ごはんを石炭レンジで炊く食堂車
第13話 まずは、軽く飲んで食べて
「ところで山藤さん、行きの食堂車では何を召しあがられました?」
堀田教授が尋ねる。
寝台車の談義が落ち着いたところで、今度は、食堂車の話に。
「岡山を出てすぐ、検札が終わった段階で、早いところ食事と思いまして、早速、B寝台車3両を潜り抜けて食堂車に参りました。真鍋さんはお仕事があるらしく、寝台車の窓側でかれこれ書類の整理をされていましたので、一言お声かけて、先に一人で参りました。今回はステーキを頼みまして、それで、ビールを2本ほど飲んでおりました。何ですか、食堂車と言ったら、ステーキとビール。この組合せが、私には定番でしてね」
「山藤さん、その食堂車のステーキは、言うなら、「炭火ステーキ」ですよね」
「そう、堀田君のおっしゃる通りでね。やっぱり、焼鳥もそうじゃけど、ステーキは炭火がええ」
国鉄職員の川中氏が、苦笑しながら飲んでいたビールを置いて、述べる。
個人的には、山藤さん御指摘に同じで、私も、肉類は炭火焼きが好きですよ。
余分な油が落ちて、何ですか、天然の味が活きているような、そんなところがよろしくてね。それで、居酒屋なんかでも、ガスで焼く店よりも炭火の店にできるだけ行っているほどです。
しかしながら、わが社の営業といたしましては、正直、火災などの心配をしなければならんところもございまして。なんせ狭い列車での話ですからね。
列車火災は言うに及ばずですが、さらには蒸気機関車もそうですけど、列車からの火の粉による沿線への類焼とか、そういうことまで意識を回せば、火器の扱いには慎重にならざるを得ませんから。
今度は、真鍋弁護士。
私もね、翌日の準備を終えて山藤君を追って食堂車に参りました。
彼は早速ビールなんぞ飲まれていましたが、私はこの後もう少しやるべき仕事がありましたので、まずはカレーをいただいて、それからあとでコーヒーを1杯いただきました。
私もほら御覧の通り飲めるクチですけど、もう少し仕事があるとなれば、ここで飲むのも難なので、目の前の青年将校さんのお飲みになるのを拝見しながら、軽く食事といたしました。
そうこうしているうちに、川中さんがやって来られて、寝台のセットを是非ご覧下さいというものですから、山藤君がちょうど2本飲まれた頃合いを見計らって、寝台車に戻りました。
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