まちぼっけ

ミツルギ

第1話 ぼっけとまち

「いたい」

寝起きの夏空、なぜか私は大きな木の枝にひかかっていた。

「まち」

すこし低くいドスのきいた声で起こされる。

「なぁあに」寝ぼけ眼で起きると。

 そこには大きな木のぼっけ(お化け、心霊、神様などをさす)

がいた。

「これ取ってくれれこれ取ってくれれ」

そうしてぼっけは指をさす。

「なんだ、八神様かぁどうしたのうん?」その指の先には大きなハチの巣があった

「うわぁあハチの巣じゃん」

「これとってくれれ、これとってくれれ」

「分かったけど……」


そういってわたしは木の棒でハチの巣の根元からフルスイングで叩き落した。わたしはその山のふもとから綺麗におっこちた海に向かって。


八神さまは海の神様で、大きな海の真ん中にポツンとある、山を祀った神様だ

「ありがとけれれありがとけれれ」


私はこうして海水で水浸しになりながら、朝を迎えた「最悪」である。



一方そのころ、まちの実家では「まちー!!!まちー!!!」

父の怒号が聞こえるそれもそのはず、年端もいかぬ少女が、朝起きたらしないのだ。



「けんすけまちは!!!どこいったぞ!!!」

けんすけとは、私ことまちの、兄である。いつもボーとしていてなにをかんがえているのかわからないが、物書きをしており健介の書いた本は不思議よく売れるのであった。



「あぁーもう最悪あぁーもう最悪」そう連呼しながら私は家路についた。

「こらまち!!!どこほつっきあるいとんとね!!!」

「へいへい山の上に海の中ですよー」

「……なんでびしょぬれなんとね?」


「へへへ」「八神様によばれまして」わたしは苦笑いをするしかなかった。

「私は昔から、見えないものが見えて聞こえないものが聞こえる」他人には決して見えもせず聞こえない世界が私の日常だった。


このときわたしは気づいていなかった、私を呼んだのが八神さまだけではないことを、ぽちゃん私の陰に潜る一匹の龍がそこにはいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まちぼっけ ミツルギ @hashibirokou913

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ