「えぇ、もちろん存在しますわ♡」


あるんかい!!


ナデシコ「ただし、あそこに引き篭もるのは、ワタクシの性に合わないので、基本的にはダンジョンの外で暮らしていたんですけどね」


ダンジョンの外に暮らすボス..........うん、ヤベェな。


紅音「でも、何で金魚の姿をしてたんだよ」

ナデシコ「そりゃあ..........ワタクシと戦う相手を観察するために決まってるじゃないですか」


あ、そこはしっかりしてるのか。


ナデシコ「ですが..............ある時、湖で釣りをしているによって、ワタクシは釣られてしまったのです」


父さんですね分かります。


ナデシコ「実は、あの姿の時は本来の力を使うことが出来ないのです。ですから、あの時はワタクシは死を覚悟しましたわ」

紅音「そうなの!?」

ナデシコ「ですが..........ワタクシが食べられると勘違いしてしまった、まだまだ幼い主人様のおかげで、ワタクシは命拾いすることが出来たのです」


つまり、俺の大号泣のおかげで命が助かったってことか。


うん、すごく感動的な話なのは分かるけど...........何か複雑だな。


ナデシコ「そして、ワタクシは気づいてしまったのです...........ワタクシは、主様

と共に生きる運命なのだと」

紅音「..........ん?」

ナデシコ「というわけで!!ワタクシはこれから、主様のお嫁さんとして、バリバリ働いていこうと思いま〜す♡」

紅音「はぃぃぃ!?」


ちょっ、ちょっと待って!?


さっきのはアレか!?恩返しとして嫁入りする前フリだったのか!?


紅音「な、ナデシコ、僕はまだ学生だよ?だからまだ結婚は」

ナデシコ「分かっています。ですから..........先に婚姻届を記入すれば良いのです♡」


そう言うと、俺の目の前で婚姻届の書類を見せるナデシコ。


いや良くねぇよ!!


というか、準備良すぎだろ!!


紅音「ナデシコ、僕と結婚したい気持ちは十分分かった。だけど........僕と結婚するってことは、ナデシコを釣り上げた父さんとも家族になるってことだぞ」


僕が、そのことをナデシコに向けて言うと.........


ナデシコ「あの男と....家族になる..........ですって.......?」


ハッとした顔で、思わずそう呟くのだった。


ナデシコ「それだけは絶対に嫌ですわ!!でも....そうしないと主様と結婚できないし...........だけど、だけど!!」


あらら、思った以上に悩んでいる。


紅音「ねぇナデシコ。僕的には、結婚って急いでやることじゃないと思うんだよね」

ナデシコ「あ、主様.....」

紅音「だからさ、今すぐじゃなくてもいいから、いつか僕と結婚しようね」


まぁ、そのがいつになるのかは分からないけどね。


ナデシコ「あ、主様ぁ〜」


僕の言葉を聞き、半泣きの状態で抱きつくナデシコ。


..........やっぱり、ナデシコは可愛いなぁ。


その後、朝食を食べ終え、色々と準備をした末に、ナデシコ特製弁当を受け取った僕は、学校へと向かうのだった。


なお、ナデシコ特製弁当が、色とりどりの豪華絢爛な弁当だったのは、言うまでもない。

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