飼っていた金魚がババムートだった件〜なお、そのババムートは超絶最強美少女だってさ〜

@marumarumarumori

とある少年の日常

今から10年前、世界各地にダンジョンと呼ばれる迷宮が現れた。


当然ながら、最初は大パニックになったらしいけど..........一年が経つ頃には、みんなその状況に慣れ、今では、ダンジョンは日常風景の一部として溶け込んでいる。


慣れっていうのは恐ろしいもので、ゴブリンは害虫みたいに駆除されてるわ、オークの肉は高級食材扱いされてるわ、挙げ句の果てには、そこら辺にポーションの材料となる薬草が生えているわで、ファンタジーな世界観と現代社会がミックスされた世界化してしまったのだ。


だけど....こんな世界になったからか、当たり前だけど、ダンジョンに潜っては、モンスターを倒したり、レアなアイテムをゲットしたりする人々が現れ始め、そんな人々のことを、僕らは【探索者シーカー】と呼んでいる。


僕こと、【蟹村カニムラ紅音クオン】は、そんな世界の一般人として暮らしている。


そして今現在の僕はというと...........


紅音「はぁ....弁当のおかずの旨さが体に染み渡る............」


高校の教室内にて、弁当を食べていた。


樹「あ〜、弁当が美味ぇ〜」


コイツの名前は【言之葉コトノハイツキ】。


いわゆる、幼馴染ってやつだ。


樹「にしても..........紅音の今日の弁当も美味そうだな」


俺の弁当箱をマジマジと見つめながら、そう言う樹。


紅音「でも、卵焼きとおかず以外はほとんど冷凍だぞ?」

樹「いやいや、それでもスゲェよ!!」

紅音「そうか?」


まぁ、中学三年の時に、親が海外出張に行ってから、自炊するようにはなったけど..........そこまで褒められるレベルじゃないけどな。


樹「そういやさ、隣町にダンジョンが出現したらしいぞ」

紅音「え?そうなのか?」

樹「あぁ、何でも..........隣町のショッピングモールの建設地にダンジョンに出現したらしくって、それで隣町の連中は大慌てしてるってさ」

紅音「だろうね」


ダンジョンというものは、突然現れたかと思えば、急に消えたりと、摩訶不思議な特性を持っていて、しかも、それが予測不能なもんだから、たまに大問題を起こすことがしばしばある。


例えば、海のど真ん中にダンジョンが出現したら、その周辺の海の生態系が崩れてしまったり、住宅街にダンジョンが出現したら、その周辺の家に暮らす人々が追い出されたりと、色々と厄介なことが起こっているからか、ダンジョンのことをよく思っていない人は一定数いるのだとか。


紅音「ある意味、隣町の名所になりそうだよなw」

樹「だなw」




☆☆☆




紅音「ただいま〜..........って、誰もいないよな」


いつもの癖で、そんなことを言いながらも、家に上がる僕。


一人暮らしに慣れてるとはいえ、やっぱりちょっとだけ寂しい。


だけど.........この家には、僕の孤独を癒す最高のがいる。


紅音「ただいま〜、いい子にしてたか?ナデシコ」


俺の家族であり、ペットでもある金魚の名前はナデシコ。


元々は、この町にある小さな神社の近くの湖にいたのを、父さんが釣り上げたんだけど...........当の父さんがナデシコを食べると宣言。


その結果、ナデシコのことを可哀想に思った、小さい頃の僕がギャン泣きし、それが原因なのかは分からないけど、ナデシコの家族の一員となったのだった。


紅音「腹が減っただろ?ほら、ご飯だぞ〜」


ナデシコに対し、そう話しかけながら、僕はご飯をあげるのだった。


もちろん、ナデシコからは返事は返ってこない。


だけど..............一生懸命、ご飯を食べるナデシコを見ていると、自然と頬が緩み、幸せな気分になる。


僕にとって.........ナデシコは大切な存在なのだ。


紅音「フフッ.......やっぱりナデシコは可愛いなぁ」


そんなことを呟いた後、僕は夕食の準備をするために、キッチンへと向かうのだった。




☆☆☆




その日は、いつもと同じ日常になる..........はずだった。


紅音「ん..........?」


突如として、鼻に入ってきた香り高いお出汁の匂いを目覚まし代わりに、目を覚ます僕。


この匂いは........恐らく、味噌汁だ。


だけど.......


紅音「一体誰が....味噌汁を作っているんだ?」


そう思いながら、自分の部屋を出て、恐る恐る匂いのする方向へ向かうと..........そこには、割烹着を着て、料理を作っている着物美人がいた。


紅音「.................へ?」

ナデシコ「あ!!おはようございます!!主様!!」


僕に気がつき、満面の笑みを浮かべながら、僕の方へ向く着物美人。


くぅ!!眩しいぜ!!


紅音「えっと..........どちら様、ですか?」

ナデシコ「もう、主様ったら!!ワタクシのことをお忘れになるなんて..........ご冗談にも程がありますわ!!」


主様...........ってことは!?


紅音「ま、まさか..................ナデシコ、なのか?」

ナデシコ「はい♡ワタクシは主様の寵愛を受ける金魚....もとい、水の神獣こと、ババムートのナデシコでございま〜す♡」

紅音「え..........えぇ!?」

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